ASUSは2026年4月16日、NVIDIA GTC 2026において、NVIDIA Vera Rubinプラットフォームを採用した完全液冷AIインフラを発表しました。
NVIDIA Vera Rubin NVL72ベースのASUS AIインフラが目指す電力効率と拡張性
今回の発表の中核を担うのは、NVIDIA Vera Rubin NVL72をベースとした、フラッグシップモデル「XA VR721-E3」です。100%液冷式のラックスケールシステムである本製品は、最大227kWの熱設計電力(TDP)に対応し、従来のワット当たりパフォーマンスを最大10倍向上させる設計です。
「PUE(電力使用効率)」と「TCO(総所有コスト)」の削減は、企業やクラウドプロバイダーにとって大きな焦点です。兆単位のパラメータを持つ超大規模モデル向けに設計された本システムによって、高性能な大規模AIクラスターを構築できるとASUSは説明しています。
液冷対応サーバーシリーズと冷却方式の選択肢
NVIDIA HGX Rubin NVL8システムをベースとした、最新サーバーシリーズも併せて発表されました。第6世代NVIDIA NVLinkで接続された8基のNVIDIA Rubin GPUを搭載しており、液冷への移行を段階的に進められるよう、2つの構成が用意されています。
- XA NR1I-E12L: ハイブリッド冷却
- XA NR1I-E12LR: フル液冷
- XA NB3I-E12: HGX B300ベース
- ESC8000A-E13X: ConnectX-8 SuperNIC統合
ハイブリッド冷却モデルでは、GPUベースボードにダイレクト・トゥ・チップ(D2C)液冷を採用し、CPUには空冷を組み合わせています。フル液冷モデルはシステム全体を100%液冷化しており、既存のデータセンター環境に応じた柔軟な選択が可能です。
エッジAIとエージェンティックAIへの展開
「フィジカルAI」の領域では、開発から最終導入までの計算能力を一貫して提供する、完全なエコシステムが整備されました。NVIDIA Grace Blackwell Ultra搭載の「ExpertCenter Pro ET900N G3」は、748GBのコヒーレント共有メモリを活用し、大規模モデルの学習を支援します。
- ET900N G3: 748GB共有メモリで学習
- Ascent GX10: ペタフロップス級の推論
- PE3000N: 2,070 TFLOPSのエッジ推論
- NemoClaw統合: サンドボックス環境で安全運用
エージェンティックAI開発においては、NVIDIA NemoClawとの統合により、「隔離されたサンドボックス環境」や「厳格なアクセス制御」を実装できます。デバイス内でのプライベートな推論によって、企業の機密データを保護しながら、自律型AIエージェントの社内構築を進められる設計です。
ASUS液冷AIインフラの主要製品と特徴
| 製品名 | カテゴリ | 主な特徴 |
|---|---|---|
| XA VR721-E3 | ラックスケール | 最大227kW TDP対応、100%液冷 |
| XA NR1I-E12L | サーバー | GPU液冷+CPU空冷のハイブリッド |
| XA NR1I-E12LR | サーバー | システム全体100%液冷 |
| ET900N G3 | デスクトップ | 748GB共有メモリ搭載 |
| Ascent GX10 | コンパクト | ペタフロップス級性能 |
| PE3000N | エッジ推論 | 2,070 TFLOPS処理能力 |
| ASUS AI Hub | AIプラットフォーム | オンプレミス型、RAG構築対応 |
trends編集部の一言
ラックスケールからエッジまでを一気通貫でカバーする今回の発表は、AIインフラの調達先を一本化したい企業にとって有力な選択肢です。自分自身の業務でもRAGベースの社内文書検索を試しているところですが、ASUS AI Hubが社内1万人規模で30%以上の業務効率化を達成しているという数字は、オンプレミスでのAI活用を進める際の具体的なベンチマークとして参考になります。
「ハイブリッド冷却」と「フル液冷」の2段階で移行できる設計は、既存のデータセンター設備を段階的に刷新したい、情報システム部門の担当者に響くポイントではないでしょうか。Thermal Radar 2.0による消費電力最大36%削減や、ESG目標に直結する炭素排出量追跡など、「コスト削減」と「サステナビリティ」の両立を求められる現場にとって判断材料がそろった発表だと感じました。
References
- ^ PR TIMES. 「ASUS、NVIDIA Vera Rubinプラットフォームを採用した液冷AIインフラを発表 | ASUS JAPAN株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001698.000017808.html, (参照 26-04-16).
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