日本テラデータ株式会社は、2026年5月19日、オンプレミスで「ソブリンAI」と「ソブリンデータ」を実現する統合オンプレミス基盤「Teradata Factory」を発表しました。
Teradata Factoryが必要とされる背景
AIを実験段階から本番環境へと移行させ大規模に運用する企業にとって、ハイブリッド環境の構築は避けて通れない現実となっています。その一方で、クラウド利用に伴うコストの急増やデータ制約という課題が顕在化してきました。
大量のGPU消費や24時間続くAIの推論処理、膨大なデータを使うアナリティクスは、パブリッククラウドのコスト構造の限界を露呈させています。特に金融や医療、官公庁など、データの現地保管(データレジデンシー)や厳格なローカル制御が求められるセクターでは、ハイブリッド環境やプライベートAIの導入が必須要件です。
従来のオンプレミスの手法では、サーバーやストレージ、GPU、データベース、AIツールを企業が個別に調達・統合する必要がありました。この構造が、膨大なコストと複雑なインフラ統合リスクをもたらしていました。「Teradata Factory」は、これらを「事前検証済みの1つのシステム、1つの管理画面」に凝縮することによって、その複雑さを解消しています。
Teradata Factoryの主な機能
本製品は、Dell Technologiesのエンタープライズ向けコンピュートおよびストレージをベースに構築されています。AI開発ツール「AI Studio」を含むTeradataの完全なソフトウェアスタックを単一の管理画面に統合し、EDW(エンタープライズ・データウェアハウス)、レイクハウス、および高度なAIワークロードをネイティブにサポートします。主な機能は次の6点です。
- データが存在する場所でAIを稼働させるAIネイティブなオンプレミス基盤
- 生成AI・LLM・ML/DLを初日から並行実行できるGPU対応のオールインワン設計
- コンピュート・ストレージ・GPU・ネットワークを単一プレーンで統合し、モジュール単位で拡張可能な構成
- インフラ監視・クエリ最適化・コスト管理を自律実行する「Tera Agent」による自律管理
- 通常業務を邪魔しない高度なリソース管理(Active System Management機能)
- Apache Iceberg、Delta Lake、S3互換ストレージに対応するオープン&ハイブリッド設計
「Tera Agent」は、コンピュートリソースの監視からテレメトリ処理、コスト管理に至る運用タスクを自律的かつ継続的に実行します。これにより、IT部門の負荷を大幅に軽減します。
Apache IcebergやDelta Lakeへの対応により、Teradata Connected Data FoundationおよびTeradata Cloudとの連携が実現されています。S3互換ストレージのサポートも加わることで、データを一度保存すればクラウドとオンプレミスの双方から一貫してアクセスできる設計です。
Teradataチーフプロダクトオフィサー Sumeet Arora氏は次のように述べています。「データプラットフォームとAIプラットフォームは融合しつつあります。しかし、多くの企業は依然として、最も重要なデータから遠く離れた場所でAIを実行していました。『Teradata Factory』は、EDWの信頼性、レイクハウスの柔軟性、そしてAIの強力なパワーを単一のオンプレミスシステムに統合します」
KramerERPマネジングパートナーRobert B. Kramer氏も、「データ主権は、単なるコンプライアンスの要件を超えて進化しています。企業は、AIを『どのように走らせるか』と同等に、『どこで走らせるか』が重要であることに気づき始めています」と述べています。AIがパイロット運用から本番運用へ移行する中で、データ主権が中核的なアーキテクチャの決定要因になっていると同氏は指摘しました。
Teradata Factoryの製品概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 日本テラデータ株式会社 |
| 製品名 | Teradata Factory |
| カテゴリ | 統合オンプレミス基盤 |
| 発表日 | 2026年5月19日 |
| 国内提供開始予定 | 2026年第3四半期(7月~9月) |
| ベースハードウェア | Dell Technologies製エンタープライズ向けコンピュート・ストレージ |
| 主要機能 | AI Studio統合・Tera Agent自律管理・Active System Management・モジュール型拡張・オープンフォーマット対応 |
| 対応フォーマット | Apache Iceberg・Delta Lake・S3互換ストレージ |
| 対象環境 | オンプレミス・ハイブリッド |
trends編集部の一言
「24時間続くAIの推論処理がパブリッククラウドのコスト構造の限界を露呈させている」という指摘は、マーケティング業界でも無関係ではありません。大量データを扱う分析や施策の自動化が進むにつれ、クラウドの従量課金がどこまで膨らむかという問題は、業界を問わず共通の課題として浮上しています。
「どのように走らせるか」と「どこで走らせるか」を同列で問い直すという視点は、AIインフラ選定の議論が新しい局面に入ったことを示しています。マーケティング業界の文脈に置き換えると、個人情報や機密性の高いデータを扱う業務においても「ソブリンデータ」の考え方は業界全体の動向として注目されてきたテーマです。
事前検証済みの1つのシステム・1つの管理画面というアプローチは、導入後の運用コストを読みやすくする点でも評価されています。業界全体としては、国内提供が2026年第3四半期(7月~9月)に予定されるこの製品を機に、ハイブリッド環境整備においてオンプレミス回帰の選択肢が実務の議論の中心に据えられる流れが強まっています。
References
- ^ PR TIMES. 「テラデータ、オンプレミスで「ソブリンAI+データ」を実現する本番運用基盤「Teradata Factory」を発表 | 日本テラデータ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000018629.html, (参照 26-05-28).
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