鴻池運輸株式会社は、企業向け生成AIプラットフォーム「Glean」を日系物流企業で初めて導入しました。
全社AI基盤として「Glean」を採用した背景
鴻池運輸は2023年より生成AI活用を推進し、2024年12月にはICT推進本部内で「生成AI活用プロジェクト」を発足しました。全社共通の基盤構築を目指すなかで、部門や個人ごとに異なるツールを使う「シャドーAI」が生じ、セキュリティとガバナンスの観点から対応が急務な状況でした。
また、Box、Microsoft Outlook、ServiceNowなど複数のSaaSに社内ナレッジが分散し、資料検索や会議準備に時間を要していました。意思決定のスピードにも影響が出ていたため、鴻池運輸は、いったん自社クラウド上に内製の生成AI基盤を構築しました。しかし、応答速度や回答品質、長期的な運用コストの観点から、外部プラットフォームの採用を検討することになります。
「Glean」を選定した主な理由は次の4点です。
- 連携できるアプリケーションの多さ
- 主要SaaSとの横断検索・自動化性能
- 直感的なUI設計
- 高いセキュリティとガバナンスの両立
こうした優位性が評価され、「Glean」が全社標準のAI基盤として採用されました。少子高齢化・人材不足が深刻化するなか、生産性向上とウェルビーイングの両立に向けた取り組みの一環です。
「Glean」の活用状況と今後の展開目標
「Glean」の本格導入に先立ち、鴻池運輸はICT推進本部およびPoC部門の約100名を対象に先行利用を開始しました。現在は約1,200ライセンスで本格稼働しており、社内主要SaaSを横断した検索やレポート作成、自然言語によるAIエージェント開発に活用されています。
AI研修やAIアンバサダー制度を通じて、現場主導でユースケースを発掘・展開する体制も整備しました。研修参加者は累計で約600名に拡大しており、この数字は制度発足からの着実な浸透を示しています。定型資料作成の自動化やコーポレート部門向けFAQチャットボットなど、複数のユースケース開発が進んでいます。
ICT推進本部は「AI is Everywhere」をスローガンに、2026年度内に以下の達成を目指しています。
- 月間利用ユーザー数(MAU)を約600名規模まで拡大
- 日常的に活用する「AIプラクティショナー」を約600名育成
- 各部門でAI活用をリードする「AIアンバサダー」を約100名育成
- 業務プロセスに組み込まれたAIエージェントを75本稼働
前述の目標達成を通じて、「AIを前提とした業務プロセス」への転換を段階的に進め、労働力不足の解消と生産性向上、従業員のウェルビーイング向上の両立を図る方針です。
Glean導入に関する担当者コメント
鴻池運輸の執行役員でICT推進本部本部長を務める佐藤 雅哉氏は、「AIアンバサダーや実務者を合わせ計700名超のAI人材育成と75本のAIエージェント開発という具体的なマイルストーンを達成してまいります」と述べています。
「単なる導入企業にとどまらず、日本市場における「Glean」コミュニティの発展に寄与するパートナーとして現場発のユースケースを共に創出していきたい」とも語りました。
Glean社の営業担当副社長Brad Scott氏は、「日本はGlean社にとって最優先の成長市場であり、継続的な投資を惜しみません」と述べました。国内チームの拡充やリーダーシップ体制の構築、パートナー企業へのサポート体制強化を進めているとしています。
「Glean」の製品・会社概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 導入企業 | 鴻池運輸株式会社 |
| 本社所在地 | 大阪市中央区 |
| 代表者 | 代表取締役会長兼社長執行役員 鴻池 忠彦 |
| プラットフォーム名 | Glean |
| 提供元 | Glean Technologies, Inc.(米カリフォルニア州、CEO Arvind Jain) |
| カテゴリ | 企業向け生成AIプラットフォーム |
| 主な機能 | Glean Assistant(社内横断検索・AIアシスタント) Enterprise Graph(データの内容・関係性理解) Glean Agents(AIエージェント作成や活用、管理) |
| 外部連携 | 100以上の外部サービスに対応 |
| 現在のライセンス数 | 約1,200ライセンス |
| 先行利用開始 | 2025年11月(ICT推進本部・PoC部門 約100名) |
trends編集部の一言
「シャドーAI」という言葉が印象に残りました。部門ごとに異なるツールが乱立し、ガバナンスが効かなくなる状況は、業界を問わず共通の課題として観察されています。ツール選定の権限が現場に分散しているほど、気づけば社内データが複数サービスに散らばっていたという事態は、マーケティング業界を含む幅広い業種で繰り返し語られてきたテーマです。
物流業界全体としては、デジタル化の遅れと人材不足が重なり、AI基盤の整備が急務とされてきた経緯があります。「約1,200ライセンスで本格稼働」という規模感と、「AIアンバサダー制度」による現場主導のユースケース発掘という設計の組み合わせは、AI定着のアプローチとして業界の動向としても注目される取り組みでしょう。同種の全社AI基盤導入では、ツール導入後に活用度の二極化が起きやすい傾向が広く指摘されており、現場のAI人材を組織的に育てる仕組みを組み合わせた点に実務示唆があります。
物流という、デジタル化が難しいとされてきた業種で700名超のAI人材育成と75本のAIエージェント稼働を明確な目標として掲げた点は、業界全体へのメッセージとしても受け取れるでしょう。「導入」から「定着と変革」へという言葉通り、今後の進捗が注目される事例です。
References
- ^ PR TIMES. 「日系物流企業で初、AIプラットフォーム「Glean」を導入 | 鴻池運輸株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000014298.html, (参照 26-05-20).
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