株式会社ORENDA WORLDは、国産ソブリンAIサービス「葛尾ソブリンAI(Katsurao Sovereign AI)」を2026年内に順次提供開始する予定であることを発表しました。
葛尾ソブリンAIが目指す「外に出せないデータ」の活用課題
防災・減災、行政サービス、農林業、医療・福祉、学術研究——地域には、AIで解きたい課題が数多くあります。しかし、個人情報を含む行政データや未公開の研究データなど、性質上、組織の外に持ち出せないデータが多く、AI活用の壁となってきました。
一般的なクラウド型AIサービスでは、入力した情報が海外のサーバーで処理・学習される場合があります。「使いたいのに、データを外に出せないから使えない」という状況に対し、株式会社ORENDA WORLDは、データを国内・地域の閉じた環境で完結させる「ソブリン(データ主権)型」のAIが不可欠だと考えています。
「葛尾ソブリンAI」が提供する3つの価値
本サービスが提供する価値は、次の3点です。
- 守りの価値:入力データを国内閉域で処理し、再学習にも使用しない国産セキュアAI
- 伴走の価値:構想から追加学習(ファインチューニング)や社内データ検索(RAG)の構築・運用まで一貫して伴走する専門支援
- 地域の価値:福島大学との共同研究基盤として、地域の人材とイノベーションを育成
「守りの価値」では、オープンソースの高性能LLMをベースに、葛尾村のデータセンター内へ組織専有の独立した環境を構築します。入力データは、外部ネットワークや海外サーバーを経由せず、日本国内で処理が完結しました。「伴走の価値」では、AIの専門人材を抱えていない自治体や地域企業でも「自組織専用AI」を一緒に育てられる体制を整えています。
「地域の価値」については、福島大学との包括連携協定に基づく共同研究の基盤としても活用される予定です。福島大学との共同研究として、地域経済のシミュレーション、農林業のDX、防災・減災に向けたAIモデルの構築などを進める計画です。
葛尾ソブリンAIを支える自社専用AIデータセンターのコスト構造
パブリックAI(ChatGPT、Gemini等)は利用量に応じた従量課金制であり、利用拡大に伴うコスト変動や値上がりリスクが課題となります。「葛尾ソブリンAI」が基盤とする自社専用AIデータセンターでは、月額固定の定額制(1GPU/H200あたり月額20万円)を採用しています。データ量の増加に関わらず安定したコストでAIを本格活用でき、中長期の予算計画が立てやすい点が優位性です。
最小単位(1GPU)から段階的に拡張できる設計のため、必要な業務や部門から導入を始められます。テキスト処理だけではなく、画像や動画、図面など重い処理にも対応可能です。
葛尾ソブリンAI(Katsurao Sovereign AI)の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社ORENDA WORLD |
| サービス名 | 葛尾ソブリンAI(Katsurao Sovereign AI) |
| カテゴリ | 国産ソブリンAIサービス |
| 対象 | 自治体や地域企業、研究機関 |
| 基盤施設 | 葛尾デジタルイノベーションLAB(福島県葛尾村) |
| 主要GPU | NVIDIA H200 Tensor Core GPU(最大800台収容可能な設計) |
| 料金体系 | 月額固定定額制(1GPU/H200あたり月額20万円) |
| 敷地面積 | 約6,300平方メートル(約1,900坪) |
| 建物面積 | 約300坪(コミュニティスペース約100坪、AIサーバー室約200坪) |
| 連携機関 | 福島大学(包括連携協定に基づく共同研究) |
| 補助事業 | 経済産業省の補助事業 |
| 会社所在地 | 東京都港区北青山一丁目3番6号 SIビル青山 |
| 代表者 | 代表取締役 澁谷 陽史氏 |
| 設立 | 2015年7月15日 |
| 事業内容 | AIソリューション事業、デザイン開発事業、地方創生事業 |
trends編集部の一言
月額固定の定額制(1GPU/H200あたり月額20万円)という料金設計は、従量課金型のAPIコストが読めないという課題が広がる中で、コスト予測可能性を担保する設計として注目される数字です。業界全体として、「AI活用コストの予測可能性」への関心は今後さらに高まる傾向にあります。
「外に出せないデータをAIで扱えるようにする」という課題設定は、地域行政や医療に限った話ではありません。マーケティング業界でも、顧客の購買履歴や行動データを外部のAIサービスに渡すことへの抵抗感は根強く、社内閉域でのAI活用への関心は着実に高まっています。葛尾村という復興地域を起点に、こうしたニーズへの一つの選択肢が示された事例として、業界内でも今後の動向が注目されています。
References
- ^ PR TIMES. 「ORENDA WORLD、福島・葛尾村のAIデータセンターを基盤とした地域伴走型の国産ソブリンAIサービス「葛尾ソブリンAI」の提供開始を発表。復興地域の葛尾村から、「外に出せない課題」を解く。 | 株式会社ORENDA WORLDのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000101429.html, (参照 26-06-09).
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