株式会社セールスフォース・ジャパンは2026年5月20日、Salesforce傘下のインフォマティカがすべてのAIエージェントに不可欠な信頼性の高いデータ基盤を発表したと明らかにしました。
AIエージェント時代のデータ基盤課題
あらゆる企業がAIエージェントの実用化に向けて競争を繰り広げている中、その多くは依然として断片化され、古く、AIが要求するスピードで統制できないデータの上で稼働しています。2026年のCDO調査によると、データリーダーの76%が「ガバナンスがAIの進化に追いついていない」と認めました。また、61%が「より高品質なデータがAIパイロットの本番移行を容易にする」と回答しており、AIへの期待と企業の現実とのギャップは大きく広がっています。
このギャップこそが、多くの企業のエージェンティック エンタープライズへの変革を阻んできた要因です。インフォマティカは、こうした断片化したデータの課題に対し、完全なヘッドレスデータマネジメントを提供する初のエンタープライズデータマネジメントプラットフォームとして対応します。すべてのデータマネジメント機能を再利用可能でガバナンスされたサービスとして公開し、ネイティブのModel Context Protocol(MCP)サポートにより、AIエージェントがコードを記述することなく瞬時に呼び出せる設計です。
企業は、Claude、Slackbot、Cursorといった使い慣れたLLMやIDEから、データマネジメント操作を直接呼び出せます。The Hearst CorporationのデータVPであるTheodora Bakker氏は、次のように述べています。「ヘッドレスデータマネジメントは、もはや『あれば便利』なものではなく、ミッションクリティカルな業務に必要なスピードと精度を達成するためのアーキテクチャ上の要件です。インフォマティカは、人間とエージェントの両方のワークフローを促進することによって、データ基盤が高速で信頼性が高く、正確であることを保証します」
自律型データマネジメント新機能群
Informatica Agentic Integrationは、企業全体にわたる構造化データと非構造化データのリアルタイムなフローを促進し、AIエージェントが完全で正確なコンテキストを把握できるよう支援します。Data Quality Agentは、ビジネスユーザーが自然言語でデータ品質ルールを定義し、エンジニアリングのサポートなしで本番環境に対応したロジックを自動的に生成およびデプロイします。Metadata Enrichment Agentは、データカタログのギャップを自動的に解消し、データが流れる際にビジネス上の説明と機密性ラベルを生成するものです。
インフォマティカは、業界初のAgentic Multidomain MDMを提供します。自律型エージェントがマスターデータをリアルタイムでクレンジング、管理、強化する継続的に稼働するシステムであり、時間がかかり手作業に依存する従来のMDMモデルに代わるものです。新しいData Steward Agentは、品質問題の解決やレコードのマッチングといった手間のかかる作業を自動化します。
すべてのマスターデータが独自の指示マニュアルを保持することによって、自律型エージェントが完全なデータリネージと透明性を伴って意思決定を行えるよう支援します。RabobankのグループリスクおよびファイナンスデータVPであるEdmond Tarée氏は、次のように述べています。「AI時代における財務の安定性を確保するため、当社はガバナンスされたデータ基盤を優先し、複雑なリスクと財務データを信頼性の高い実用的なインテリジェンスに変換しています。インフォマティカは、私たちが未来に備えるための支援をしてくれています」
SalesforceエコシステムおよびAgent Fabric Context Catalogとの統合
インフォマティカは、Salesforceのデータ基盤の一部として(Data 360、MuleSoft、Tableauと並び)位置づけられます。これらを支えるデータのガバナンス、正確性、そして最新の鮮度を高いレベルで維持することを可能にします。
Data 360 Connector and Scannerは、あらゆるエンタープライズシステムとSalesforce Data 360間でリアルタイムな双方向のデータフローを提供します。ハイブリッド、マルチクラウド、オンプレミス環境にまたがり、完全なエンドツーエンドのデータリネージを伴う設計です。MDM Integration with Data 360は、製品やアカウント、財務、サプライヤーに関する権威あるマスターデータとData 360を組み合わせた唯一のソリューションです。
CLAIRE in Slackでは、営業担当者、マーケター、アナリスト、カスタマーサービスチームが対象です。ツールを切り替えることなくSlack内で直接、データの探索、品質、ガバナンス、統合の各機能を呼び出せます。
Agent Fabric Context Catalogは、エンタープライズデータ資産とAIエージェントの両方を一元的に発見、管理、運用するための業界初の統合環境です。企業は、AIエコシステム内で稼働しているすべてのもの、すなわち検証済みのAIエージェント、エンタープライズデータ資産、ガバナンスポリシーを把握できます。統合のポイントにおける完全なデータリネージとともに、可視化・管理・信頼できるようになります。
Salesforceのデータファウンデーション担当プレジデント兼GMであるラウール・アウラドカー氏(Rahul Auradkar)は、次のように述べています。「本日、Salesforce傘下のインフォマティカが発表するのは、エンタープライズデータの新しいモデルです。エージェントがデータマネジメントの面倒な作業を処理し、チームが人間にしかできないことに集中できるようにするものです」
各機能の提供スケジュール
今回発表された各機能の提供時期は次の通りです。
| 機能名 | 提供時期 |
|---|---|
| ヘッドレスデータマネジメントおよびヘッドレスCLAIRE® | 2026年春 提供開始 |
| Informatica Agentic Integration | 2026年度 第4四半期予定 |
| Data Quality Agent | 2026年春 提供開始 |
| Metadata Enrichment Agent | 2026年度 第4四半期予定 |
| Agentic Multidomain MDMおよびData Steward Agent | 2026年度 第4四半期予定 |
| Data 360 Connector and Scanner | 2026年春 提供開始 |
| MDM Integration with Data 360 | 2026年度 第3四半期予定 |
| CLAIRE in Slack | 現在プレビュー版を提供中(2026年度 第4四半期 提供開始予定) |
| Agent Fabric Context Catalog | 2026年上半期 提供開始予定 |
trends編集部の一言
データリーダーの76%が「ガバナンスがAIの進化に追いついていない」と認めているという数字は、AIへの投資規模に比してデータ整備が後回しになっている実態を端的に示しています。業界全体としては、AIエージェントの導入競争が加速する一方で、その土台となるデータ品質・ガバナンスの整備が追いつかないという構造的な課題が、改めて浮き彫りになりつつある局面です。
Claude、Slackbot、Cursorなど使い慣れたツールからデータマネジメント操作を直接呼び出せる設計は、マーケティング業界の文脈に置き換えると「普段使いのツールで信頼できるデータにアクセスできる」という状態に近いものです。ツールを切り替えずにガバナンスされたデータへアクセスできるCLAIRE in Slackのような仕組みは、データ活用の敷居を下げる取り組みとして注目されます。業界全体としては、AIエージェント活用に先立ちデータ基盤整備の重要性が再認識されつつあり、どのフェーズで整備に着手するかという議論が今後さらに活発化しそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「インフォマティカ、すべてのAIエージェントに不可欠な信頼性の高いデータ基盤を発表 あらゆるプラットフォームでのエージェンティック エンタープライズの実現を支援 | 株式会社セールスフォース・ジャパンのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000365.000041550.html, (参照 26-05-30).
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