株式会社アジラは、独自開発のVision-Language Model「AsillaVision」をAI警備システム「AI Security asilla」に統合しました。
AsillaVision開発の背景と行動認識AI技術資産
株式会社アジラは2015年から、人の行動を映像から理解する行動認識AIの研究開発に特化してきました。転倒や喧嘩、侵入、滞留といった行動を高精度に分類する独自モデルを開発し、2022年にはこの技術を活用したAI警備システム「AI Security asilla」の提供を開始しています。現在は、国内外200を超える施設に導入されており、全国の導入施設での運用を通じて蓄積した防犯カメラ映像データは、2026年5月時点で累計800万件を超えています。
実環境で精度を高めるために必要な知見も、この運用の積み重ねのなかで蓄えてきました。汎用VLMをそのままセキュリティ現場に適用しても、施設ごとに異なる環境への最適化や求められる即応性には届かないという課題があります。株式会社アジラは、この差を埋められるのは自社の技術資産と現場知見だと判断し、蓄積した独自データをもとに防犯カメラ映像特化の国産VLM「AsillaVision」の開発に2025年末から着手しました。
AsillaVisionの特徴とAI Security asillaへの実装
「AsillaVision」は、株式会社アジラが自社の独自データから開発した防犯特化型の国産VLMです。4B(40億)パラメータの軽量設計により施設内のエッジ環境で動作し、映像を施設外へ送信することなく運用できます。実環境に適応する精度と、製品へ軽量に組み込めるアーキテクチャを兼ね備えたモデルです。
「AI Security asilla」への実装では、「AsillaVision」を単体で用いるのではなく、これまで磨いてきた姿勢推定ベースの行動認識AIと組み合わせています。行動認識AIが「人が倒れた」という動きを捉え、そのうえでVLMが映像の文脈を読み取る仕組みです。
床に横たわる人が、転倒したのか、壁にもたれて休んでいるのか、もみ合いの末なのか——状況まで見分けることで、本当に対応すべき事象をより的確に捉えられるようになります。この組み合わせにより、検知精度を最大約8割向上させることを確認しました。
第一弾として、対応する検知の対象は以下の通りです。
- 転倒の検知
- 喧嘩の検知
今後は、対象とする事象を順次拡大していく予定です。なお、学習データは導入施設の同意のもとで収集し、第三者機関によるプライバシー影響評価(PIA)を経て、個人を特定しうる情報を排除しています。
AsillaVisionおよびAI Security asillaの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | 株式会社アジラ |
| モデル名 | AsillaVision |
| カテゴリ | Vision-Language Model(VLM)・防犯カメラ映像特化 |
| パラメータ数 | 4B(40億)パラメータ |
| 動作環境 | 施設内エッジ環境(映像の施設外送信なし) |
| 検知精度の向上 | 従来手法比・最大約8割向上(検証期間:2026年3月〜5月) |
| 本格展開時期 | 2026年春の先行導入を経て6月より国内大型施設へ展開 |
| 導入施設数 | 国内外200を超える施設 |
| 累計データ数 | 2026年5月時点で累計800万件を超えています |
| プライバシー対応 | 導入施設の同意のもと収集し、PIAを経て個人を特定しうる情報を排除 |
| 解析稼働時間 | 24時間365日 |
| 所在地 | 東京都町田市中町一丁目4-2 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 尾上剛氏 |
| 公式サイト | https://jp.asilla.com/ |
trends編集部の一言
防犯カメラが「動きを検出する」段階から「状況を理解する」段階へと移行するという構想は、セキュリティ業界に限らず、幅広い現場に示唆を与えます。業界全体としては、汎用AIをそのまま現場に当てはめることへの限界感が共有されつつあり、「現場特化のデータで磨いたモデルでなければ精度が出ない」という認識が広がってきました。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、汎用の生成AIツールでは自社特有の文脈や過去の施策データを反映しきれないという課題は業界横断で語られてきたテーマです。独自データを土台に蓄積してきた技術を製品へ実装するアプローチは、業界全体の作業・判断プロセスの転換を象徴する動きとして注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「映像解析AIのアジラ、独自VLM「AsillaVision」を国内大型施設で本格展開へ | 株式会社アジラのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000342.000043312.html, (参照 26-06-25).
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