自治体が手続きのデジタル化でオンライン申請を導入、住民と自治体職員の紙の手間の軽減をめざす
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自治体で手続きのデジタル化を検討するとき、オンライン申請をどの手続きから始めるかで迷うことはないでしょうか。受付・交付・契約のうち電子化する段階や導入の単位、住民側の入口の選び方によって、職員が準備する内容は変わります。
この記事では、自治体の証明書のオンライン交付や電子契約の共同利用、書かない窓口、LINEでの粗大ごみ受付について、対象の手続きや導入の単位、住民側の入口まで詳しく解説します。自治体のDX推進や窓口、情報政策を担う自治体職員と関連事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:各発表元(4件)
- 出典の最終掲載:2026.10.06
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:発表資料より(PR TIMES)
[3] 滋賀県草津市に「LINE公式アカウントを活用した粗大ごみ受付システム」を提供開 始~粗大ごみ収集申込みからごみの持込予約までLINEで受付、市民の利便性向上へ~
掲載 2026.10.02
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目次
自治体が手続きごとに選んだデジタル化の方式
自治体の手続きのデジタル化は、受付・交付・契約のどの段階を電子化するかによって、住民や事業者が使う場面が異なります。取り上げる取り組みは、以下の通りです。
- 横浜市の台帳記載証明書のPDF交付
- 山梨県と全27市町村の電子契約
- 高山市の書かない窓口の支所拡大
- 草津市のLINEでの粗大ごみ受付
横浜市の紙の証明書や草津市の電話受付のように、電子化した後も従来の方法を残している例があります。
横浜市の台帳記載証明書のPDF交付
横浜市は、不動産取引などで使われる建築確認申請台帳記載証明書(台帳記載証明書)について、来庁せずに申請から交付までをオンラインで済ませられる交付を始めました。横浜DX戦略の一環で、市は政令指定都市で初めての取り組みとしています。[4]
台帳記載証明書は、よこはま建築情報センターで年間約4万件発行されている証明書で、建築計画概要書と組み合わせて使われることが多いと市は説明しています。
交付方式の概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始日時 | 令和8年9月29日午前10時 |
| 交付の形式 | 電子署名付きPDF |
| 申請の入口 | 横浜市電子申請・届出システム |
| 紙の証明書 | 窓口と郵送で引き続き交付 |
| 主な用途 | 不動産売買の調査・住宅ローン契約 |
あわせて建築確認申請台帳の公開範囲も広がり、平成4年度と平成5年度分の約4万件が新たに公開されました。その結果、平成4年度以降に建築確認済証が発行された約56万件について、台帳の閲覧と証明書の取得をオンラインで行えます。
山梨県と全27市町村の電子契約
山梨県と県内の全27市町村は、発表時点では、令和8年10月1日から同一の電子契約システムを共同で使い始めるとしています。都道府県と域内の全市町村が同じ電子契約システムを共同導入する取り組みは、県によると全国初です。[2]
電子契約は、紙の契約書を使わずに、契約書を電子データで作成・送付し、電子署名を用いてインターネット上で締結する方式です。契約書の作成から締結、保管までの手続きをオンラインで完結できます。
県が導入によって期待される効果として挙げた内容は、以下の通りです。
| 分野 | 県が挙げた内容 |
|---|---|
| 事務作業 | 印刷・押印・郵送が不要 |
| 職員の負担 | 負担軽減と処理時間の短縮 |
| 経費 | 紙代・印刷費・郵送料の削減 |
| 地域全体 | 行政と民間のデジタル活用 |
表の内容は、運用開始前に県が期待として示した効果であり、運用後の実績を示した数字ではありません。県は、契約手続きの電子化を、人口減少に対応しながら行政サービスの質を維持する「スマートシュリンク」の具体的な取り組みの一つと位置づけました。
高山市の書かない窓口の支所拡大
岐阜県高山市は、発表時点では、本庁市民課の窓口に導入している「書かない窓口(ゆびナビ)」を、10月1日から市内全9支所の窓口に広げるとしています。マイナンバーカードなどから住所・氏名・生年月日などを読み取って各種申請書に自動で転記するため、同じ情報を何度も手書きする必要がなくなるという説明です。[1]
窓口では、設置した機械で本人確認書類を読み取り、職員が必要な申請書を作成します。住民が記入する欄を減らす方式で、本庁の市民課窓口ではすでに使われています。
支所での対象と、使える本人確認書類は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象窓口 | 各支所の地域振興課窓口 |
| 対象手続き | 転入手続き・各種証明書の発行 |
| 本人確認書類 | マイナンバーカード・運転免許証 |
| 本人確認書類 | 運転経歴証明書・在留カード |
| 本人確認書類 | 特別永住者証明書 |
市は、対応している手続きは現在限られているとしたうえで、今後はさまざまな手続きで書かない窓口の利用を広げるとしています。支所で使える手続きが転入と各種証明書の発行に限られる点は、導入を比べる際に押さえておきたい条件です。
草津市のLINEでの粗大ごみ受付
滋賀県草津市は、2026年9月1日に「KANAMETO ECO」を導入し、粗大ごみ収集の申込み・変更・キャンセルを市のLINE公式アカウントで完結できるようにしました。システムを提供したtranscosmos online communications株式会社によると、クリーンセンターへのごみ持込予約も同じアカウントで受け付けています。[3]
KANAMETO ECOは粗大ごみ収集の申込受付システムで、持込予約にはLINEを使った行政向けDXツール「KANAMETO」の予約機能を使っています。2020年12月に開設された草津市のLINE公式アカウントは、2026年9月末時点の友だち数が24,000人超です。
導入後の半月の受付状況は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 2026年9月1日〜9月14日 |
| 粗大ごみ収集申込み | LINE経由で151件 |
| ごみ持込予約 | LINE経由で333件 |
| 電話での受付 | 従来どおり継続 |
電話の受付を残したまま、LINEを新たな申込手段として加えた形で、提供会社は申込方法の追加に関するトラブルもなかったと説明しています。市民は市役所の営業時間に関係なく、LINE公式アカウントから粗大ごみ収集を申し込めるようになりました。
自治体が単独か共同かで選ぶ導入の単位
導入の単位は、山梨県のように県と域内の市町村が同じシステムを共同で使う形と、市が単独で導入する形に分かれます。山梨県は、県と全27市町村が同一システムを使うことによって、事業者が自治体ごとに異なる手続きに対応する負担が軽くなると説明しています。[2]
山梨県は、令和8年2月3日に県内全市町村との共同導入決定を発表し、6月8日にシステム事業者としてGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社を決定しました。9月3日・4日に開いた事業者向け説明会には2日間で994名が参加し、運用開始日は10月1日とされました。
市単独の導入にも、高山市が本庁で使ってきた書かない窓口を全9支所に広げるように、同じ市の中で対象の窓口を増やす進め方があります。導入の単位と開始の時期を整理すると、以下の通りです。[1][3][4]
| 自治体 | 導入の単位 | 開始・拡大の日 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 市単独 | 令和8年9月29日 |
| 山梨県 | 県と全27市町村の共同 | 令和8年10月1日(予定) |
| 高山市 | 市単独で本庁から支所へ | 10月1日(予定) |
| 草津市 | 市単独で外部のツールを導入 | 2026年9月1日 |
草津市が使うKANAMETOは、提供会社によると300を超える地方自治体が有償契約中のツールですが、粗大ごみの受付は草津市のLINE公式アカウントで運用されています。同じ提供会社のツールを使うことと、手続きを複数の自治体で共同運用することは別の話です。
自治体のオンライン申請で住民が使う入口
住民側の入口は、草津市のようにLINE公式アカウントを使う形と、横浜市のように市の電子申請・届出システムの申請フォームを使う形があります。草津市では、基本メニューの「ごみの分別・持込予約」から予約フォームに進み、郵便番号や住所を入力すると該当地区の収集カレンダーに自動で移ります。[3][4]
高山市の書かない窓口は、来庁前の準備にスマートフォンやパソコンを使い、手続きそのものは窓口で行う形です。住民が自宅などで質問に回答して必要な情報を入力するとQRコードが発行され、窓口で提示すると職員が申請書を作成します。[1]
山梨県の電子契約では、住民ではなく、県や市町村と契約を結ぶ事業者が電子契約システムを使います。入口と使う人を整理すると、以下の通りです。[2]
| 自治体 | 入口 | 使う人 |
|---|---|---|
| 草津市 | LINE公式アカウント | 粗大ごみを出す市民 |
| 横浜市 | 電子申請・届出システム | 証明書を取得する人 |
| 高山市 | 自宅で準備し窓口でQR提示 | 支所や本庁に来る住民 |
| 山梨県 | 電子契約システム | 県や市町村と契約する事業者 |
入口の選び方によって、職員が窓口で受け持つ作業は異なります。草津市や横浜市では住民がオンラインで申し込むのに対して、高山市では窓口の職員が申請書を作成し、手続きの内容に応じて必要な情報を聞き取ります。
自治体が手続きのデジタル化を比べる確認表
自分の自治体に当てはめるときに確かめたい観点と、事例での当てはめ方は、以下の通りです。
| 観点 | 確かめる内容 | 事例 |
|---|---|---|
| 対象の手続き | 受付・交付・契約のどれか | 横浜市は証明書の交付 |
| 導入の単位 | 単独か県と市町村の共同か | 山梨県は全27市町村と共同 |
| 住民側の入口 | LINEや申請フォーム、窓口 | 草津市はLINE公式アカウント |
| 窓口の作業 | 職員が受け持つ作業 | 高山市は職員が申請書を作成 |
| 従来の方法 | 紙や電話の受付を残すか | 草津市は電話受付を継続 |
| 効果の示し方 | 実績か運用前の期待か | 草津市は半月の受付件数 |
効果を比べるときは、草津市のように導入後の受付件数を示した例と、山梨県のように運用前に期待される効果を示した例を分けて読む必要があります。また、高山市のように対象の手続きを順に広げる段階にあるかどうかも、比べるときの材料です。[1][2][3]
手続きの場所を「窓口で手続き」と「オンラインで完結」に、導入の単位を「市が単独で導入」と「県と市町村で共同」に分けると、横浜市のPDF交付と草津市のLINE受付は同じ枠に入ります。ただし、横浜市は紙の証明書の交付も続けており、オンラインで完結する方式を選んでも、従来の方法を残すかどうかは別に決める項目です。[4]
References
- ^ PR TIMES. 「【飛騨高山・岐阜県高山市】「書かない窓口」支所窓口にも拡大!」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000402.000124925.html, (参照 26-10-08).
- ^ PR TIMES. 「【全国初】山梨県と全27市町村が電子契約システムの共同利用を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000524.000078927.html, (参照 26-10-08).
- ^ PR TIMES. 「滋賀県草津市に「LINE公式アカウントを活用した粗大ごみ受付システム」を提供開 始~粗大ごみ収集申込みからごみの持込予約までLINEで受付、市民の利便性向上へ~」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002150.000000183.html, (参照 26-10-08).
- ^ PR TIMES. 「【政令指定都市初!】横浜市は建築確認申請台帳記載証明書のオンライン交付を開始しました」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000099300.html, (参照 26-10-08).











