自治体と企業がメタバースを市民対話・催し・不登校支援に使う、自治体担当者が比べる参加条件は目的で違う
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自治体でメタバースを使った市民対話を企画するとき、空間の機能や見た目から比べ始めていないでしょうか。しかし、市民の意見集めや地域の催し、不登校の子どもの学びの場づくりといった目的ごとに、参加の手順や運営の体制は異なります。
この記事では、日立市の「未来のまちヒタチ」や日置市の「ネオ日置」、熊本県のオンライン教育支援センターを例に、目的や参加のしやすさ、運営主体の違いから企画時の確認点まで詳しく解説します。市民対話や地域振興、教育の分野でメタバースの活用を検討している自治体担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表3件
- 発表主体:クラスター株式会社
- 出典の最終掲載:2026.11.04
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:クラスター株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[1] クラスター、鹿児島県日置市のバーチャル空間「ネオ日置」の「祭空間」を大型アップデート
クラスター株式会社 / 掲載 2026.10.27
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画像:クラスター株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[2] クラスター、熊本県「くまもとオンライン教育支援センター」を「cluster」上に構築
クラスター株式会社 / 掲載 2026.11.02
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画像:発表資料より(PR TIMES)
[3] 【日立市と日立製作所による共創プロジェクト】未来の暮らしを体験し市民との対話 を生み出すメタバース「未来のまちヒタチ」を公開
掲載 2026.11.04
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目次
市民対話・催し・不登校支援で使うメタバース
自治体が関わるメタバースは、空間の中で参加者にしてもらうことが目的ごとに異なります。目的別の使い方は、以下の通りです。
- 市民の意見を集める日立市の「未来のまちヒタチ」
- 地域の催しを開く日置市の「ネオ日置」祭空間
- 不登校の子を支える熊本県の教育支援センター
いずれもオンラインで人が集まる場ですが、参加者に求める行動と空間の機能には、目的ごとの違いが見られます。
市民の意見を集める日立市の「未来のまちヒタチ」
日立市と日立製作所は、2026年11月4日に、未来の暮らしを体験できるメタバース「未来のまちヒタチ」をウェブサイトで公開しました。参加者は空間を回遊しながら各エリアのミッションに取り組み、意見の投稿や体験中の対話、体験後のアンケートで声を届けます。[3]
両者は、これまでワークショップやアンケートで市民との対話を重ね、2035年の暮らしのコンセプトを策定・公開してきました。しかし、文章やイラスト中心の発信では暮らしを具体的に思い描きにくかったため、コンセプトの一部をメタバースで体験できるようにしました。
両者は、メタバースが市民参加や意見収集の手法として役立つかを、以下の観点で確かめるとしています。
| 観点 | 確かめる内容 |
|---|---|
| イメージ | 暮らしの具体的なイメージのしやすさ |
| 共感 | 共感や新たな気づきの有無 |
| 発言 | 意見の出しやすさ |
いずれの観点も、集まった意見の中身ではなく、参加者が考えや意見を出しやすいかどうかを見るものです。また、日立市と日立製作所は、従来の方法では意見を集めにくかった若年層をはじめ、幅広い層の声を取り入れ、まちづくりにおける市民共創モデルの構築をめざすとしています。
地域の催しを開く日置市の「ネオ日置」祭空間
クラスターは、鹿児島県日置市の公式メタバース空間「ネオ日置」にある「祭空間」を、2026年10月30日にアップデートすると発表しました。ネオ日置は、戦国島津の歴史や地域文化をデジタルで受け継ぎ、地域とクリエイターが共創する交流の場として生まれました。[1]
アップデートでは、国内外の来場者が言語の壁を越えて交流し、日置市の文化を楽しみながら盛り上がれるように、以下の機能を加えるとしています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 多言語の翻訳 | コメントを6言語にリアルタイム翻訳 |
| 太鼓と刀の演出 | 太鼓の音や示現流の掛け声が鳴る |
| 大型スクリーン | 映像投影やライブ配信に対応 |
| 広告枠 | 空に浮かぶ掛け軸型を追加 |
祭空間はすでに催しの会場として使われており、2026年10月24日・25日には、日置市を本拠地とするフラーゴラッド鹿児島のSVリーグ開幕戦のパブリックビューイングが開かれました。クラスターは今後、祭空間そのものをユーザーや団体へ貸し出すことも見据えています。
不登校の子を支える熊本県の教育支援センター
熊本県教育庁は、県内(熊本市を除く)の不登校児童生徒を対象に、3Dメタバースを活用した「くまもとオンライン教育支援センター」を開設しました。2026年8月から実証運用が始まっており、期間は2027年3月末までです。[2]
熊本県教育庁は、不登校児童生徒の約半数が日中の多くを家庭で過ごしていることを挙げ、自宅からもつながれる3Dメタバースを活用したと説明しています。
空間の中で利用できる場所や活動は、以下の通りです。
| 場所・活動 | 内容 |
|---|---|
| メインフロア | 教室を模した空間 |
| 相談スペース | 支援員と1対1で話せる |
| 学習教材 | タブドリLive!などを空間から利用 |
| 交流・体験 | 絵しりとりや社会科見学 |
学習履歴は県の担当者が参照でき、在籍校での出席扱いを判断する材料として使うことも想定されています。
アカウント登録や端末で比べるメタバースの参加方法
メタバースの参加方法は、誰でも入れる空間と、対象者を決めて入る空間とで分かれます。空間ごとの入り方は、以下の通りです。
- 誰でも参加できる空間の入り方
- 対象者を限る空間の入り方
広く参加者を募る空間と決まった相手に届ける空間では、登録や端末、利用時間の決め方に違いがあります。
誰でも参加できる空間の入り方
未来のまちヒタチは、日立市民をはじめ誰でも参加でき、公開期間は2027年3月5日までです。2026年11月7日・8日の日立市産業祭では、共創プロジェクトのブースに体験の機会を設けるとしています。[3]
ネオ日置の祭空間では、2026年10月30日にお披露目会を開くとし、日置市に興味のある方なら誰でも参加できる交流イベントと案内していました。当日の様子は、YouTubeチャンネル「ひおきとTV」でもライブ配信するとしていました。[1]
参加の入口や登録、端末などの条件は、以下の通りです。
| 項目 | 未来のまちヒタチ | ネオ日置の祭空間 |
|---|---|---|
| 入口 | 専用サイトからアクセス | ブラウザ版かアプリ版 |
| 登録 | アカウント登録は不要 | ブラウザ版は3ステップのログイン |
| 端末 | スマートフォン・PC・タブレット | スマートフォン・PC・VR機器など |
| 参加費 | 無料 | お披露目会は無料 |
ネオ日置のアプリ版は、clusterアプリのダウンロードやアカウント設定、基本操作の練習を経て入場する流れをとります。また、未来のまちヒタチの通信料は参加者の負担で、アンケートの回答や利用に伴うデータを取得する場合があるとしています。
対象者を限る空間の入り方
くまもとオンライン教育支援センターの対象校は、熊本市を除く県内44市町村の全小・中学校などと、県立中学校及び特別支援学校の小・中学部です。利用アカウント数は100以上を想定しています。[2]
利用の条件は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 端末 | GIGAスクール標準仕様準拠端末 |
| 対応OS | Windows・iPadOS・ChromeOS |
| 認証 | ID・パスワード認証 |
| 同時接続 | 50人以上に対応 |
開放時間は平日の9:30〜12:00と13:00〜15:30で、オンライン支援員はそのうち週3日、1日5時間配置されます。空間内ではアバターを介して音声やテキストで話せ、マイクのオン・オフは本人の判断で選べます。
対象者や端末、時間帯をあらかじめ決めている点が、誰でも参加できる空間との違いです。
自治体と企業で組むメタバースの運営体制
日立市と日立製作所は、2023年12月21日に締結を発表した包括連携協定にもとづく共創プロジェクトとして、未来のまちヒタチを公開しました。日立製作所は、まちづくりにおける市民共創モデルや合意形成手法の知見を、全国の自治体へ展開していくとしています。[3]
熊本県と日置市の空間は、クラスターが手がけています。自治体と企業が受け持つ内容は、以下の通りです。[1][2]
| 担い手 | 受け持つこと |
|---|---|
| 日立市 | 市民の声をまちづくりに生かす |
| 日立製作所 | ニーズや懸念を分析し実装条件を検討 |
| TOPPAN | 熊本県教育庁から事業を受託 |
| クラスター(熊本県) | 空間の構築・提供 |
| クラスター(日置市) | 関係人口創出施策のパートナー |
熊本県では、クラスターが2027年3月末まで空間の運用保守と行動ログにもとづく改善提案を担い、運用改善のため月1回の定例会議や児童生徒・保護者へのアンケート調査も実施されます。空間内では、教員免許や心理カウンセラー資格を持つオンライン支援員が県の担当者とともにアバターで参加し、声かけや相談対応、操作のサポートを行います。
入退室と利用時間はログで把握でき、管理ダッシュボードで出席状況を一元管理する仕組みです。データは国内データセンターで保管し、文部科学省の『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』に準拠するとしています。
メタバースの企画で自治体担当者が確かめる点
メタバースの企画では、空間の機能を比べる前に、目的と参加者の範囲を決めておくと選択肢を絞り込めます。企画の段階で確かめたい観点は、以下の通りです。
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 目的 | 声を集めるか、場を開くか |
| 参加者 | 広く募るか、対象者を絞るか |
| 入口 | 登録の要否と対応端末 |
| 時間 | 公開期間や開放時間の決め方 |
| 運営 | 構築・運用・分析の担い手 |
| 声の集め方 | 投稿・対話・アンケートの組み方 |
| データ | 取得する内容と保管場所 |
たとえば、市民の意見を広く集めたい場合は、登録を求めない入口と、投稿や対話、アンケートを組み合わせた未来のまちヒタチの設計を参考にできます。不登校支援のように対象者が決まる場合は、熊本県のように端末や認証、開放時間、支援員の配置まで事前に決めておく例があります。[2][3]
地域の催しに使う場合は、祭空間のように翻訳機能や大型スクリーンを備えた会場を、リアルの試合の中継と連動させて使う形も選択肢の一つです。[1]
References
- ^ PR TIMES. 「クラスター、鹿児島県日置市のバーチャル空間「ネオ日置」の「祭空間」を大型アップデート」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000471.000017626.html, (参照 26-11-05).
- ^ PR TIMES. 「クラスター、熊本県「くまもとオンライン教育支援センター」を「cluster」上に構築」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000472.000017626.html, (参照 26-11-05).
- ^ PR TIMES. 「【日立市と日立製作所による共創プロジェクト】未来の暮らしを体験し市民との対話 を生み出すメタバース「未来のまちヒタチ」を公開」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000647.000067590.html, (参照 26-11-05).













