Google Cloudは2026年7月9日、GKE(Google Kubernetes Engine、GoogleのマネージドなKubernetes)のAutopilotクラスタでmanaged DRANET(Podへネットワーク資源を割り当てるGKEのマネージド機能)を有効にし、GPUとTPUのネットワークを設定する手順を公式ブログで解説しました[1]。Pod(コンテナの実行単位)へアクセラレータ向けのネットワークを割り当てる流れを、クラスタ作成から順に追います。
GKE managed DRANETの3行まとめ
今回の発表の要点を、先に3点へまとめました。
- GKE Autopilotでmanaged DRANETを有効化しGPUとTPUを利用
- ComputeClassとResourceClaimTemplateでアクセラレータ用ネットワークを指定
- GPUはRDMA対応、TPUは非RDMAのインターフェースをPodへ割り当て
本記事は公表時点の情報にもとづきます。仕様や提供状況、対応環境は変わる可能性があります。
導入や利用を判断する際は、各自の責任で公式情報の最新の内容をご確認ください。
設定変更やアップデートを行う場合は、必ず事前にバックアップを取得し、検証環境で確認したうえで実施してください。
managed DRANETがPodにアクセラレータ用ネットワークを割り当てる
managed DRANETは、Podへネットワーク資源を要求・割り当てできるGKEのマネージド機能です。GPU向けのRDMA(Remote Direct Memory Access、CPUを介さずメモリ間で直接データを転送する技術)対応インターフェースと、TPU向けのネットワークインターフェースを扱えます。
- GPU向けRDMA対応ネットワークインターフェース
- TPU向けネットワークインターフェース
- Podへ動的に割り当てるネットワーク資源
今回のブログが対象とするのは、この機能をAutopilotクラスタで有効にする構成です。GPUではRDMA、TPUではRDMAを使わない構成へと設定が分かれます。
AutopilotクラスタとStandardクラスタでのDRANETの違い
managed DRANETは、StandardクラスタとAutopilotクラスタのどちらでも利用できます。GKE Autopilotは、ノード・スケーリング・セキュリティなどの設定をGoogleに任せられる運用モードです。
| クラスタ種別 | 構成の主体 |
|---|---|
| Standardクラスタ | 利用者がノードや構成を制御 |
| Autopilotクラスタ | Googleが構成の多くを代行 |
今回のブログが解説する手順は、構成の手間を抑えたいAutopilot向けです。事前構成された設定を使うため、ノードの用意やスケーリングを自分で管理する必要がありません。
Autopilotでmanaged DRANETを有効化する4つの手順
Autopilotクラスタでmanaged DRANETを使うには、VPCを用意したうえで手順を踏みます。VPC(Virtual Private Cloud、仮想的な専用ネットワーク)のnetworkとsubnetworkは、事前に用意しておきましょう。
- Autopilotクラスタを作成
- アクセラレータ種別に対応するComputeClassを作成
- GPU用またはTPU用のResourceClaimTemplateを作成
- ワークロードからComputeClassとResourceClaimTemplateを参照して配置
1. Autopilotクラスタを作成する
はじめにプロジェクトやリージョンなどの変数を設定し、Autopilotクラスタを作成します。クラスタは、予約や資源が存在するリージョンにのみ作成できます。
gcloud container clusters create-auto $CLUSTER_NAME \
--project=$PROJECT_ID \
--region=$REGION \
--release-channel=rapid \
--network=$NETWORK \
--subnetwork=$SUBNETWORK
このコマンドはAutopilotクラスタを新規に作成し、構成へ変更を加えます。実行前にバックアップを取得し、REGIONやNETWORKなどの値は利用環境に合わせて置き換えてください。
2. アクセラレータを指定するComputeClassを作成する
ComputeClass(ノード構成の条件を定義するKubernetesリソース)で、アクセラレータ種別とmanaged DRANETを指定します。次はGPU(B200)向けのComputeClassの例です。
apiVersion: cloud.google.com/v1
kind: ComputeClass
metadata:
name: dranet-a4-computeclass
spec:
nodePoolAutoCreation:
enabled: true
nodePoolConfig:
dra:
networking:
enabled: true
priorities:
- machineType: a4-highgpu-8g
gpu:
count: 8
type: nvidia-b200
acceleratorNetworkProfile: auto
この例はComputeClassを定義するマニフェストで、貼り付けただけでは変更は起きません。クラスタへ適用するとノードプールの構成が作成されるため、適用前にバックアップを取得してください。
dra.networking.enabledでmanaged DRANETを有効にし、acceleratorNetworkProfileをautoにすると、ネットワークの構成が自動で選ばれます。TPUの場合はmachineTypeではなくpriorities内のtpuブロックにtype: tpu-v6e-sliceやcount: 8、topology: 2x4を指定してください。
3. deviceClassNameを指定するResourceClaimTemplateを作成する
ResourceClaimTemplate(Podが要求する資源のひな形)では、deviceClassNameでネットワークインターフェースの種別を選びます。GPUとTPUで指定する値が分かれます。
| アクセラレータ | deviceClassName | ネットワーク |
|---|---|---|
| GPU | mrdma.google.com | RDMA対応 |
| TPU | netdev.google.com | RDMA非対応 |
どちらの例もallocationModeをAllに設定し、対象のインターフェースを一括で要求する設定です。
4. ワークロードからComputeClassとResourceClaimTemplateを参照する
最後に、配置するワークロードのDeploymentからComputeClassとResourceClaimTemplateを参照します。nodeSelectorにComputeClass名を指定し、resourceClaimsでResourceClaimTemplateの名前を結び付けてください。
スケールアップでPodをアクセラレータに結び付ける仕組み
Deploymentを作成すると、スケールアップの処理が動き出します。ComputeClassとResourceClaimが、それぞれ別の役割を担う形です。
| 要素 | スケールアップ時の役割 |
|---|---|
| ComputeClass | 指定ノードの用意とDRANET構成 |
| ResourceClaim | Podとアクセラレータの橋渡し |
GKE AutopilotはComputeClassを読み取り、対象のノード種別を用意してmanaged DRANETのネットワークを構成します。
ResourceClaimTemplateから作られるResourceClaimは、Podを対象ノード上のアクセラレータへ直接結び付ける橋渡し役です。この流れは、TPUでもGPUでも変わりません。
GKE managed DRANET(Autopilot)概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | Google Cloud |
| 発表日 | 2026年7月9日 |
| 著者 | Ammett Williams(Developer Relations Engineer) |
| 対象環境 | GKE Autopilot(本手順)/Standardも対応 |
| 対応アクセラレータ | GPU(RDMA)/TPU(非RDMA) |
| 主なリソース | ComputeClass/ResourceClaimTemplate |
| 提供状態 | ブログに明記なし(公式ドキュメントで確認) |
| 参考 | Google Cloud 公式ブログ |
trends編集部の一言
今回のポイントは、ノードの管理をGoogleへ任せたまま、GPUにはRDMA対応、TPUには専用のネットワークインターフェースをPodへ割り当てられる点にあります。GPU間やTPU間の通信が速度を左右する分散AIワークロードでは、この構成が性能要件に関わってきます。
対象になりやすいのは、GKE上でGPUやTPUの分散ワークロードを動かすチームでしょう。Autopilotで運用の手間を抑えつつ高速なネットワークを求める場合に、検討したい選択肢の一つとなります。
なお提供状態や対応リージョン、予約や資源の条件などは、ブログに明記されていない部分もあるため公式ドキュメントで確認してください。記事末尾では、Gemma 4を使うハンズオンラボやAI Hypercomputerのドキュメントも案内されています。
References
- ^ Google Cloud. 「Autopilot Clusters with GKE managed DRANET: GPUs and TPUs」. https://cloud.google.com/blog/topics/developers-practitioners/autopilot-clusters-with-gke-managed-dranet-gpus-and-tpus/, (参照 26-07-10).
※本記事は公式発表を基に編集しています。内容はAIで確認していますが、誤りや最新情報との差異がある場合はコメントよりご報告ください。
