本インタビューではコードキャンプ株式会社が提供する新入社員向けIT研修プログラムを導入したフューチャーアーキテクト株式会社の事例を紹介します。 コードキャンプ株式会社が提供する内定者研修と新入社員向けIT研修プログラムを導入したフューチャーアーキテクト株式会社の事例を紹介します。フューチャーアーキテクト株式会社では、入社前の内定者向け研修に加え、入社後には受講者のIT習熟度にあわせた2コースの新入社員研修を実施しています。
今回は、これらの研修を経験したフューチャーアーキテクト株式会社の新入社員2名(神原さん、渡部さん)と先輩社員1名(永井さん)、そしてコードキャンプ株式会社の担当者の秋永に、研修の成果や課題、今後の展望について詳しく語っていただきました。
スピーカー
Future Value Group (FVG)
シニアコンサルタント / 2024年4月新人研修リーダー
アソシエイトコンサルタント
アソシエイトコンサルタント
フューチャーアーキテクト株式会社の新入社員研修の位置づけ
Trends.編集部 田中(以下、田中):フューチャーアーキテクト株式会社では新入社員研修をどのように位置づけていますか?
フューチャーアーキテクト株式会社 Future Value Group (FVG) シニアコンサルタント / 2024年4月新人研修リーダー永井 優斗 氏:フューチャーアーキテクト株式会社では新入社員研修を「Be Professional Project(BePro)」と位置づけています。単なる勉強の場ではなく、決められた期限内に一定の品質でゴールを達成し、チームで協力することを重視するプロジェクトとして捉えています。新人全員がプロのコンサルタントとして現場で活動できるようになることを目指しています。
内定者研修から新入社員研修へのシームレスな学習体験
田中:内定者研修は新入社員研修にどのように役立ちましたか?
フューチャーアーキテクト株式会社 アソシエイトコンサルタント 神原 萌靖 氏:内定者研修では講師に質問できるレッスン枠を3回分もらえ、全て活用しました。独学で勉強していて分からないことがあっても、質問できる機会があるので安心して進められました。
特にJavaについての事前学習が入社後の研修でとても役立ちました。基礎的な疑問は入社前に解消できていたので、新入社員研修をスムーズに進められました。
フューチャーアーキテクト株式会社 アソシエイトコンサルタント 渡部 水悠 氏:私の場合は正直、直接的な効果はあまり感じられませんでした。パソコンをほとんど触ったことがない状態で大学4年生の1月を迎えてしまい、コードキャンプ株式会社の教材を確認したときも、単語が分からず1つ1つ調べて理解をしていく状態でした。ただ、この経験が「勉強をするための自分の状態を作る」というところに役立ったと思います。入社後、久しぶりにコードキャンプ株式会社のカリキュラムを開いたとき、「春休みにやったところだ」と思い出せたので、そこから学習を進められました。
研修中の課題と乗り越え方
田中:研修中に直面した課題とその克服方法を教えてください。
神原:VueとSpringBootの2つが特に苦手でした。フレームワークの内部で何が起こっているのかを把握するのが難しかったです。理解できている同期にどこに着目すべきか指摘してもらったり、講師に質問する前に自分で言語化する練習をしました。
質問する際は、何がうまくいっていないのか、何ができていて何ができていないのか、何を試してみたのかなど、状況を言語化する練習をしました。これは現在、上長と進捗を共有する際にも役立っています。
渡部:私はまず自分で考え、次に同期に聞き、それでも分からなかった場合に講師に質問するという段階を踏みました。講師に質問する際は、自分の状況をできるだけ詳しく説明するよう心がけました。
最初は講師が私たちの状況を理解していると思っていましたが、そうではないことに気づき、徐々に自分からの情報提供を増やしていきました。
結果として、講師とのやり取りを通じて、技術の理解度を深めるだけでなく、仕事の進め方の習得にも繋がりました。
フューチャーアーキテクト株式会社の研修アプローチ法のBeProの概念とタスクフォース活動とは?
田中:BeProの一環として、どのような取り組みを行いましたか?
永井:BeProの一環として、タスクフォースという活動を設けています。タスクフォースの参加メンバーは自発的に集まってもらいました。新人たちが自ら課題を認識し、研修をスムーズに進めるために必要な役割を考えて立ち上げたものです。
田中:タスクフォースの具体的な活動内容を教えてください。
神原:タスクフォースは5人で構成されていて、私がたまたま初動が早かったのでリーダーとして活動していました。ただ、リーダーと言っても皆で均等に役割を分担して活動していました。
渡部:主に、私たちは所属しているコースの同期から寄せられた質問を集めて整理していました。講師と受講生が複数で行うグループレッスンが定期的にあり、グループレッスンの内容の要望を整理する、講師に連携するなどの活動をしていました。質問・要望の収集はGoogleフォームで同期から情報を集め、Slackでグループレッスンの内容を周知するなどの活動をしていました。
田中:タスクフォースの活動を通じて、どのような課題に直面しましたか?
渡部:人数が多かったので、全員にグループレッスンを受けてもらいたいと思う一方で、一人ひとりが質問しやすい環境をどう作るかが難しかったです。
例えば、他の参加者の質問を聞いて参考にしたい人もいれば、自分の作業に集中したい人もいて、相反する要望にどう対応するかが課題でした。
神原:この課題に対して、私たちは曜日ごとに異なるアプローチを取りました。ある曜日は講師に話をしてもらい全員で聴講する形式にし、別の曜日は質問したい人が自由に質問できるようにするなど、様々な要望に応えられるよう工夫しました。
コードキャンプ株式会社との連携とプログラムの特徴
田中:コードキャンプ株式会社とフューチャーアーキテクト株式会社の連携について、特徴的な点はありますか?
永井:コードキャンプ株式会社とフューチャーアーキテクト株式会社はグループ会社ではありますが、敢えて今回コードキャンプの運営を担当していただいた秋永さんには、タスクフォースメンバーとのやり取りをするときには外部の取引先としての対応をお願いしました。
理由は新入社員のうちに外部とのやり取りの経験を積んでもらうためでした。早い段階からそうした意識を持つことの重要性や緊張感を持ってもらえたらという思いがありました。
神原:その意図は初めて知りましたが、タスクフォースの中でも質問を送る際にコードキャンプ株式会社の担当者の方への配慮や、外部との調整ややりとりについてメンバーで話し合い、調整したのは思い返すと貴重な経験です。
コードキャンプ株式会社 CXリーダー秋永(以下、秋永):ありがとうございます。新入社員の受講生にとってより良い研修にするために、タスクフォースメンバーが何がベストかを常に考え行動している印象があったので永井さんが期待したような効果があったと思っていました。
私たちコードキャンプの運営者への言葉遣いや対応は、入社して社会人としてはまだ浅いのに、心遣いや言葉遣いが新人らしからぬ素晴らしさだと感じました。
研修プログラムの改善点と要望
田中:研修プログラムについて、改善点や要望はありますか?
渡部:グループレッスンについて気づいたことがあります。講師の方が変わると、前提知識や教え方にばらつきが生じることがありました。同じ講師の方と複数回セッションを重ねると、私たちの状況をよく理解してくださり、スムーズに進められます。
しかし、言語や教科書が変わると講師も変わってしまい、その度に自分たちの状況を一から説明する必要がありました。これは少し大変でした。
田中:神原さんはいかがですか?
神原:私は講師の方との関わりについて、少し違う意見です。渡部さんの話では同じ人と何回もセッションを行う方が良いということでしたが、私はむしろ様々な講師の方から教わる機会があると良いと感じました。
多様な視点や教え方に触れることで、自分に合う学習スタイルを見つけられると思っています。
ただ、現在の課題として、受講生全員に対応できる講師の確保が難しいと感じました。今回は同じコースの同期が48人でしたが、もし全員がマンツーマンレッスンを希望した場合、講師が足りなくなる可能性があります。
また、平日の昼間に研修が設定されているため、講師の方の都合もつきにくい印象がありました。新入社員研修前に実施していただいた内定者研修の時のように、より多様な講師陣に対応していただけると嬉しいです。
あと、標準ラップ(学習の進捗目安)についても改善の余地があるように感じました。
永井:その点についてはコードキャンプ株式会社側でもデータを取っていると思いますので、それを基に改善していただけると嬉しいです。
秋永:ご指摘ありがとうございます。進捗については、新入社員研修に提供した独学で行っていただく内定者研修の成果も反映されていたため、通常の標準ラップよりも一部の方にとっては早く感じられる内容になっていた可能性がありますね。
ただ、Vueなど難易度の高い内容もあったので、その辺りの影響も考慮する必要があるのかなと認識しました。持ち帰り来年度に向けて社内でも検討したいと思います。
研修後の成長と今後の展望
田中:研修を終えて、今後のキャリアについてどのようなビジョンをお持ちですか?
神原:入社前はキャリアの方向性をあまり決めずに、与えられた仕事を頑張ろうと考えていました。
しかし、永井さんとの面談や研修を通じて、仮でもいいから自分で目標を設定し、それを修正していくことの大切さを学びました。今後は自分のやりたいことを少しずつ言語化し、周囲に伝えながらキャリアを積んでいきたいと思います。
渡部:私は研修中、特に技術面で大変苦労しました。全く分からない状態が続き、何とかしなければと焦っていました。技術系の仕事に就きたいと思っていましたが、実際にアサインされたのはいわゆる上流工程の業務でした。
しかし、その中で研修で学んだことが直接活かせる場面があり、特にWebアプリケーション系のプロジェクトでは、研修の内容がそのまま役立っています。まずは目の前のアプリケーション関連の上流工程のタスクを極めていきたいと考えています。
田中:最後に永井さんから新入社員の方々へメッセージをお願いします。
永井:フューチャーアーキテクト株式会社は非常に特殊な会社で、技術以外にも様々なキャリアの可能性があります。
今回学んだことが、思わぬところでスペシャリティを発揮できる機会になるかもしれません。様々な選択肢の中で、自分が楽しいと感じるものを見つけ、それを追求していってほしいですね。
BeProの最後に、新入社員の皆さんには、京都大学特任准教授の瀧本哲史氏の言葉を引用して「ボンボヤージュ」という言葉を贈りました。これは「良き航海を」という意味のフランス語で、自分の舵を取って進む人々への尊敬と期待を込めた言葉です。皆さんがこれからのキャリアの旅路を、自分の意志で切り開いていってくれることを願っています。
コードキャンプ株式会社とフューチャーアーキテクト株式会社の協力によって実現したこの新入社員研修プログラムは、単なる技術習得の場を超えて、主体性や問題解決能力を育む場となっています。
タスクフォースの導入や、BeProの概念を取り入れることで、新入社員たちは早い段階から「プロフェッショナル」としての意識を持ち、成長しています。今後も両社の取り組みが、IT業界の人材育成に新たな風を吹き込むことが期待されます。
▼フューチャーアーキテクト株式会社が導入しているIT研修
「フューチャーアーキテクト株式会社」PROFILE
会社名 |
フューチャーアーキテクト株式会社 |
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企業概要 |
WEBhttps://www.future.co.jp/architect/ フューチャーアーキテクトは、ビジネスの本質を理解し、最新テクノロジーを駆使したITイノベーションをつうじてお客様の未来に新たな価値を創造することをミッションとしています。企業経営にとって経営戦略、戦略に基づいた業務、業務を推進する情報システムは、いまや切り離すことはできません。経営戦略をシステムに具現化し、業務推進に貢献する戦略的なシステムを提供することで企業価値の最大化を図り、社会にイノベーションを起こしていきます。 |