デル・テクノロジーズは、2026年5月18日にエージェンティックAIソリューション「Dell Deskside Agentic AI」を発表しました。
Dell Deskside Agentic AIが対応するクラウドコストとデータ主権の課題
AIワークフローがエージェント型アーキテクチャーへと移行するにつれて、トークンの使用量は加速的に増加しています。トークン単価が下落しているにもかかわらず、クラウドコストが持続不可能なレベルまで高まる可能性も懸念材料です。
クラウドのみの戦略では、大規模運用において「経済性」「セキュリティー」「データ主権」の3要素が十分に満たされません。「Dell AI Factory with NVIDIA」は、意思決定を行うデスクから拡張が行われるデータセンターまで、本番環境へ移行するための道筋を示します。
「Dell Deskside Agentic AI」を活用することによって、さまざまな規模のエージェンティックAIワークロードにおいて、最短3カ月でパブリッククラウドのAPIにかかるコストと同等、あるいはそれを上回る成果を出すことが可能とされています。パブリッククラウドAPIと比較して、2年間で支出を最大87%削減できるとのことです。
Dell Deskside Agentic AIのハードウェア構成
「Dell Deskside Agentic AI」は、エージェント型ワークフローの50%以上がオープンウェイトモデルで実行されているという、OpenRouterのデル・テクノロジーズ社内分析に基づいて構築されています。コーディングアシスタントやリサーチエージェントから、規制の厳しい業界向けの高度にセキュアなプライベートAIアシスタントまで、ワークロードや予算の要件に合わせたハードウェアラインナップを提供します。主な構成は以下の通りです。
- Dell Pro Max with GB10:300億パラメーターモデルから最大2,000億パラメーターモデルまで対応する、小規模な個別エージェントプロトタイピングに適したコンパクトで電力効率に優れたシステム
- Dell Pro Precision 9:インテル(R) Xeon(TM) 600プロセッサーと最大5つのNVIDIA RTX(TM) PRO Blackwell Workstation Edition GPU構成のエンタープライズワークステーション。300億から5,000億パラメーターのモデルをサポートし、主力級のGPUワークロードにスケーラブルなパフォーマンスを提供します。300億から2,840億パラメーターの範囲でも柔軟に対応できます。
- Dell Pro Max with GB300:NVIDIA GB300 Grace Blackwell Ultra Desktop Superchipを搭載し、1,200億から1兆パラメーターの推論モデル向けに専用設計されたプラットフォーム。デル・テクノロジーズ独自のMaxCoolテクノロジーを採用し、最高効率でのフロンティアレベルの推論を実現します。
Dell Deskside Agentic AIのソフトウェアスタックとセキュリティフレームワーク
ハードウェアと組み合わされるNVIDIA NemoClawリファレンススタックは、エージェント型フレームワーク「OpenClaw」に基づき、常時稼働のAIエージェントを安全に管理するためのオープンソースの基盤です。
このスタックは、リーズニングとコーディングのためのNVIDIA Nemotron高パフォーマンスオープンモデル、実行時に機能するNVIDIA OpenShellのセキュアなランタイム、そして長時間実行されるエージェントの構築とオーケストレーションを行うNVIDIA Agent Toolkitを組み合わせています。
NVIDIA OpenShellは「Dell AI Factory with NVIDIA」全体でサポートされ、デスクサイドワークステーションから「Dell PowerEdge XE」サーバーまで、単一のセキュリティーおよびポリシー強化レイヤーを提供します。
NVIDIA AI-Q 2.0 Blueprintのサポートにより、マルチエージェントワークフローの展開基盤として「Dell AI Data Platform」を基盤とする「Dell-NVIDIA AI-Q 2.0 Reference Architecture」が構築されています。このアーキテクチャーは、金融サービスや公共部門、製造業などの規制業界向けに提供されています。
Dell Deskside Agentic AI ソリューション概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | デル・テクノロジーズ |
| ソリューション名 | Dell Deskside Agentic AI |
| カテゴリ | エージェンティックAI |
| 発表日 | 2026年5月18日 |
| 発表場所 | Dell Technologies World 2026(米ネバダ州ラスベガス) |
| 対応モデル規模 | 300億から1兆パラメーター |
| コスト削減効果 | パブリッククラウドAPI比で2年間で最大87%削減 |
| 対象ハードウェア | Dell Pro Max with GB10 / Dell Pro Precision 9 / Dell Pro Max with GB300 |
| ソフトウェアスタック | NVIDIA NemoClaw / NVIDIA OpenShell / NVIDIA Agent Toolkit |
| 提供形態 | すでに利用可能 |
trends編集部の一言
パブリッククラウドAPIと比較して2年間で最大87%のコスト削減という数値は、AIインフラの選択を再考させるインパクトがあります。業界全体としては、生成AIの導入初期にクラウドAPIで実験し、コストが膨らんだ段階でオンプレミスへの移行を検討するという流れが加速しつつあります。今回のソリューションは、まさにその移行フェーズを狙った提案と言えそうです。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、AIを活用したコンテンツ生成や分析ツールの利用コストが予算管理の課題になるケースが常態化しており、インフラ選択の判断軸として注目されています。「ローカルで推論を完結させる」という設計思想は、データを社外に出せない業種や、APIコストの変動リスクを嫌う企業に対して実務的な示唆を持ちます。デスクサイドからデータセンターまで一貫したセキュリティポリシーで管理できる点も、同種ソリューションと比較してデータ主権とコスト予測性を重視した設計として業界動向のなかで注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「デル・テクノロジーズ、デスクサイドからデータセンターまで、本番環境対応のエージェンティックAIを提供 | デル・テクノロジーズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000025237.html, (参照 26-05-21).
