デル・テクノロジーズは、2026年6月22日、NVIDIA Vera Rubin NVL4アーキテクチャーを採用した新サーバー「Dell PowerEdge XE8812」を発表しました。
Dell PowerEdge XE8812の主な特徴
「Dell PowerEdge XE8812」は、ファンレスかつ直接水冷方式を採用したサーバーです。分子シミュレーションやマルチフィジックスシミュレーションなど、高度なHPCおよびAIワークロードを実行する研究機関向けに設計されています。
NVIDIA GB200 NVL4からNVIDIA Vera Rubin NVL4アーキテクチャーへの移行によって、CPUコア数が144コアから176コアへ増加し、ホストメモリの拡張およびGPUメモリとコンピュートの増強が実現しました。NVIDIA CUDA-X ライブラリと組み合わせることで、より大規模なモデルやシミュレーションをすべてインメモリで実行できます。
主な特徴は次の4点です。
- ORv3スタイルのラックで最大144基のGPUと300kW超の電力をサポートし、100%直接水冷に対応
- 前世代比でソケットあたりのメモリ容量およびGPUメモリ容量が50%増加し、大規模モデルのインメモリ実行を実現
- 「iDRAC(Integrated Dell Remote Access Controller)」「Dell Integrated Rack Controller」「OpenManage Enterprise」によるリモート管理とラックレベルの可視性を確保
- 「Dell PowerRack」と「Dell ProDeploy」の組み合わせにより、わずか6時間強で導入と実稼働ワークロードの開始が可能
「Dell PowerRack 9100」は、工場統合済み・事前検証済みのラックスケールシステムをターンキーで提供します。導入の複雑さを軽減し、運用価値と投資収益率(ROI)をより早く実現できる設計です。
Dell AI Factoryの世界各地での導入事例
2026年のAI投資は前年比44%増加すると予測されています(Gartner「Forecast: AI Spending, Worldwide 2024-2029」、2026年1月)。組織の87%がイノベーションを、75%がAIを自社のビジネス戦略の重要要素と位置付けています。こうした背景のもと、すでに世界で5,000社を超える顧客が「Dell AI Factory」を導入しました。
米国では、デル・テクノロジーズ、NVIDIA、国立エネルギー研究科学計算センター(NERSC)が連携しました。米国エネルギー省の次世代フラッグシップ スーパーコンピューター「Doudna」を構築した事例です。
ローレンス・バークレー国立研究所に設置されるこのシステムは、NVIDIA Vera Rubin NVL4を搭載した「PowerEdge XE8812」サーバーを基盤とし、NVIDIA Quantum-X800 InfiniBandネットワークで接続されます。分子レベルから天文学に至るブレークスルーの加速を目指したシステムです。
フランスでは、AI企業のInstaDeepによるスーパーコンピューティング クラスター「Kyber」の拡張を「Dell AI Factory with NVIDIA」が支援しました。「Kyber」は、約0.5エクサフロップスのFP16性能を提供し、大規模AIモデルのトレーニングや産業設計ワークロードを可能にする構成です。
英国では、Wellcome Sanger研究所が、NVIDIA GPUを搭載した「PowerEdge XE」シリーズ サーバーを活用し、7時間ごとに1つの完全に組み立てられたゲノムを生成しています。100ペタバイトを超える遺伝子データをオンプレミスで管理し、Tree of Lifeプログラムを通じてEarth BioGenome Projectに70%超のゲノムを提供してきました。
オーストラリアでは、Monash大学がデル・テクノロジーズ、NVIDIA、CDC Data Centresと連携してスーパーコンピューター「MAVERIC」を開発・導入しました。採用システムは、水冷式の「Dell PowerRack」、「PowerEdge XE9712」サーバー、NVIDIA GB200 NVL72アーキテクチャーの3点による構成です。がん検出や気候変動対策、ゲノミクスなどの研究を後押しします。
Dell PowerEdge XE8812の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | デル・テクノロジーズ株式会社 |
| 製品名 | Dell PowerEdge XE8812 |
| アーキテクチャー | NVIDIA Vera Rubin NVL4アーキテクチャー採用 |
| 最大GPU数 | 1ラックあたり最大144基 |
| CPUコア数 | 144コア→176コア(NVIDIA GB200 NVL4からVera Rubin NVL4への移行時) |
| 電力サポート | 300kW超 |
| 冷却方式 | 100%直接水冷(ファンレス) |
| 対応ラックアーキテクチャー | Dell PowerRack 9100(ORv3標準ベース) |
| 管理ツール | iDRAC(Integrated Dell Remote Access Controller)、Dell Integrated Rack Controller、OpenManage Enterprise |
| 提供時期 | 来年初頭に全世界で提供開始予定 |
trends編集部の一言
2026年のAI投資が前年比44%増加するという予測は、規模の大きさとして印象的です。HPC業界の流れとしては、かつてスーパーコンピューター専用とされていたインフラが「Dell AI Factory」のような形でエンタープライズ全体に展開される段階に入ったと捉えられます。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、データ処理やモデル活用の基盤となるインフラの話題が増えているのは、その波及を示す動きのひとつです。業界全体としては、インフラ整備の速度が競争優位に直結するフェーズに入りつつあり、「どれだけ早く本番運用に入れるか」という問いは業種横断で共通の論点になってきました。わずか6時間強での導入と実稼働開始を実現する設計は、その観点からも注目される動向です。
ゲノム解析からソブリンAI、産業設計まで導入事例の幅広さは、AIインフラ市場全体としてが特定領域にとどまらない段階に入ったことを示しています。Dell AI Factoryが5,000社を超える導入規模に達している点からも、今後の機能拡張や価格帯の変化には注目しておく価値があります。
References
- ^ PR TIMES. 「デル・テクノロジーズ、「Dell AI Factory with NVIDIA」を拡充し、次世代のHPCおよびAIを牽引するスーパーコンピューティング クラスのインフラストラクチャーを推進 | デル・テクノロジーズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000422.000025237.html, (参照 26-06-25).
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