Dynatrace合同会社は、株式会社ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」)がAI駆動のオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム「Dynatrace」を採用したことを発表しました。
DeNAがDynatrace導入前に直面した運用データ分散の課題
DeNAは全社方針として「AI オールイン」を掲げ、「生産性向上」「既存事業の競争力強化」「新規事業の創出」を軸にAI活用を推進しています。システム基盤の運用管理においてもAI活用が求められていましたが、ITインフラの運用は本番環境を対象とするため、AIによる自動化を直接適用することが難しい状況でした。
DeNAのIT基盤部では、ゲーム関連サービスを支える大規模なレガシーシステムと、医療・ヘルスケア領域のサービスを支えるクラウドネイティブなシステムが対象となっていました。レガシーシステムでは長年蓄積された内製ツールによる監視環境の複雑化が課題となり、クラウドネイティブなシステムではコンポーネントごとに監視手法が断片化していたのが実態です。その結果、ログ、メトリクス、トレースといった運用データが複数のツールに分散し、システム全体の状況を横断的に把握することが困難な状態です。
Dynatraceの統合オブザーバビリティ基盤の特徴
Dynatraceは、単一のエージェント「OneAgent」によりアプリケーション、インフラストラクチャ、コンテナなどの複雑な構成要素とその依存関係を自動的に検出・可視化します。また、データ基盤「Grail」によってログ、メトリクス、トレースなどの運用データを単一プラットフォーム上に集約できる設計です。AIエンジン「Davis AI」による相関分析を組み合わせることで、分散していた運用データを横断的に分析し、障害発生時の調査やシステム状態の把握を支える基盤として活用できます。
APIを通じて既存の監視ツールや内製システムと連携できるため、これまで蓄積してきた運用の仕組みを活かしながら、段階的な統合が可能です。医療・ヘルスケア領域のサービスでは、ログデータのマスキング機能によりプライバシー保護とセキュリティ要件を厳格に遵守しながら、データ統合と分析を両立できます。
DeNAにおけるDynatrace採用の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 採用企業 | 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) |
| 提供元 | Dynatrace合同会社 |
| プラットフォーム | AI駆動のオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム「Dynatrace」 |
| 対象システム | ゲーム関連サービス向けレガシーシステム・医療ヘルスケア向けクラウドネイティブシステム |
| 主な構成技術 | OneAgent / Grail / Davis AI |
| 導入効果(例) | 従来2週間・複数担当者を要した問題特定が、1人のエンジニアによりわずか2日で完了 |
| 日本法人所在地 | 東京都千代田区 |
| 日本法人代表 | 徳永 信二氏 |
trends編集部の一言
複数の担当者が2週間かけても特定できなかった問題を、1人のエンジニアがわずか2日で解決できたという事実は、導入効果として非常に明快です。業界全体としては、ITインフラの複雑化と人材不足が重なる中で、「監視ツールの乱立」と「データの分散」が運用現場の共通課題となっています。Dynatraceのようなオブザーバビリティ基盤による統合アプローチは、その構造的な解決策として注目されます。
マーケティングの現場でも、複数ツールのダッシュボードを行き来しながら、施策の効果を確認する作業は日常的です。データが一元化されるだけで意思決定のスピードが変わる感覚は、ITインフラ運用と似た構造を持っているのではないでしょうか。「AI オールイン」という全社方針の前提として運用データ基盤の整備から着手したDeNAの取り組みは、AI活用を本格化させる上でのデータ基盤整備の重要性を示す好例と言えそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「DeNA、AIによる運用高度化に向け、オブザーバビリティ基盤としてDynatraceを採用 | Dynatrace合同会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000147272.html, (参照 26-06-03).
