株式会社ヘンリーは、2026年6月29日、医療法人正幸会 正幸会病院(大阪府門真市・56床)とともに、クラウド型電子カルテ「Henry」に生成AIを組み込んだ業務フロー再設計の実証実験結果を発表しました。
Henry導入の背景にある中小病院の経営課題
医療現場は、人手不足と経営難に直面しています。病院の正規雇用看護職員の離職率は11.3%、中途(既卒)採用者では16.1%に達し、人材の確保と定着が経営の生命線です。一方で医業利益が赤字の病院は約7割にのぼり、100床あたりの医業利益は7年連続の赤字が続いています。
こうした状況のなか、病院が生き残るには患者にも働き手にも選ばれる必要があります。その鍵となるのが、限られた人員でも回る生成AIを前提とした業務フローの構築です。全国に約7,000ある中小病院は人材・資金の制約が大きい一方、クラウドネイティブ型電子カルテに組み込まれた生成AIで中小病院の業務フローを設計し、Before/After実測データを公開した実証事例は本実証が初とされています(自社調べ)。
Henryの生成AI前提運用フローで工程そのものを削減
本実証の主目的は、既存の業務をそのまま生成AIに置き換えることではなく、生成AIを使うことを前提に業務フローそのものを設計し直す点にあります。その結果、紙へのメモや転記といった、これまで当たり前だった工程が不要になりました。
看護ラウンド中の記録業務では、従来「病室で患者を観察」「紙に看護記録をメモ」「紙にバイタルをメモ」「ナースステーションに戻りカルテに転記」という5つの工程を要していました。生成AIを前提に組み替えた後は、「病室で患者との会話を録音」「文字起こし中にバイタルを入力」のわずか2工程に減少しています。1件あたり約1~2分で、内容の充実した看護記録が完成するようになりました。
この運用を可能にするのが、音声入力(記録)からサマリ生成までを単一のカルテ内で一気通貫に処理するアーキテクチャです。スタッフは、カルテ画面を離れる必要がなく、カルテの実データと音声データを根拠にAIが文書を生成するため、速さと正確性が両立します。
すべての記録はAI生成後に担当者が確認・承認するのみとなり、業務負担が大幅に軽減されます。大病院向けオンプレミス型や既存カルテへの外付け連携型とは異なり、クラウドネイティブな病院向け電子カルテに機能を内蔵している点も特徴で、記録のたびに外付けアプリへ移ってコピー&ペーストする作業が不要になりました。
削減効果の内訳は、以下の通りです。
- 音声入力による削減:188時間
- 文書(サマリー)AIによる削減:198時間
- 全職種合計の月間削減(試算):約386時間
正幸会病院 理事長/院長の東 大里氏は、今後汎用人工知能(AGI)の開発が進展するなかでAIが診療補助という補助的な存在から、医療のあり方そのものを左右する存在になっていくとの見方を示しました。生成AIプロジェクトリーダーの中村 香織氏は、院内の各部署における業務課題に触れることで、生成AI活用の可能性を改めて実感したと述べています。看護副師長の宮城 泉氏は、発話内容を整理しながら、文書化できることで記載漏れの防止や情報共有の質の向上につながると述べました。
正幸会病院×Henry実証実験の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社ヘンリー |
| 共同実証先 | 医療法人正幸会 正幸会病院(大阪府門真市・56床) |
| 対象システム | クラウド型電子カルテ「Henry」 |
| 実証期間 | 2026年4月20日〜6月5日 |
| 月間削減時間 | 約386時間(試算) |
| 退院サマリ作成時間 | 約40分から約4分(約90%短縮) |
| 看護記録の工程数 | 5工程から2工程に削減 |
| 代表取締役CEO | 逆瀬川光人氏 |
trends編集部の一言
記録業務を月間約386時間も削減できたという試算は、医療現場以外の立場から見てもインパクトがあります。マーケティング業界全体としては、会議メモやレポート作成のために本来の業務から離れて入力作業に時間を取られる場面が依然多く、業務フローそのものを「AIを使うこと前提」で組み替える発想は業種を超えて応用可能な視点と言えます。
生成AIの活用は「既存業務への後付け」になりがちな点が、業界を問わず共通の課題です。マーケティング業界の文脈に置き換えると、カルテ画面を離れずに会話のまま記録を完成させるという設計は、ツールを足すのではなく工程そのものを減らすアプローチであり、業界全体の作業プロセス転換を象徴する動きと読み取れます。
References
- ^ PR TIMES. 「正幸会病院(56床)、Henry AIで記録業務を“AI前提”に再設計 | 株式会社ヘンリーのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000102549.html, (参照 26-07-01).
※上記コンテンツの内容やソースコードはAIで確認・デバッグしておりますが、間違いやエラー、脆弱性などがある場合は、コメントよりご報告いただけますと幸いです。
ITやプログラミングに関するコラム
【Git】remote設定を変更する方法
【VBA】コメントアウトを設定する方法
マークダウンで改行する方法
【CSS】notで複数の件を除外する方法
x86とx64の違いを分かりやすく解説
GitLabとGitHubの違いを解説
パソコンのメモリの目安を用途別に選ぶ方法
Linuxで環境変数を確認する方法
CapsLockキーを解除する方法
UbuntuのIPアドレスを確認する方法
ITやプログラミングに関するニュース
ウィブル証券がMCP対応金融データAPIに23の新エンドポイントを追加、企業財務やETF構成銘柄をAIで分析可能に
AI顧問が専任CAIO設置率4%の中堅企業に選択肢を提示、採用に頼らずAIの専門知見を確保
株式会社キャスターがAIアシスタントの新サービスを提供開始、Slackによる24時間365日受付と人による品質担保を両立
株式会社ビザスクが「ビザスクdirect」にAI案件作成サポート機能β版を追加、4つの設問で求人票作成を自動化
株式会社ジョイゾーが業務改善AI伴走サービス「スキル39」を提供開始、AIがAIを作る仕組みで現場の自走を支援
株式会社キャリアサバイバルが中部電力株式会社と「AI Manual Coach」を共同開発、熟練者の技術を可視化
INCLUSIVE Holdings株式会社が最高AI責任者(CAIO)を新設、グループ横断でAI・データ戦略を推進
株式会社ヘンリーが正幸会病院でクラウド型電子カルテ「Henry」の業務フロー再設計を実証、月386時間の削減を実現
ChatSenseのNotebook機能が「カスタム指示」を実装、前提条件の書き直し不要に
株式会社システムエグゼがデータマスキングサービスを提供開始、自治体の黒塗り・墨消し作業をAIで効率化
