ラズベリーパイでできること9選

ラズベリーパイでできること9選

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ラズベリーパイ(Raspberry Pi)は名刺サイズの小型コンピューターとして多くの人に知られていますが、具体的にどんなことに使えるのかイメージしづらいと感じている方も多いのではないでしょうか。プログラミング学習や電子工作、サーバー構築から家電の遠隔操作まで、ラズベリーパイの活用範囲は想像以上に幅広いです。

この記事では、ラズベリーパイでできることを活用事例とあわせて分野別に紹介します。初心者向けの使い方から産業用途まで網羅しているため、ラズベリーパイの購入を検討している方やすでに持っていて活用法に悩んでいる方の参考になるはずです。

ラズベリーパイの種類ごとの特徴や選び方についても解説しますので、自分の目的に合ったモデルを見つけてください。



ラズベリーパイでできること一覧

ラズベリーパイでできることは非常に多岐にわたります。教育用コンピューターとして開発された経緯から、公式OS(Raspberry Pi OS)を導入すればプログラミング学習をすぐに始められ、センサーやカメラを接続した電子工作、省電力を活かしたサーバー運用、さらにはAIを活用した画像認識まで幅広い用途に対応しています。以下の表に主な活用分野と具体例をまとめました。

活用分野 具体的にできること 難易度
プログラミング学習 Python・Scratchでのコーディング体験 初心者向け
電子工作 LED制御、センサー計測、モーター駆動 初心者〜中級者
サーバー構築 Webサーバー、ファイルサーバー、NAS 中級者
監視カメラ 定点カメラ、ペット見守り、防犯用途 初心者〜中級者
スマートホーム 家電の遠隔操作、照明制御、スマートロック 中級者
メディア再生 音楽プレイヤー、デジタルフォトフレーム 初心者向け
ロボット制作 障害物回避ロボット、ロボットアーム 中級者〜上級者
AI・機械学習 顔検出、人物識別、物体検知 上級者
産業用途 生産管理、故障検知、外観検査 上級者

上記の一覧はあくまで代表的な活用事例であり、ラズベリーパイはアイデア次第でさらに多くの用途に対応できます。ここからは、各分野の詳細を個別に解説していきます。

ラズベリーパイでできるプログラミング学習

ラズベリーパイはプログラミング学習に最適なデバイスです。もともと教育用コンピューターとしてイギリスのRaspberry Pi財団が開発したため、公式のRaspberry Pi OSを導入すればPythonをすぐに利用できる環境が整います。ラズベリーパイ本体に学習環境がプリインストールされているわけではありませんが、OS導入後の環境構築の手間が少なく、初心者でも始めやすい設計です。

子ども向けにはビジュアルプログラミング言語のScratchも利用できます。Raspberry Pi OSの「with desktop and recommended software」イメージを選択すれば、Scratch系の学習環境がまとめて導入されます。なお、OSイメージの種類(Desktop版、Lite版など)によって同梱ソフトは異なるため、学習目的であれば推奨ソフト付きのイメージを選ぶのがよいでしょう。

Raspberry Pi OS comes in several variants: a full image with desktop and recommended software, a desktop image, and a minimal Lite image.

Raspberry Pi OS - Raspberry Pi Documentation

  • Python: データ分析、Web開発、AI開発など実務でも使える汎用言語。公式OS導入後すぐに利用可能
  • Scratch: ブロックを組み合わせるビジュアルプログラミングで、小学生から学習可能。推奨ソフト付きイメージに同梱
  • C/C++Java: C/C++はコンパイラ(GCC)が公式OSに標準搭載されており、追加インストール不要で利用可能。Javaは必要に応じて追加導入

プログラムの実行結果をLEDの点灯やモーターの動作として目に見える形で確認できる点も、ラズベリーパイならではの強みです。ソフトウェアハードウェアを組み合わせた学習体験は、画面上だけのプログラミングより理解が深まりやすいでしょう。詳しい学習の進め方は、後述の「ラズベリーパイでできるプログラミング学習の始め方」で解説します。

ラズベリーパイでできる電子工作

ラズベリーパイには40ピンのヘッダが搭載されており、その一部がGPIO(General Purpose Input/Output)として利用できます。GPIOとは外部の電子部品と信号をやり取りするための汎用入出力端子のことです。40ピンのうちすべてがGPIOではなく、5V・3.3V・GND(グランド)・HAT ID用の予約ピンも含まれているため、配線前にピン配置を確認する必要があります。

All GPIO pins operate at 3.3V. A GPIO pin should not be connected to a voltage source greater than 3.3V. Do not connect a motor directly to the GPIO pins; instead, use an H-bridge circuit or a motor controller board.

Raspberry Pi公式ドキュメント - GPIO

初心者がまず取り組む定番の電子工作として「Lチカ」があります。Lチカとは、LEDをプログラムで点滅(チカチカ)させる実験のことで、GPIOの基本的な使い方を学ぶ入り口として広く知られています。ブレッドボード(はんだ付け不要の実験用基板)を使えば、配線も簡単です。

  • LED点滅(Lチカ): GPIO制御の基本を学ぶ最初の一歩
  • 温度・湿度センサー: 室内環境のモニタリングや水槽の水温管理に活用
  • 超音波距離センサー: 物体までの距離を非接触で計測し、接近検知に応用
  • サーボモーター: ドライバ回路を介して指定角度に回転させ、スマートロックやロボットアームに活用

センサーで取得したデータをプログラムで処理し、モーターやスピーカーなどの出力デバイスと連動させることによって、アイデア次第でオリジナルのガジェットを自作できます。なお、モーターやポンプなどの負荷はGPIOに直接接続できません。リレーやMOSFETなどのドライバ回路と外部電源を介して制御する必要があるため、後述の「注意点」もあわせて確認してください。

ラズベリーパイでできる監視カメラ・定点カメラ

ラズベリーパイに専用のカメラモジュールやUSBカメラを接続すれば、監視カメラや定点カメラを自作できます。市販の監視カメラを購入するよりも安価に構築でき、撮影間隔や画像の送信先を自由にカスタマイズできる点がメリットです。

撮影した画像をSlackなどのチャットツールへ送信することも可能ですが、そのためにはWebhookやAPIを利用した連携の実装が別途必要です。人感センサーと組み合わせれば、動きを検知した時だけ撮影する省電力な防犯カメラとしても運用できます。

  • ペット・子どもの見守り: 定期撮影した画像をWebhook連携でチャットツールに自動投稿
  • 防犯カメラ: 人感センサー連携で動体検知時のみ撮影・通知
  • ドライブレコーダー: Raspberry Pi Zeroの小型サイズを活かした車載カメラ
  • タイムラプス撮影: 植物の成長記録や空の変化を長時間撮影

暗所での撮影にはNoIR(赤外線フィルターなし)カメラモジュールが使えますが、カメラ単体では暗闇の撮影はできないため、別途赤外線照明を併用するのが一般的です。AI画像解析との組み合わせについては、後述の「ラズベリーパイでできるAI画像認識」で詳しく解説します。

ラズベリーパイでできるスマートホーム

ラズベリーパイと赤外線LEDを組み合わせれば、エアコンやテレビなどのリモコン対応家電を自動制御できます。リモコンの赤外線信号を読み取って記録し、ラズベリーパイから同じ信号を送信する仕組みです。ただし、赤外線リモコン非対応の家電や、機器の状態を取得できない機器には別の制御方法が必要になります。

外出先から家電を操作したい場合は、VPNやクラウド中継サービスなど、自宅LAN外から安全にラズベリーパイへ到達する仕組みを別途用意する必要があります。ラズベリーパイを自宅ネットワークに置いただけでは、外出先からの操作は実現しません。安全なリモートアクセス手段の詳細は、後述の「VPN・広告ブロックサーバーの構築」を参照してください。

  • エアコンの遠隔操作: 赤外線LED+VPN/クラウド経由でスマートフォンから冷暖房を制御
  • 照明の自動制御: 時刻や人感センサーに連動した点灯・消灯
  • スマートロック: サーボモーターで玄関の鍵をスマートフォンから開閉。誤動作時の影響が大きいため、試作と常用は分けて考えるのが無難
  • 給湯器の遠隔操作: AWSなどのクラウドサービスと連携した高度なIoT化。安全性が重要な設備のため、十分なテストが必要

ラズベリーパイは一般的なデスクトップPCと比較して低消費電力のため、24時間稼働させやすいデバイスです。ただし、消費電力はモデル・負荷・接続機器によって変わるため、具体的な電気代はご自身の構成で確認してください。

ラズベリーパイでできるメディア再生

ラズベリーパイに音楽再生ソフトをインストールすれば、コンパクトな音楽プレイヤーとして活用できます。HDMI出力は多くのモデルで利用でき、音声出力方法はモデルによって異なります。たとえば、Raspberry Pi 4には3.5mmオーディオジャックがありますが、Raspberry Pi 5にはこの端子が搭載されていません。

デジタルフォトフレームも人気の活用例の一つです。小型ディスプレイを取り付けて画像のスライドショーを表示させれば、市販の製品を購入するよりも安価にオリジナルの写真立てを自作できます。Wi-Fi経由で画像を追加・削除できるため、管理も手軽です。

  • 音楽プレイヤー: MP3ファイルの再生に対応。ストリーミング再生は利用するソフトやサービスの対応状況に依存
  • デジタルフォトフレーム: スライドショー形式で写真を自動表示
  • レトロゲーム機: RetroPieなどのエミュレーターOSを導入して懐かしいゲームをプレイ
  • スマートミラー: 鏡の背面にディスプレイを配置し、カレンダーや天気予報を表示

レトロゲーム機としての活用もラズベリーパイの人気の使い方です。RetroPieをインストールし、USBコントローラーを接続すれば、往年のゲームを楽しめる環境が手軽に構築できます。

ラズベリーパイでできる電子工作のIoT活用事例

ラズベリーパイは単体の電子工作だけではなく、インターネットと接続したIoT(Internet of Things)デバイスとしても活用できます。IoTとは「モノのインターネット」と訳され、さまざまな機器をネットワークにつないでデータを収集・制御する仕組みのことです。ここでは、IoTに特化した活用事例を紹介します。


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センサーを使った環境モニタリング

ラズベリーパイに温度・湿度センサーを接続すれば、室内環境をリアルタイムで計測し、データをグラフ化して可視化できます。取得したデータをクラウドにアップロードすれば、外出先からスマートフォンで確認することも可能です。

センサーを接続する際に注意すべき点として、ラズベリーパイ本体にはアナログ入力がないことが挙げられます。I2CやSPIなどのデジタル出力に対応したセンサーであればGPIOに直接接続できますが、アナログ出力のセンサーを使う場合はADC(Analog to Digital Converter)と呼ばれるアナログ信号をデジタル信号に変換する回路が別途必要です。センサー選定の際にはこの点を確認してください。

  • 室内の温湿度監視: BME280などのI2C/SPI対応センサーや、DHT22などの単線系デジタル温湿度センサーが扱いやすい
  • 水槽の水温管理: しきい値を超えた場合にアラート通知を送信
  • CO2濃度測定: NDIR方式のセンサーは実測値を出力するのに対し、安価なセンサーはeCO2(推定値)を出力するため、用途に応じて選定が必要
  • 土壌水分センサー: アナログ出力タイプが多いため、ADCの併用が必要な場合がある

センサーから取得したデータを長期間蓄積して分析すれば、季節ごとの傾向把握や異常値の検出にも役立ちます。GrafanaやPrometheusなどのモニタリングツールと組み合わせれば、本格的なダッシュボードも構築可能です。

植物の自動水やりシステム

土壌水分センサーとポンプをラズベリーパイと組み合わせれば、植物の水やりを自動化するシステムを構築できます。土壌の水分量が一定の値を下回った場合に自動でポンプを動かし、水を供給する仕組みです。

ただし、このプロジェクトには初心者がつまずきやすいポイントが2つあります。第一に、安価な土壌水分センサーはアナログ出力のものが多く、前述の通りADCが必要です。第二に、ポンプはモーター同様にGPIOに直接接続できないため、リレーやMOSFETなどの駆動回路を介して制御します。

  • 土壌水分量の自動計測: アナログ出力センサーの場合はADCを別途用意
  • ポンプの制御: リレーモジュールまたはMOSFET+外部電源を介して駆動(GPIO直結は禁止)
  • チャットツール連携: 水やり状況の通知と遠隔からの手動操作(Webhook実装が必要)

このシステムは家庭菜園やベランダのプランターだけではなく、小規模な自動灌漑としても応用できます。入門記事やキットを利用する場合も、センサーの出力形式(デジタル/アナログ)とポンプの駆動回路の要否を最低限確認してから着手するのが安全です。

ラズベリーパイでできるAI画像認識

ラズベリーパイにカメラモジュールを接続し、OpenCVTensorFlow Liteなどの機械学習ライブラリを導入すれば、AI画像認識を実行できます。OpenCVはコンピュータビジョン(画像処理・解析)のためのオープンソースライブラリで、TensorFlow LiteはGoogleが開発した軽量なAI推論エンジンです。

AI画像処理では「顔検出」「顔識別(人物識別)」「顔認証」が別の処理として区別されます。顔検出は映像内の顔の位置を見つける処理、人物識別は誰であるかを判定する処理、顔認証は本人確認に使用する処理です。用途に応じて求められる精度や安全対策が異なるため、目的を明確にしてから取り組むとよいでしょう。

  • 顔検出: カメラ映像から顔の位置を見つける処理
  • 人物識別: 登録済みデータと照合して誰であるかを判定する処理
  • ハンドジェスチャー認識: 手の形を識別して機器操作の信号として活用
  • 物体検知: カメラ映像からリアルタイムに物体の種類と位置を判定
  • 外観検査: 製造品の傷や不良を画像解析で自動検出(産業用途)

Raspberry Pi 4/5でも軽量なAIモデルであれば用途によっては実用的ですが、フレームレートや遅延はモデル構成・入力解像度・量子化の有無に大きく左右されます。高速化にはRaspberry Pi公式のAI CameraやCoral Edge TPUなどの推論アクセラレーターを利用する選択肢があります。なお、NVIDIA Jetsonはラズベリーパイに外付けするアクセラレーターではなく、それ自体が独立したエッジAIコンピューターの系列であるため、比較対象として捉えるのが適切です。

ラズベリーパイでできるサーバー構築

ラズベリーパイは一般的なデスクトップPCと比べて消費電力が低いため、24時間稼働させるサーバー用途に適しています。具体的な電気代はモデルや接続機器、負荷によって変わりますが、PCサーバーよりも運用コストを抑えやすいのが利点です。ここでは、代表的な3つのサーバー活用法を紹介します。

Webサーバーの構築

ラズベリーパイにApacheやNginxなどのWebサーバーソフトウェアをインストールすれば、Webサイトのホスティング環境を構築できます。Apacheは世界で最も広く使われているWebサーバーソフトウェアであり、NginxはApacheよりも軽量で高速な処理に強みを持つソフトウェアです。

個人のブログやポートフォリオサイトの公開、Webアプリケーションテスト環境としての活用が主な用途です。WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)もインストールでき、Webサーバーの基本構成を自宅で学べます。ただし、可用性やバックアップ、運用保守の面は商用レンタルサーバーとは別物のため、その点は区別して考えてください。

  • テスト環境: Web開発時のローカルテストサーバーとして活用
  • 個人サイトの公開: 小規模なWebサイトを自宅から公開
  • WordPress運用: CMSを導入してブログやWebサイトを運営

ラズベリーパイをインターネットに公開するWebサーバーとして運用する場合は、セキュリティ対策が必須です。ファイアウォールの設定やソフトウェアの定期更新を怠ると、不正アクセスのリスクが高まります。ローカル環境での利用であってもLAN内からのアクセスは可能なため、ソフトウェアの更新や最低限の認証設定は行いましょう。

ファイルサーバー・NASの構築

ラズベリーパイにUSB接続の外付けHDDを取り付け、OpenMediaVault(OMV)などのNASソフトウェアをインストールすれば、家庭用のファイルサーバーを構築できます。NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワーク経由で複数の端末からファイルにアクセスできる共有ストレージのことです。

Raspberry Pi 4以降のモデルはUSB3.0とギガビットイーサネットに対応しているため、ファイル転送の速度も実用的な水準に達しています。パソコンやスマートフォンから共有フォルダにアクセスし、写真や動画、ドキュメントを一元管理できます。

  • 家庭内のファイル共有: 家族全員がアクセスできる共有ストレージ
  • 写真・動画のバックアップ: スマートフォンのデータを自動バックアップ
  • メディアサーバー: DLNAを使って動画をテレビにストリーミング再生

市販のNAS製品と比較すると、ラズベリーパイで構築するNASは耐久性や保証の面で劣る一方、コストを大幅に抑えられるメリットがあります。OSの再導入は比較的しやすいものの、NASとして重要なのは保存データの保全です。microSDの差し替えだけではデータ保護は完結しないため、外部へのバックアップを別途設計してください。

VPN・広告ブロックサーバーの構築

ラズベリーパイにPi-holeをインストールすれば、ネットワーク全体の広告をブロックするDNSサーバーを構築できます。Pi-holeとは、DNSレベルで広告配信ドメインへのアクセスを遮断するオープンソースソフトウェアです。端末ごとに広告ブロックアプリを入れる必要がなく、ネットワークに接続するデバイス全体に効果があります。

ただし、Pi-holeはDNSレベルでの遮断のため、すべての広告を消せるわけではありません。アプリ内に直接埋め込まれた広告や、DoH(DNS over HTTPS)を使用するサービス、コンテンツと同一ドメインから配信される広告には効かない場合があります。

Pi-hole is a DNS sinkhole that protects your devices from unwanted content without installing any client-side software.

Pi-hole Documentation

また、WireGuardやOpenVPNを導入すれば、外出先から自宅ネットワークに安全に接続するVPN(Virtual Private Network)サーバーとしても活用できます。VPNとは、インターネット上に暗号化された専用の通信経路を構築する技術です。公共Wi-Fiを利用する際のセキュリティ対策や、前述のスマートホーム機器への安全なリモートアクセス手段として有用でしょう。

  • Pi-hole: DNSレベルで多くの広告・トラッキングを遮断(すべてではない)
  • WireGuard / OpenVPN: 自分でVPNサーバーを構築し、外出先から自宅LANへ安全に接続
  • Tailscale: WireGuardベースの導入しやすいメッシュVPNサービス。自前サーバー構築とは異なり、サービスの仕組みに乗る形で利用する

VPNサーバーは、リモートワーク時に自宅のNASやファイルサーバーへ安全にアクセスする用途でも活躍します。ラズベリーパイの低消費電力を活かして常時稼働させれば、いつでも接続可能な環境を維持できます。

ラズベリーパイでできるプログラミング学習の始め方

ラズベリーパイをプログラミング学習ツールとして活用する場合、初心者がつまずきやすいポイントを事前に把握しておくとスムーズに始められます。ここでは、学習言語の選び方と開発環境の特徴を解説します。


Python基礎・実践(Django)

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Pythonを使った学習

公式のRaspberry Pi OSを導入すればPythonをすぐに使いやすい環境が整います。Pythonは文法がシンプルで読みやすく、プログラミング初心者が最初に学ぶ言語として広く推奨されています。

ラズベリーパイでPythonを学ぶ最大の利点は、GPIOを通じてハードウェアを直接制御できる点にあります。現行のRaspberry Pi OS環境では、初心者向けにはGPIO Zeroライブラリが標準で使いやすい選択肢です。GPIO Zeroは少ないコード量でLEDの点灯やセンサーの値読み取りを実現でき、公式でも推奨されています。既存のネット記事ではRPi.GPIOライブラリを使った例が多く見られますが、最新環境では互換性の問題が生じる場合があるため、これから始める方にはGPIO Zeroを第一候補として検討するとよいでしょう。

GPIO Zero is installed by default in Raspberry Pi OS.

— Raspberry Pi OS - Raspberry Pi Documentation

  • GPIO Zero: 初心者向けの公式推奨ライブラリ。少ないコードでハードウェア制御が可能
  • RPi.GPIO: 古くからの解説記事が多いが、Bookworm以降の環境で互換性に注意
  • 豊富なライブラリ: 画像処理、データ分析、Web開発など応用範囲が広い
  • Thonny: 初心者向けの統合開発環境(IDE)。コードの実行結果をステップごとに確認できる

Thonnyという初心者向けの統合開発環境IDE)もRaspberry Pi OSに含まれています。Thonnyはコードの実行結果をステップごとに確認できる機能を備えており、プログラムの動きを視覚的に理解しやすいエディタです。

Scratchを使った子ども向け学習

Scratchはマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発したビジュアルプログラミング言語で、ブロックをマウス操作で組み合わせてプログラムを作成します。テキスト入力が不要なため、小学生低学年からでもプログラミングの考え方を学べます。

Raspberry Pi OSの「with desktop and recommended software」イメージでは、Scratch系の学習環境が利用しやすい構成になっています。Liteイメージなどの最小構成では同梱されていないため、学習目的でOSを導入する際はイメージの種類に注意してください。

  • ビジュアルプログラミング: ブロックの組み合わせで直感的にプログラミング
  • GPIO連携: 使用するScratch環境に応じた設定や拡張が必要になる場合がある
  • アニメーション作成: キャラクターの動きや音声を組み合わせた作品制作

Scratchで論理的思考力の基礎を身につけた後、Pythonへステップアップする学習パスが一般的です。ラズベリーパイ1台で初心者からの段階的なプログラミング学習を完結できる点は、他のデバイスにはない大きな強みです。

ラズベリーパイの種類と用途別の選び方

ラズベリーパイには複数のモデルが存在し、性能やサイズ、価格が異なります。やりたいことに応じて適切なモデルを選ぶことが大切です。ここでは主要な3つのシリーズを紹介します。

Model Bシリーズの特徴

Model Bシリーズはラズベリーパイの主力モデルであり、最も高い処理性能を備えています。2023年に発売されたRaspberry Pi 5はBroadcom BCM2712(2.4GHzクアッドコアArm Cortex-A76)を搭載し、Raspberry Pi 4と比較してCPU性能が約2〜3倍に向上しています。

デスクトップPCの代替やサーバー構築、AI画像認識など、処理負荷の高い用途にはModel Bシリーズが適しています。USB3.0ポートやギガビットイーサネット、Wi-Fi、Bluetoothを標準搭載しているため、周辺機器との接続も充実しているモデルです。

モデル CPU RAM 主な用途
Raspberry Pi 5 2.4GHz クアッドコア Cortex-A76 1GB / 2GB / 4GB / 8GB / 16GB 高負荷処理、AI、デスクトップPC代替
Raspberry Pi 4 Model B 1.5GHz クアッドコア Cortex-A72 1GB / 2GB / 4GB / 8GB サーバー、NAS、電子工作全般
Raspberry Pi 3 Model B+ 1.4GHz クアッドコア Cortex-A53 1GB 軽量な電子工作、学習用

※価格は販売時期・流通状況によって変動します。最新の価格はRaspberry Pi公式サイトや正規販売代理店で確認してください。

LPDDR4X-4267 SDRAM (options for 1GB, 2GB, 4GB, 8GB, and 16GB)

Raspberry Pi 5 - Raspberry Pi公式

初めてラズベリーパイを購入する方には、性能と価格のバランスが良いRaspberry Pi 5(4GB)またはRaspberry Pi 4 Model B(4GB)がおすすめです。大半の用途をカバーでき、情報量も多いため困った時に解決策を見つけやすいでしょう。

Zeroシリーズの特徴

Zeroシリーズは、Model Bシリーズを小型化・低価格化したモデルです。サイズは約65mm×30mmとModel Bの半分以下であり、狭いスペースに組み込む用途に適しています。現在はクアッドコアCPUを搭載したRaspberry Pi Zero 2 Wが実用上の第一候補になりやすく、旧モデルのZero Wはより低価格・低消費電力寄りの選択肢です。

処理性能はModel Bシリーズに劣るため、デスクトップPC代替やAI処理には向いていません。しかし、監視カメラ、デジタルフォトフレーム、スマートホームのコントローラーなど、単機能の用途であれば十分な性能を発揮します。

  • Raspberry Pi Zero 2 W: クアッドコアCPU搭載で従来のZeroより大幅に性能向上。IoT用途の主力モデル
  • 省スペース: ケースやぬいぐるみの中など、狭い空間への組み込みに最適
  • 低消費電力: Model Bシリーズよりさらに消費電力が少なく、バッテリー駆動も検討可能

価格は流通状況によって変動しますが、Model Bシリーズより安価に導入しやすいため、特定の機能だけを担当させる専用デバイスとして複数台運用するケースも多いです。用途が明確に決まっている場合にコストを抑えられるモデルとして選ばれています。

Picoシリーズの特徴

Picoシリーズは、Model BやZeroとは異なり、Linux OSが動作しないマイコンボードです。マイコンとは「マイクロコントローラー」の略称で、プログラムをフラッシュメモリに書き込んで単独で実行する小型のコンピューターチップを指します。親指サイズの基板にGPIO端子を備え、センサーやモーターの制御に特化しています。

OSが動作しないため、Webブラウジングやファイル管理といったPC的な用途には使えません。一方で、電源を入れた瞬間にプログラムが実行される起動の速さと、Model B・Zeroよりもさらに低い消費電力が強みです。Wi-Fi機能を搭載したRaspberry Pi Pico Wであれば、IoTデバイスとしてネットワーク通信も可能です。

  • Raspberry Pi Pico: GPIOを使った電子工作に特化、価格は約700〜1,000円
  • Raspberry Pi Pico W: Wi-Fi搭載でIoTデバイスとしても活用可能
  • MicroPython / C/C++: プログラミング言語としてMicroPythonまたはC/C++を使用

センサーの値を定期的にクラウドに送信するだけのような単機能デバイスには、Picoシリーズが最も適しています。コスト面でも圧倒的に安いため、複数台を配置した分散型のIoTシステム構築にも活用できます。

ラズベリーパイの使い方と始めるために必要なもの

ラズベリーパイを購入しただけでは動作しないため、いくつかの周辺機器を事前に用意する必要があります。ここでは、初心者がスムーズにラズベリーパイを始めるための準備と注意点を解説します。

ラズベリーパイに必要な周辺機器

ラズベリーパイ本体にはディスプレイやキーボードが付属していないため、別途用意する必要があります。必要な電源端子と電流はモデルによって異なり、Raspberry Pi 4/5はUSB-C、Pi 3やZero系はmicro-USBです。購入前に自分のモデルに対応した電源アダプターを確認してください。

初期設定完了後は、SSH・VNCRaspberry Pi Connectなど複数のリモートアクセス手段が利用できるため、専用のディスプレイを購入しなくても運用可能です。初回セットアップ時のみ、一時的にテレビをHDMIケーブルで接続してディスプレイ代わりに使う方法が手軽です。

周辺機器 必須/任意 備考
microSDカード(32GB以上推奨) 必須 OSの記録媒体として使用。高速タイプを推奨
電源アダプター 必須 Pi 4はUSB-C(5V/3A目安)、Pi 5はUSB-C(5V/5A対応の公式電源を強く推奨。一般的なPD対応充電器では5V時3A制限がかかるため注意)、Pi 3/ZeroはmicroUSB
HDMIケーブル 初期設定時に必要 Pi 4以降はmicroHDMI端子のため変換ケーブルが必要
キーボード・マウス 初期設定時に必要 USB接続またはBluetooth対応のもの
ケース 任意(推奨) 基板の保護と放熱性の確保に有効
ヒートシンク・ファン 任意(推奨) 高負荷時のCPU温度上昇を抑制。Pi 5では特に推奨

スターターキットと呼ばれる商品を購入すれば、本体と主要な周辺機器がセットになっているため、パーツ選びの手間を省けます。スイッチサイエンスマルツなど、ラズベリーパイ財団の正規販売代理店から購入すると安心です。

ラズベリーパイの初期セットアップ手順

ラズベリーパイを使い始めるには、まずmicroSDカードにOS(Raspberry Pi OS)を書き込む作業が必要です。Raspberry Pi Imagerという公式の書き込みツールを使えば、パソコン上の簡単な操作でOSの書き込みが完了します。

Raspberry Pi ImagerはRaspberry Pi公式サイトから無料でダウンロード可能です。OSの選択、Wi-Fiの事前設定、ユーザー名・パスワードの設定までImager上で一括して行えるため、初心者でも迷いにくい設計になっています。Imagerの事前設定を使えば、Wi-Fi・ユーザー名・SSH設定を先に書き込んでおくことで、ディスプレイを接続せずにヘッドレスで始めることも可能です。

  • 手順1: パソコンにRaspberry Pi Imagerをインストール
  • 手順2: microSDカードをパソコンに挿入し、Imagerで書き込み先として選択
  • 手順3: OSとして「Raspberry Pi OS」を選択し、歯車アイコンからWi-Fi・SSH・ユーザー設定を事前に書き込み
  • 手順4: 書き込み完了後、microSDカードをラズベリーパイに挿入して電源を接続
  • 手順5: ディスプレイ接続時は画面の指示に従って初期設定を完了。ヘッドレスの場合はSSH経由で接続

初期設定が完了すれば、Webブラウジングやプログラミングをすぐに始められます。用途に応じてSSH・VNC・Raspberry Pi Connectなどのリモートアクセス手段を有効化しておけば、次回以降はパソコンやスマートフォンから操作可能です。

ラズベリーパイを使う際の注意点

ラズベリーパイは手軽に扱えるデバイスですが、安全に長く使うためにいくつかの注意点を把握しておく必要があります。特に電源と発熱、GPIOの取り扱いに関するトラブルは初心者に多いため、事前に対策しておきましょう。

電源の品質はラズベリーパイの安定動作に直結します。電力が不足すると画面右上に雷マークの警告アイコンが表示され、予期せぬ再起動やSDカードのデータ破損が発生する場合があります。推奨電源はモデルごとに異なり、目安としてPi 4は5V/3Aクラス、Pi 5は5V/5Aの公式推奨電源を使うと安定しやすいです。

  • 電源の安定性: 低品質な電源アダプターは動作不安定やデータ破損の原因になる。モデルごとの推奨電源を確認
  • 発熱対策: CPUの上限温度は85℃で、超過するとパフォーマンスが自動的に低下する(サーマルスロットリング)。ヒートシンクやファンの装着を推奨
  • SDカードの寿命: 頻繁な書き込みはSDカードの寿命を縮めるため、重要なデータは外部にバックアップを取る
  • 静電気への配慮: 基板がむき出しの場合、静電気で部品が破損するリスクがあるためケースの使用を推奨

GPIO周りの注意事項も重要です。GPIOの信号ピンは3.3V系のため、5Vの電圧をGPIO信号ピンに加えると故障の原因になります。40ピンヘッダには5V電源ピンも含まれているため、配線時には必ずピン配置図を確認してください。また、電子工作や水やりの項目でも触れましたが、モーターやポンプなどの高負荷な部品はGPIOに直接接続せず、必ずドライバ回路(リレー、MOSFET、Hブリッジなど)と外部電源を介して制御してください。

Connecting a motor directly to the GPIO pins risks damaging the device. Use a motor controller board or an H-bridge circuit.

— Raspberry Pi公式ドキュメント - GPIO

※上記コンテンツの内容やソースコードはAIで確認・デバッグしておりますが、間違いやエラー、脆弱性などがある場合は、コメントよりご報告いただけますと幸いです。

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