米国 Autodesk 社は、Autodesk Maya・3ds Max・Autodesk Flow Studio に搭載される新しい AI 機能およびワークフロー強化を発表しました
Autodesk Maya に搭載された新 AI アニメーション機能
Autodesk Maya の AI アニメーションツール「MotionMaker」では、新たに四足歩行動物向けのモーション生成機能が追加されました。馬のウォークやトロット、キャンター、ギャロップといった複雑な動きやそれらの自然な遷移アニメーションを数秒で生成できます。
従来、四足歩行アニメーションは高度な専門知識と長時間の調整作業が必要な分野でした。「MotionMaker」では AI によって自然なベースモーションを自動生成できるため、アニメーターはキャラクター演技やタイミング調整といったクリエイティブ作業へ集中できます。生成されたアニメーションデータは完全に編集可能であり、鹿やバイソンなど他の四足歩行動物にも応用可能です。
Autodesk Flow Studio には、新しい生成 AI モデル「Wonder 3D」が統合されました。短いテキストプロンプトや参考画像をもとに、3D キャラクターやオブジェクトを自動生成できます。生成されたモデルは編集可能な 3D データとして出力されるため、コンセプト検討や背景アセット制作、プレビズ制作など、さまざまなワークフローへ直接組み込めます。
Autodesk Flow Studio(旧 Wonder Studio)は、AI を活用して実写映像から編集可能な CG シーンを生成できるクラウドベースのプラットフォームです。モーションキャプチャやカメラトラッキング、クリーンプレート生成、キャラクターパス生成といった多くの工程を自動化しました。Autodesk Maya・3ds Max や Blender、Unreal Engine などの制作ツールと連携できます。また、Maya には新たに「Flow Studio Launcher」が追加され、Flow Studio との連携ワークフローへよりシームレスにアクセスできるようになりました。
Maya や 3ds Max における LookdevX・Autodesk Assistant の AI 活用拡大
Maya のルックデブツール「LookdevX」には、新たに「Generative Textures API」が追加されました。スタジオが利用している生成 AI サービスを直接接続しながら、Maya 内でさまざまなテクスチャバリエーションを迅速に検討できます。Maya および 3ds Max では「Autodesk Assistant」のテックプレビュー版も提供され、自然言語による質問を通じて必要な機能や情報を素早く検索し、日常的な制作ワークフローへ活用できます。
クリエイターが主導権を持ちながら AI を補助ツールとして活用するというAutodesk の一貫した設計思想がこれらの機能に反映されています。
Autodesk Maya における Sequencer・Bifrost・Smart Bevel・OpenUSD ワークフロー強化
今回のアップデートでは、AI 機能にとどまらず制作パイプライン全体に関わる機能改善も行われました。新しい「Sequencer」は、高解像度対応タイムラインを備え、複数カット管理向けにゼロから再設計されています。レイアウト作業やシーン構成をより効率的に進められるようになりました。
Bifrost では RBD(リジッドボディダイナミクス)ワークフローが改善され、破壊表現やシミュレーション調整がより容易になりました。新搭載の「Smart Bevel」機能により、トポロジーに依存せずメッシュ曲面に沿ったベベル処理が可能になり、複雑なブーリアン演算後のジオメトリでも安定した結果を得られます。
Maya では、OpenUSD ワークフローを効率化するため「Component Creator」および「Variant Manager」が強化されました。プロダクション品質の USD アセットを、より少ない技術的負荷で構築・管理できます。複数ツールやチームをまたぐ制作環境においても、USD アセットをシームレスに受け渡しできるため、大規模制作パイプラインにおけるコラボレーション効率向上が期待されています。
今回の発表の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州) |
| プレジデント 兼 CEO | アンドリュー・アナグノスト氏 |
| 対象ツール | Autodesk Maya、3ds Max、Autodesk Flow Studio |
| 主な新 AI 機能 | MotionMaker 四足歩行対応、Wonder 3D 統合、Generative Textures API、Autodesk Assistant テックプレビュー |
| パイプライン強化 | Sequencer 再設計、Bifrost RBD 改善、Smart Bevel 新搭載、Component Creator・Variant Manager 強化 |
| 生成速度 | 数秒(馬の複雑な動きや自然な遷移アニメーション生成) |
| 事業展開 | 世界約 40 カ国・地域 |
| 設立 | 1982 年 |
trends編集部の一言
四足歩行アニメーションの遷移表現が数秒で生成できるという点は、制作工程の大幅な効率化を示す事例です。CG・映像制作業界全体では、動画制作や 3D ビジュアルの制作にかかるコスト・工数の削減が長年の課題として語られてきました。専門知識の壁を AI が下げる動きは、業界全体で加速していると推察されます。
今回の発表で特筆すべきは、AI を「置き換え」ではなく「補助」として設計しているという Autodesk の立場です。生成された素材が完全に編集可能であり、最終的なクリエイティブ判断はクリエイター自身が担う構造は、生成 AI の導入に慎重な制作現場にとって受け入れやすい設計思想です。マーケティング業界の文脈に置き換えると、コンテンツ制作における「AI 活用の入口」として段階的に展開できる設計であり、CG・映像を活用したコンテンツ制作の現場でも業界横断的に注目される動向と捉えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「Autodesk、Maya・3ds Max・Flow Studio 向けに新たな AI ツール群を発表 〜クリエイター主導のワークフローを維持しながら、アニメーション・VFX 制作の生産性向上を支援〜 | オートデスク株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000052438.html, (参照 26-05-20).
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