データセンター事業者向けに設備各社が冷却・電力の技術開発を進める、AIによる発熱と電力消費に対応
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データセンターの冷却・電力の設備計画を立てるとき、チップの発熱と系統からの受電のどちらから手を入れるかで迷っていないでしょうか。冷却の方式を変える打ち手と、電源そのものを地域のエネルギーに置き換える打ち手では、検討する相手も導入までの期間も異なります。
この記事では、データセンターの冷却・電力に関する各社の打ち手を、アクティブ液冷や熱電併給システム、AIによる設備の統合運用まで詳しく解説します。データセンターの電力と冷却の設計や調達に関わるデータセンター事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表3件
- 出典の最終掲載:2026.09.03
この記事がまとめた発表
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[1] Molex、CAEPlusへの投資によりAIデータセンター用アクティブ液冷ソリューションによる熱管理をさらに強化画像:発表資料より(PR TIMES)
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[2] データセンター用・クリーンエネルギー活用型熱電併給システムの開発を開始画像:発表資料より(PR TIMES)
- [3] データセンターインフラの統合運用を実現するソリューション「HMAX Data Center」を提供開始
データセンターの冷却を担うアクティブ液冷
アクティブ液冷は、AIやハイパフォーマンスコンピューティングの用途に向けて、開発が進む冷却の技術です。データセンターの液冷をめぐる動きは、以下の2点から整理できます。
- MolexによるCAEPlusへの投資
- BoundaryCoolの熱伝達性能
投資の枠組みと冷却プラットフォームの性能は別の話であり、設備の調達で確かめる材料もそれぞれ変わります。
MolexによるCAEPlusへの投資
Molexは2026年8月25日、アクティブ液冷技術を開発するアーリーステージ企業のCAEPlusへ、戦略的な投資を実施したと発表しました。CAEPlusは、AIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の処理が生む熱負荷を、データセンターが扱えるようにする技術を手がけています。[1]
投資の要点は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資金の形 | シード資金の提供 |
| 対象の技術 | BoundaryCoolプラットフォーム |
| ライセンス | プラガブルI/Oへの独占適用 |
| 財務条件 | 非開示 |
財務条件は開示されていないため、投資の規模を材料にした比較はできません。Molexは、プラガブルI/Oソリューションのポートフォリオへ適用する独占ライセンスを保持するとしています。
BoundaryCoolの熱伝達性能
BoundaryCoolは、次世代のGPUやASICが抱える熱の課題に向けた、コンパクトなアクティブ冷却の構造です。Molexは、パッシブのコールドプレートより熱伝達性能が大きく優れ、CPUやGPU、TPUのチップ温度を下げると説明しています。[1]
あわせて押さえておきたい点は、以下の通りです。
- 従来の構成との互換を維持
- パッシブ方式より高い熱伝達
- 対象はGPUやASICの熱
性能の水準は、Molexの説明にもとづくものです。自社のラックに当てはめる段階では、比較の前提となる条件をそろえた材料が要ります。
データセンターへ電力と冷熱を供給する熱電併給
熱電併給は、発電で得た電力と、発電後の熱を使った冷熱の両方を供給する方式です。データセンター向けに開発が始まった構成は、以下の2点に分かれます。
- 水力エネルギー活用型の併給
- 未利用熱エネルギー活用型の併給
どちらも再生可能エネルギーや工場などの未利用の廃熱を使い、サーバーの稼働と冷却に要るエネルギーを設置場所でまかなう考え方です。
水力エネルギー活用型の併給
8月26日掲載の発表で、Solution Creatorsは、データセンター向けのクリーンエネルギー活用型熱電併給システムの開発を始めたと説明しています。水力エネルギー活用型は、水力発電のグリーン電力でサーバーを動かし、発電後の冷水で冷却用の冷熱を供給する構成です。[2]
想定されている前提は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電源 | 水力発電のグリーン電力 |
| 冷熱の源 | 発電後の冷水 |
| 冷却方式 | 空冷・液冷・液浸に対応 |
| 停電時 | 長期の継続運用に対応 |
系統からの受電に制限がある場所でも、地域の水力を使えば電力と冷熱をまかなえるとしています。既存の発電所の改装や工場などへの追設によるレトロフィット(後付けの改修)にも対応する計画です。
未利用熱エネルギー活用型の併給
未利用熱エネルギー活用型は、地熱や温泉熱、バイオマスの燃焼熱、工場や廃棄物処理場の廃熱で発電する構成です。発電後の蒸気や温水を熱源として、吸収式や吸着式の冷凍機で冷水を作り、サーバーを冷やします。[2]
システムの主要素は、以下の通りです。
| 主要素 | 内容 |
|---|---|
| 発電 | 地熱や廃熱を使う量産技術 |
| 冷熱変換 | 吸収式・吸着式の冷凍機 |
| 蓄熱制御 | AIを使う独自開発 |
| 出力の幅 | 数kW級から数MW級 |
発電と冷熱変換には量産されている既存の技術を使い、蓄熱の制御にAIを組み込むとしています。エッジデータセンター(現地で処理する小規模な拠点)での利用を想定し、2027年4月からの市場導入をめざす段階です。
データセンターの電力とITをAIで統合運用
データセンターでは、電力や冷却の設備とITのシステムが個別に管理されてきました。運用をまとめる打ち手として示されている内容は、以下の2点です。
- HMAX Data Centerの統合監視
- フィジカルAIによる予兆検知
サーバーの処理量と設備の負荷は互いに影響するため、監視をまとめる話と異常を早く見つける話は、同じ運用の基盤でつながります。
HMAX Data Centerの統合監視
日立製作所は2026年9月3日、電力やIT、冷却設備の各領域を横断するソリューション群「HMAX Data Center」の提供を始めたと発表しました。第一弾は、データセンター統合管理サービスのHARC for Data Centerで、北米向けに提供します。[3]
提供の内容と時期は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供の開始 | 北米向けに2026年9月3日 |
| 中核サービス | HARC for Data Center |
| 監視の対象 | 電力・IT・冷却設備 |
| 日本向け | 2027年1月から提供予定 |
日本向けは国内のニーズを取り込んだサービスとして、2027年1月からの提供開始を予定しています。日立製作所は、クラウド運用費を30%程度削減してきたHARCの知見をもとに、同等の価値提供をめざすとしています。
フィジカルAIによる予兆検知
フィジカルAIは、日立製作所が電力やIT、冷却の設備運用に用いるAIの呼び方です。障害が起きたときには、設備をまたいだデータの分析によって、異常の予兆やサービスへの影響を早く把握できるとしています。[3]
障害への対応として示されている流れは、以下の通りです。
- AIによる異常検知
- 根本原因の特定と対応策の提示
- エスカレーションから復旧
事後分析のレポート作成や継続的な改善活動の支援も、サービスの範囲に含まれています。日立製作所は「プラットフォーム+サービス」のアプローチとして、運用と保守の担当者が顧客と連携する形を示しています。
データセンターの冷却・電力の投資判断で確かめる点
冷却や電力、運用のどこに手を入れるかは、発熱の水準や立地の条件によって変わる判断です。層ごとに確かめる点と、そのときに見る材料は、以下の通りです。[1][2][3]
| 確かめる点 | 見る材料 |
|---|---|
| チップの発熱 | パッシブ方式との性能差 |
| 電力の調達先 | 地域の再エネや未利用の廃熱 |
| 停電時の運用 | 系統に依存しない構成 |
| 設備の監視 | 電力・IT・冷却の統合 |
| 導入の時期 | 2027年の提供や実証 |
液冷はチップの温度に効き、熱電併給は立地とエネルギーの調達に関わります。統合管理は、既存設備の監視データを前提とします。
そのため、自社で先に限界を迎える層によって、着手できる順番が変わります。
各社の説明は、発表の時点での計画や実績にもとづくものです。導入の可否を決める前に、自社の発熱量や立地の条件へ置き換えて確かめる作業が残ります。
出典
- ^ PR TIMES. 「Molex、CAEPlusへの投資によりAIデータセンター用アクティブ液冷ソリューションによる熱管理をさらに強化」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000173131.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「データセンター用・クリーンエネルギー活用型熱電併給システムの開発を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000160037.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「データセンターインフラの統合運用を実現するソリューション「HMAX Data Center」を提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000619.000067590.html, (参照 26-09-24).









