企業や自治体がカーボンクレジットを創出・活用、由来と制度で選ぶ基準が変わる
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自社の排出削減目標に向けてカーボンクレジットの創出・活用を検討するとき、どの由来のクレジットを選べばよいか迷っていないでしょうか。クレジットは発電設備や照明設備、農地、森林と由来ごとに創出の方法論が異なり、認証する制度や購入後の説明のしかたも変わります。
この記事では、カーボンクレジットの創出・活用を、リユース太陽光発電やLED照明の切替、農業由来まで由来ごとに詳しく解説します。森林由来のJ-クレジットを購入した事例や調達先の確認点も整理したので、カーボンクレジットの創出・活用に関わる企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表5件
- 発表主体:株式会社浜屋、株式会社バイウィル ほか2件
- 出典の最終掲載:2026.09.10
この記事がまとめた発表
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[1] 【国内初*】「リユース太陽光発電」によるカーボンクレジット創出プロジェクト始動画像:株式会社浜屋の発表資料より(PR TIMES)
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[2] 秋田県とバイウィルが「秋田県LED照明設備切替促進等に伴うJ-クレジット利活用促進事業における連携パートナー協定」を締結画像:株式会社バイウィルの発表資料より(PR TIMES)
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[3] フェイガー、栃木県を拠点とするクリーンエナジー・ソリューションズに農業由来カーボンクレジットの提供を開始画像:株式会社フェイガーの発表資料より(PR TIMES)
- [4] 東日本エリアの森林に由来するJ-クレジット136t-CO₂を購入し、カーボン・オフセットを実施しました
- [5] 八千代ソリューションズ、持続可能なサービス提供に向け、MENTENAのAWS利用に伴うCO₂排出量を算定し、森林由来J-クレジットを調達
カーボンクレジットを創出する方法論の種類
カーボンクレジットの創出は、温室効果ガスの削減量や吸収量を制度の運営者が認証する手続きです。認証の土台になる方法論の違いが表れている動きは、以下の3つです。
- リユース太陽光発電で創出するクレジット
- LED照明の切替で創出するJ-クレジット
- 水稲の中干し延長で創出する農業由来クレジット
創出の対象になる活動は設備の更新から農地の管理まで幅広く、認証する制度も国の制度と民間の制度に分かれます。由来が違えば、クレジットを生み出す事業者の立場も変わります。
リユース太陽光発電で創出するクレジット
Linkholaと浜屋は、リユース太陽光発電による新たなカーボンクレジット方法論の開発と第1号プロジェクト化に向けたプロジェクトを開始したと発表しました。国内で回収・検査したパネルをフィリピンへ輸出し、事業所向けの自家消費型太陽光発電として再利用する事業が対象です。[1]
クレジットを扱う場は、Linkholaが運営するボランタリークレジットプラットフォーム「EARTHSTORY」です。国が認証するJ-クレジットとは別に、民間が制度オーナーとなって申請から発行までを担う仕組みだと説明しています。
プロジェクトの内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事業 | リユースパネルの海外での再利用 |
| 輸出先 | フィリピン |
| 使う制度 | EARTHSTORY |
| 発表時点の段階 | 方法論の開発と策定 |
方法論の完成後にEARTHSTORYへ申請・登録し、第1号案件に着手するとしています。発表時点では算定手法の詳細は示されておらず、策定完了時に公表する予定としています。
LED照明の切替で創出するJ-クレジット
バイウィルは、秋田県とJ-クレジットの利活用を進める連携パートナー協定を締結しました。締結日は2026年9月4日で、秋田県庁で締結式を行いました。[2]
協定では、照明設備の導入などの方法論を使うプログラム型プロジェクトへの加入促進と、J-クレジットの創出・販売に取り組むとしています。創出の方法論はLED設備の導入から着手し、将来はほかの方法論による創出へ広げる可能性があるとしています。
協定の内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 締結相手 | 秋田県とバイウィル |
| 着手する方法論 | LED照明設備の導入 |
| 支援の範囲 | 登録・申請から販売まで |
| 販売の方針 | 地産地消の推進 |
秋田県は2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で54%削減する目標を掲げ、2050年までのカーボンニュートラル達成をめざしています。クレジットの販売では地産地消を進め、地域の脱炭素化に寄与することをめざすとしています。
水稲の中干し延長で創出する農業由来クレジット
フェイガーは、栃木県宇都宮市に本社を置くクリーンエナジー・ソリューションズに、栃木県産の農業由来カーボンクレジットの提供を開始しました。地域で生まれた環境価値を地域で活かす地産地消型のモデルづくりを支援するとしています。[3]
創出の根拠になる方法論は、水稲栽培における中干し期間の延長やバイオ炭の農地施用です。フェイガーは2025年度にJ-クレジット制度で225,735t-CO2の認証を取得したと説明しています。
提供の枠組みは、以下の通りです。
- 創出者はフェイガーと全国の農家
- 提供先は栃木県内の再エネ事業者
- 由来は栃木県の田んぼ
クリーンエナジー・ソリューションズは、再生可能エネルギーの導入支援や電力の地産地消に取り組んできた企業です。県内の企業や自治体が、自らの排出削減に加えて地域の農業を支える選択肢として使えるようにすることをめざすとしています。
カーボンクレジットを購入するオフセットの進め方
創出されたカーボンクレジットは、購入して自社の削減目標の達成などに活用できます。対象にする活動の決め方が表れているのは、以下の2つの購入事例です。
- 旅行商品の収益で購入する森林由来J-クレジット
- AWS利用の排出に充てる森林由来J-クレジット
購入の対象は、旅行という商品の提供と、クラウドサービスの稼働という自社の事業活動に分かれます。同じ森林由来のJ-クレジットでも、何の排出に充てるかによって説明のしかたが変わります。
旅行商品の収益で購入する森林由来J-クレジット
JR東日本びゅうツーリズム&セールスは、東日本エリアの森林に由来するJ-クレジット136t-CO2を購入し、カーボン・オフセットを実施しました。自社で旅行企画・実施する団体型旅行商品の収益の一部を、クレジットの購入に充てています。[4]
2025年度下期分では、対象を団体型旅行商品に加えてインバウンド向けパスセット商品まで広げました。対象期間は2025年10月から2026年3月までの出発分で、累計のオフセット量は1,285t-CO2です。
オフセットに使ったクレジットの内訳は、以下の通りです。
| プロジェクト | 所在地 | オフセット量 |
|---|---|---|
| 市有林における森林経営活動 | 岩手県一関市 | 34t-CO2 |
| 十日町市ふるさとの森づくり | 新潟県十日町市 | 34t-CO2 |
| 八峰町役場森林管理プロジェクト | 秋田県八峰町 | 34t-CO2 |
| 陸前高田市有林の森林クレジット | 岩手県陸前高田市 | 34t-CO2 |
購入先は4つのプロジェクトに分かれ、量はいずれも34t-CO2でそろえています。同社は2022年度下期分から取組みを続けており、今後も半期ごとにオフセットを実施するとしています。
AWS利用の排出に充てる森林由来J-クレジット
八千代ソリューションズは、工場管理システム「MENTENA」のサービス提供に使うAWSのCO2排出量を算定し、森林由来のJ-クレジットを調達しました。算定はAWSが提供する排出量情報をもとに行ったと説明しています。[5]
調達の条件は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | サーバーの電力消費に伴う排出 |
| 対象期間 | 2024年7月から2026年6月 |
| 調達クレジット | 森林由来J-クレジット |
| 調達先 | enechain |
対象にしたのは、MENTENAを動かすサーバーの電力消費に伴う排出です。調達したクレジットは、対象となるAWS利用に伴う排出量への対応に活用する予定だと説明しました。
同社は、サービス提供に伴う環境負荷を把握して対応を進めることによって、MENTENAを持続可能なかたちで提供し続けるとしています。
カーボンクレジットを認証する制度の違い
カーボンクレジットは、削減や吸収を生む活動の種類によって由来が分かれます。創出の動きから読み取れる由来と認証する制度は、以下の通りです。[1][2][3]
| 由来 | 創出する活動 | 認証する制度 |
|---|---|---|
| リユース太陽光 | 中古パネルの海外での再利用 | EARTHSTORYへ申請予定 |
| 省エネ設備 | LED照明設備への切替 | J-クレジット |
| 農業 | 中干し延長とバイオ炭施用 | J-クレジット |
J-クレジットは、省エネ設備の導入や再エネの利用による排出削減量と、適切な森林管理による吸収量を国が認証する制度です。EARTHSTORYは民間が制度オーナーとなる仕組みで、申請から発行までを一貫して担うとしています。
購入して使う側が選べるのは、すでに創出されて流通しているクレジットです。旅行商品の収益を充てた購入でも、クラウド利用分の排出への対応でも、国が認証する森林由来のJ-クレジットが選ばれています。[4][5]
森林由来のクレジットは、吸収量を根拠にする点で、設備の更新による削減量と成り立ちが異なります。制度と由来の組み合わせは、社内で排出への対応を説明するときの土台です。
自社に合うカーボンクレジットの選び方
自社の状況に当てはめるときは、クレジットを創出する側に回るか、購入して使う側に回るかによって確かめる項目が変わります。立場ごとの確認点は、以下の通りです。[2][4][5]
| 立場 | 確かめること | 具体例 |
|---|---|---|
| 創出する側 | 対象になる方法論 | LED照明設備の導入 |
| 購入する側 | 充てる排出の範囲 | サーバーの電力消費 |
| いずれの側も | クレジットの由来 | 森林由来J-クレジット |
創出する側は、自社の設備や農地が既存の方法論の対象になるかどうかから確かめます。秋田県とバイウィルの協定では、LED設備の導入から着手し、将来はほかの方法論へ広げる可能性があるとしています。
購入する側が先に決めるのは、どの活動の排出を対象にするかという範囲です。八千代ソリューションズはサーバーの電力消費に対象を絞り、対象期間も2024年7月から2026年6月と示しました。
創出と購入のどちらでも、クレジットの由来と認証する制度は確かめておきたい点です。農業由来のクレジットでは、栃木県産という産地が提供先の選定と結び付けられています。[3]
出典
- ^ PR TIMES. 「【国内初*】「リユース太陽光発電」によるカーボンクレジット創出プロジェクト始動」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000068026.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「秋田県とバイウィルが「秋田県LED照明設備切替促進等に伴うJ-クレジット利活用促進事業における連携パートナー協定」を締結」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000508.000013100.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「フェイガー、栃木県を拠点とするクリーンエナジー・ソリューションズに農業由来カーボンクレジットの提供を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000114514.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「東日本エリアの森林に由来するJ-クレジット136t-CO₂を購入し、カーボン・オフセットを実施しました」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000432.000082705.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「八千代ソリューションズ、持続可能なサービス提供に向け、MENTENAのAWS利用に伴うCO₂排出量を算定し、森林由来J-クレジットを調達」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000161767.html, (参照 26-09-24).









