セーフィー株式会社は、清水建設株式会社や株式会社ウェッブアイ、株式会社コルクと4社で協業し、ウェアラブルクラウドカメラのリアルタイム映像とAI解析を組み合わせた「AI施工管理システム」を構築し、実証実験を実施しました。
AI施工管理システム構築の背景にある建設現場の課題
建設業界では、現場担当者の業務負荷が慢性的な課題となっています。日々の進捗管理や膨大な写真記録、報告書への入力作業が多くの時間を占め、本来注力すべき品質管理や安全管理への集中を妨げる要因となっていました。
特に若手の施工担当者は、日中の現場対応や移動による時間的制約を受けやすい状況にあります。日々の巡回対応により時間が制約され、結果として、施工実績の管理や工程の見直し、資機材手配の要否確認といった業務に十分な時間を確保することが難しくなっています。
AI施工管理システムの仕組みと4つのステップ
今回構築された「AI施工管理システム」では、現場の施工箇所付近に設置したウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus(セーフィー ポケット ツー プラス)」のリアルタイム映像を、APIを通じて一定間隔でAI解析用サーバーへ送信します。清水建設が独自に開発したAI解析技術により、施工状況を自動判定する仕組みです。
具体的には、山留め工事等における施工サイクルを4つのステップで計測します。以下の4段階が自動判定の対象です。
- 段取り・マシンセット
- 削孔
- H鋼建込み
- モルタル注入
各ステップの所要時間および必要人工を逐次計測し、構造化データとして出力しました。得られた実績データはブラウザ上のダッシュボードで可視化されます。
作業予定と実績に乖離が生じた場合には、翌日以降の最適な工程計画や資機材手配の修正案が、システムによって自動提示される設計です。さらに、取得したデータをもとにシステムが直近の工事進捗に基づいた施工完了時期を精度高くシミュレーションし、BIM/CIM共有クラウド「KOLC+(コルクプラス)」の4Dシミュレーションや工程管理ソフト「工程's Orario(工程ズ オラリオ)」に連携します。
工程の自動的な後ろ倒し補正から、次工程に必要な資材発注タイミングの修正までをワンストップで実行する仕組みです。
AI施工管理システム実証実験の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 実証実験期間 | 2025年12月~2026年5月 |
| 実施場所 | 鶴ヶ峰駅付近連続立体交差工事 第1工区 |
| 協業体制 | 4社(セーフィー・清水建設・ウェッブアイ・コルク) |
| セーフィーの役割 | ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus」の提供 |
| 清水建設の役割 | ユースケースの検討、現場実証管理、施工管理クラウドシステムの構築 |
| コルクの役割 | BIM/CIM共有クラウド「KOLC+」の提供 |
| ウェッブアイの役割 | 工程管理ツール「工程's Orario」の提供 |
| シェア根拠 | テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2025)」より、エンジン別カメラ登録台数ベース(54.3%) |
| セーフィー設立 | 2014年10月 |
| セーフィー代表者 | 佐渡島 隆平氏 |
| セーフィー所在地 | 東京都品川区西品川1-1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー |
trends編集部の一言
クラウドカメラやAI、BIM/CIMという複数システムをAPIで連携し、施工サイクルの自動判定から工程表の自動修正まで一気通貫で動かした点は、建設業界以外からも注目に値する取り組みです。建設DX領域では、ツールが乱立して「データを手動でつなぎ合わせる作業」に追われる状況が、業界全体の共通課題として、語られてきました。分散した情報を一元化して後追い修正を省く設計は、業界全体の作業プロセス転換を象徴する動きと読み取れます。
「人の目による確認」と「手入力」に依存するアナログプロセスをAIで自動化し、現場が自律的に最適対応を導き出す「自律型現場」のプロトタイプを確立した点は、建設業界の現場AX(AI Transformation)を語るうえでの重要な検討材料です。AIエージェントによる資材の自動発注や協力会社への自律的な連絡機能の検討も視野に入っており、今後の展開も業界動向として、注目されそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「セーフィー、清水建設など3社と映像・AI・施工管理データを連携した「AI施工管理システム」を共同検証 | セーフィー株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000356.000017641.html, (参照 26-05-21).
