3.5日の研修が、年間1,600時間削減の起点に。
株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループが実践する「現場主導のDX人材育成」
生成AIとExcel VBA・Power Automateを組み合わせたDX人材育成研修により、実務担当者のデジタル活用を加速させた事例をご紹介します。
本プロジェクトは、集合研修3.5日とお客様のシステム部門による個別実装サポートを組み合わせた設計で、特筆すべき点は受講生30名による業務削減効果が年間1,600時間に上ると試算されたことです。
プログラミング経験のない社員が、研修で得た「生成AIを補助的に活用しながら業務課題を整理・解決する手法」を即座に実務へ適用。単なるスキル習得にとどまらず、研修直後から参加者が各部署で自発的に業務改善を進めるなど、「現場主導のDXにつながる研修」となりました。この成果の背景について、担当者の方々にお話を伺いました。
目次
- 研修導入の背景。なぜ「実務担当者向け」のDX研修が必要だったのか
- コードキャンプを選んだ理由とは。生成AI×デジタルツールで「自分たちで動かせる」が実現できる研修
- 研修内容の特徴と工夫
- ①「ツールの使い方」ではなく「業務改善の手段」として学ぶ設計
- ②生成AIと人間の講師によるダブルサポート体制
- ③自分の業務をテーマにした個別課題への取り組み
- 【研修成果】研修から生まれた業務改善の実例
- 年間1,600時間の業務削減効果(見込み・初回30名分)
- 研修から生まれた具体的な改善事例
- 参加者の声
- 内製化に対する意識の変化
- 社内生成AI活用コンテストへの参加
- 今後の展望
- 【コードキャンプの視点】「現場の課題は現場が知っている」を確信に変えた30名の挑戦
- 研修概要
- 株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループについて
スピーカー
人事部長 兼 HM室長
人事部 シニアマネージャー
人事部 シニアマネージャー
(所属は研修実施時点、現在デジタル営業戦略部)
プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東京きらぼしフィナンシャルグループ |
| 業種 | 金融 |
| 研修テーマ | 実務担当者向け業務効率化・DX人材育成(生成AI×Excel VBA・Power Automate) |
| 受講人数 | 30名(全5回150名を対象に開催予定のうち初回実施) |
| 研修形式 | 業務棚卸・改善方法検討、ハンズオン操作習得、個別実装:各1日 + 成果報告会:半日、すべて集合研修にて実施 |
| 主な成果 | 年間1,600時間の業務削減効果(見込み・初回30名分試算)、研修参加者の積極的な業務改善の動き |
この事例のポイント
- 生成AIと日常業務で使えるデジタルツールとの掛け合わせで「実務担当者自身による」業務改善を実現
- 業務コンサルだけでなく、ツールのハウツーだけでもない、業務整理×デジタル活用の両軸のカリキュラム設計
- 講師+生成AIのダブルサポートで、一人ひとりの個別業務の効率化を実現
- 「現場の課題は現場が知っている」を起点に、課題の可視化から実装・成果報告まで一貫設計
研修導入の背景。なぜ「実務担当者向け」のDX研修が必要だったのか
─今回の研修に取り組まれた背景と、解決したかった課題についてお聞かせください。

東京きらぼしフィナンシャルグループ 人事部 シニアマネージャー 田中 佐知子 氏(以下、田中 氏):グループとして、システム開発や業務改善にはもともと取り組んでいましたが、一部のシステム部門の担当者や外部のSEおよびベンダーへの依存が高かったというのが長年の課題でした。必要なシステム改善はあってもスピーディーに進められない、納品後は自分たちで手が加えられず、業務に変更が発生してしまうと使えなくなる、というようなこともありました。
このような状況の中、「専門的なスキルを持つシステム部門の人材を増やす」だけでなく、「実務担当者のデジタルスキルを向上させ、各自が自身の業務をDXしていくこと」の必要性が見えてきました。
実務担当者に目を向けると、ITやデジタルツールに対するリテラシーの個人差が非常に大きく、DXを推進できるレベルのリテラシーを有する社員もいれば、日常業務でデジタル活用の機会が少なく、PCの基本操作に不安を抱える社員もいます。今回は、一定以上のデジタルリテラシーは有しているものの、DX推進までは踏み込めていない社員を対象に研修の実施を企画しました。
コードキャンプを選んだ理由とは。生成AI×デジタルツールで「自分たちで動かせる」が実現できる研修

─他社と比較される中で、コードキャンプを選んでいただいた決め手は何でしたか?
田中 氏: 生成AIを活用した業務効率化やアイデアソン形式の研修を提供する研修会社や、業務改善のコンサルティング会社などからお話を伺いました。
検討を進める中で、「現時点では、生成AIの出力の不安定さから、そのまま顧客向けの回答に利用したり、既存の業務プロセスにそのまま組み込むのは難しい」「業務整理だけではなく、実装までやり切る力を身につけてほしい」と考えるようになりました。
こうした背景から、生成AIは業務を進めるうえでの補助ツールとして位置づけつつ、RPAやExcel VBAといった既存ツールを活用して、まずは目の前の業務を着実に改善していくための研修を実施したい、という方向性が固まっていきました。

東京きらぼしフィナンシャルグループ 人事部 シニアマネージャー 山本 頌 氏(以下、山本 氏):エンジニアの方々と話す中で「生成AIを使うと簡単にプログラミングのコードが書ける」という話を耳にし、部内でExcel VBAやPower Appsで試してみたところ、確かに簡単にコードが書けました。エンジニア以外の社員にもVBAをはじめとしたデジタルツールの活用を広げられる可能性があると感じたことが、今回の研修を検討するきっかけでした。
田中 氏:そういう研修ができないかと探した時に、コードキャンプさん[1]が生成AIとVBAを組み合わせた業務効率化研修を実施した実績があることを知りました。
山本 氏:最終的な決め手としては、コードキャンプさんはVBAやPower Automateといったツールの操作指導に強みがあると感じた点です。
この研修の目的は、研修内の実装による業務効率化で終わりではなく、研修後に各部署で自発的にDXを推進する社員を育成することに主眼を置いています。「受講者にデジタルツールをいかに理解してもらうか」が次につながると判断しました。
田中 氏:加えて、ゼロから研修設計することに不安があったのですが、他社での経験をベースに、弊社のシステム利用環境などを踏まえた研修プランを提案していただけたことが、非常に印象に残っています。弊社の課題、目的に伴走していただける安心感がありました。
研修内容の特徴と工夫

①「ツールの使い方」ではなく「業務改善の手段」として学ぶ設計
コードキャンプの研修設計の特徴は、ツールに精通していながらもツールの使い方を教えることが目的ではない点にあります。業務整理だけでもなく、デジタルツールだけでもなく、この二つを掛け合わせて「実務担当者自身による改善」に着地させる設計が、今回の研修でも効果を発揮しました。
田中 氏:研修アンケートでも多くの声があったのですが、「ツールの活用を目的ではなく手段として捉える」という考え方を受講者がしっかり理解してくれた点は、コードキャンプさんのカリキュラムならではだと感じました。
単なるツール操作にとどまらず、「この業務はどう効率化ができるか、その実現にはどのような手段があるか」を自ら考える構成になっていたので、研修中から業務改善のアイデアが次々と生まれていましたし、現場に戻られてからもご自身の業務をどんどん改善している方が出てきていて、効果を強く実感しています。
②生成AIと人間の講師によるダブルサポート体制
30名の参加者に対して3名の講師が配置されたことで、1テーブルあたり約10名という手厚い体制が実現しました。
山本 氏:ワークショップ中、講師の方が各テーブルを回って一人ひとりに「どう?」と声をかけてくださっていたので、各テーブルで会話が弾んでいる様子が印象的でした。「質問ありますか?」と問いかけても静かになりがちな場面でも、プッシュで関わっていただけたので、参加者もやりやすかったと思います。
田中 氏:生成AIを壁打ち相手として、デジタルツールを活用した解決策を考えるという使い方は、参加者が普段想像しない体験だったと思います。
一度経験することで、今後、自身が本当に困ったときにも活用できる、次につながる研修になったと実感しています。
③自分の業務をテーマにした個別課題への取り組み
今回の研修では、仮想ケースではなく受講者自身の実際の業務課題をテーマとして持ち込む設計が採用されました。
田中 氏: 一人ひとりが自分の課題と向き合うからこそ、研修を通じて業務をちゃんと見直す流れができていました。
「じゃあこの部分を改善できるかも」というアイデアが、一日を通じて出てきていたと感じます。
山本 氏:手が止まってしまう参加者が出るかもしれないと心配していましたが、参加者全員が最後の実装までたどり着いていました。
研修の中で自分の業務を棚卸しながら「どこに使えそうか」を考える時間が設計されていたので、各自がアウトプットすべきテーマを自然と見つけられていたのだと思います。
【研修成果】研修から生まれた業務改善の実例
年間1,600時間の業務削減効果(見込み・初回30名分)
研修の業務整理の中で業務改善の度合いもあわせて可視化しました。
この結果、初回の30名分だけで年間1,600時間に上る業務時間の削減効果が見込まれる業務整理を行うことができました。実際にツールも実装済みで改善業務が現実に動き始めています。すでに、毎日30分の業務削減が実現できている社員もいます。
研修から生まれた具体的な改善事例
契約書作成の自動化
顧客との商談内容に応じてWordを切り貼りして作成していた契約書を、チェック項目に入力するだけで自動生成される仕組みに変更。作業ミスの防止と時間短縮、担当者間でバラついていた文書の統一が同時に実現しました。
フローのデジタル化
取引先からメールで連絡を受けた内容を手動でデータベースに転載していたものを、Microsoft Formsから入力してもらい、自動的にデータベースに連携するフローへ移行。一件ずつの入力作業に掛かる時間は短くても発生する件数や頻度が多く、業務全体の効率化につながりました。
データ転記・集計の自動化
月に1,500回、手動でデータ転記していたものをマクロで自動化した事例や、20以上の部署から集めたデータを一つのファイルに集約し、また部署別に分割して返す作業を自動化した事例など、現場ならではの繰り返し作業を解消した事例が多数生まれました。
業務フローの見直し
受付するごとに複数の社内の管理用書類に手書きでお客様の氏名を記入していた作業を、データソースから各書類へ自動転記して出力する仕組みを構築。手書き作業がなくなることで、記入ミス・記入漏れや、確認作業が不要となり、効率化につながりました。
田中 氏:一つひとつの改善が非常に高度なデジタル活用かというとそうでもないかもしれませんが、業務の自動化や標準化を自身で実装できたことは、意味のある経験になったと考えています。無駄な作業を気づかないままずっと続けていたことに初めて気づく場面が研修の中で数多く見られました。
参加者の声
研修後、参加者から次のような言葉が届いています。
「研修に参加させていただいて、それまでペンディングしていた様々なことが一気に好転しました。部署にとっても私のキャリアにとっても良かったです。」
また、研修終了時に「こんな研修を求めていた」という声も届き、実践的な内容へのニーズの高さが改めて浮き彫りになりました。
内製化に対する意識の変化
山本 氏:以前は「業務効率化のためにはシステム部門に作ってもらえれば」「こういうシステムを入れられれば」という依存の発想が強かったと思います。
今回の研修を経た社員が増えていけば、現場で「こういうことを自分たちでやります」という動きに変わっていくのではないかと期待しています。
田中 氏:積極的にいろいろ考えてくださる方が多かったです。
「自動化できる」という気づきが生まれ、最初は「自分にはできない」「自分の業務の中にデジタルを活用できる余地はない」と感じていた方も、だんだん進めていくうちに「あ、できそう」という気づきに変わっていく方がたくさんいらっしゃいました。
社内生成AI活用コンテストへの参加
定期的に社内で開催している生成AI活用コンテストに、初回研修参加者の約半数から業務効率化活用の応募がありました。
研修で取り組んだ効率化施策を発展させた応募もあれば、研修での学びを別の業務に応用した応募もあり、山本氏は「研修をきっかけに、自身の業務の効率化にチャレンジしようとする姿勢に変わった方がいた」と振り返ります。
今後の展望
田中 氏:DXは大きなシステム導入だけが答えではありません。まずは人を育てることが、結果的に一番の近道だと思っています。今後は、社内環境やルールが整った段階で、次のステップとしてAIエージェントの活用を検討しています。

東京きらぼしフィナンシャルグループ 人事部長 兼 HM室長 安藤 晴通 氏:組織全体でも、業務を削減する目標を先に設定し、そのために各部署に配置されたデジタル人材がキーパーソンとなって実現を推進していくという動きが具体的に進んでいます。今回の研修で育った人材が、その変化の担い手になってくれると期待しています。
山本 氏:今回の研修で学んだ生成AIの使い方や、効率化する業務をタスクごとに整理する考え方は、次のステップのAIエージェントの活用につながる基礎になると考えています。
【コードキャンプの視点】
「現場の課題は現場が知っている」を確信に変えた30名の挑戦
今回の研修を通じて改めて実感したのは、「現場の課題は、現場の人が知っている」ということです。
業務の非効率や改善余地は、その場で日々働いている社員が誰よりもよく知っています。しかし、その課題は往々にして言語化されないまま、あるいは「自分では解決が難しい」という諦めとともに、見過ごされてきました。
この研修では、実務担当者の一人ひとりが自分の業務課題を可視化することを出発点としています。そこに生成AIを掛け合わせることで、効率よく解決策を検討し、各自がツールを用いて実装するところまで踏み込むことができます。
印象的だったのは、生成AIが返してくる情報量の多さに戸惑う場面でも、人間の講師がそこに入ることで「まずここから始めよう」という整理が一緒にできたことです。一人でやっていたら「よくわからない」で終わっていたかもしれない場面が、次の一歩につながる成功体験に変わっていく。その瞬間を共に作り上げられたことに、大きな価値を感じました。
実務担当者の方々が主体的に関わり、課題を明確にできれば、生成AIも有効に活用することで改善やDXは、着実に前進していきます。そういった手応えを、今回の30名全員の取り組みを通じて強く感じました。
初回参加の30名が、それぞれ自分の業務改善を実現できているということが、この研修の大きな収穫です。引き続き、企業の状況に合わせたカスタマイズ研修の提供を通じて、業務効率化やDX人材育成のお手伝いをしてまいります。
研修概要
東京きらぼしフィナンシャルグループが導入しているIT研修
株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループについて
URLhttps://www.tokyo-kiraboshifg.co.jp/
東京きらぼしフィナンシャルグループは、首都圏を中心に展開する金融グループです。中期的なDX人材の拡充を経営戦略の柱のひとつに位置づけ、実務担当者150名を対象にデジタルリテラシーの底上げを推進しています。専門部署によるシステム開発や外部ベンダーへの依存から脱却し、実務担当者一人ひとりがデジタルツールを使いこなして自らの業務を改善していく「現場主導型のDX」を目指しています。
本記事でご紹介した取り組みのように、生成AIやExcel VBAを活用した業務改善を現場主導で生み出せる人材・組織への変革を、継続的に推進しています。
東京きらぼしフィナンシャルグループが目指すDXの姿
「現場の課題は現場が知っている」その考えのもと、特定の専門人材だけではなく、営業・事務・管理など職種を問わずすべての社員がデジタルを活用して業務をより良くしていく組織づくりに取り組んでいます。
- 実務担当者150名へのデジタルリテラシー教育を展開
- 全社で業務削減を目標に、各部署のデジタル人材がキーパーソンとして推進
- 生成AI・RPA・VBAを組み合わせた現場主導の業務自動化を継続推進
