求職者へのセクハラ防止義務化で41.9%の企業が対応を完了、採用担当者の質問が印象を左右
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2026年10月1日に求職者等へのセクハラ防止措置が義務化され、採用の現場では規程の整備と面接の運用の見直しをどこまで進めるかが判断の分かれ目です。他社の対応の進み具合と、選考中に求職者が企業の印象を悪くする言動を照らし合わせると、自社が先に手を付ける範囲を絞り込めます。
この記事では、求職者へのセクハラ防止義務化に対する企業の対応状況を、就業規則や相談窓口、面接の運用の変化から整理し、選考で求職者が聞かれた質問や印象を下げる発言まで詳しく解説します。求職者と接する選考の場を見直したい採用担当者や人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表3件
- 発表主体:株式会社アイデム
- 出典の最終掲載:2026.11.02
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:株式会社アイデムの発表資料より(PR TIMES)
[2] 半数近くが選考過程で「家族構成」について聞かれた経験あり。性的な内容を含む発言や 冗談に対し、64.4%の人が「企業の印象が悪くなる」と回答
株式会社アイデム / 掲載 2026.11.02
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目次
企業のセクハラ防止義務化への対応状況
株式会社GIGは2026年10月14日〜21日に、法改正対応に携わる人事担当者117名を対象として、求職者等へのセクハラ防止義務化に伴う現場運用の実態を調べました。企業の対応状況は、以下の3つの観点から確かめられます。
- 実務対応の完了状況
- 就業規則と社内周知の整備状況
- 求職者向け相談窓口の設置状況
GIGは、就業規則の改定や社内周知といった形式的な制度整備が先行していると説明しています。自社の進み具合も、同じ観点で照らし合わせてみてください。
実務対応の完了状況
GIGが施行後の実務対応の進み具合を尋ねたところ、回答は対応の完了と部分的な完了、実務面での未対応に分かれました。[3]
回答の内訳は、以下の通りです。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 義務を把握し対応も完了 | 41.9% |
| 対応の完了は部分的 | 26.5% |
| 実務面ではまだ未対応 | 23.1% |
完了と部分的な完了を合わせると、68.4%の企業が実務対応を進めています。ただし、実務面で未対応の企業も2割を超えており、GIGは施行後も企業ごとに対応スピードに差が生じているとみています。
就業規則と社内周知の整備状況
GIGの調査によると、求職者等へのハラスメントの禁止を就業規則やハラスメント防止規程に明記した企業と、社内周知を済ませた企業は、いずれも6割に届いていませんでした。[3]
実施済みと整備・準備中の割合は、以下の通りです。
| 項目 | 実施済み | 整備・準備中 |
|---|---|---|
| 規程への禁止の明記 | 58.0% | 30.8% |
| 社内への周知 | 58.9% | 34.6% |
整備中を含めると規程への明記は88.8%に達し、社内周知も準備中を含めて9割超が着手しています。周知の方法は、説明会・研修(70.0%)や社内メール・イントラネット掲示(60.0%)、eラーニング(54.0%)の併用が主流です。
求職者向け相談窓口の設置状況
GIGは、求職者等からの相談窓口の設置状況と、窓口情報の案内先を尋ねています。窓口には、既存の相談窓口の対象を求職者等へ広げる形も含まれます。[3]
相談窓口の設置状況は、以下の通りです。
| 状況 | 割合 |
|---|---|
| 窓口を設置済み | 48.6% |
| 設置に向けて整備中 | 29.0% |
設置済みと整備中を合わせると、77.6%の企業が窓口の体制づくりを進めていました。窓口情報の案内先(予定を含む)は、採用サイトなどの自社サイトが73.5%で最も多く、求人票・募集要項が50.6%、選考案内メールや応募者管理システムでの連絡が41.0%で続きます。
GIGは、求職者が訪れる採用サイト上で窓口を開示し、アクセスしやすい導線を確保する企業が多いと分析しました。
セクハラ防止義務化で変わった選考の進め方
GIGの調査では、求職者等へのセクハラ防止義務化への対応をきっかけに、採用現場の選考の進め方にも変化が出ています。変化の中身は、以下の2つに分けて整理できます。
- オンライン面接や録音など選考の変化
- 判断基準の曖昧さなど運用の課題
リスクを避けるための対応が進んだ反面、採用業務の負担や面接での会話にも影響が出ていました。
オンライン面接や録音など選考の変化
GIGが義務化への対応で生じた採用現場の変化を尋ねると、面接の形式や社外の人との接触を見直す回答が上位に並びました。[3]
上位に挙がった変化は、以下の通りです。
| 変化 | 割合 |
|---|---|
| オンライン面接・面談を増やした | 42.5% |
| 録音・録画を始めた | 35.0% |
| OB・OG訪問の受け入れを制限 | 35.0% |
| 懇親会・会食を廃止・縮小 | 33.8% |
GIGは、密室化の防止や外部との接触の制限といったリスク回避の動きが進んだとみています。ただし、面接での雑談の減少(27.5%)や面接官の確保・日程調整の負担増(25.0%)といった変化も挙がりました。
判断基準の曖昧さなど運用の課題
GIGが対応を進める上での課題を尋ねると、「何をどこまでやれば義務を満たすのか判断が難しい」が58.8%で最多となりました。次いで、役員・経営層や現場面接官への周知徹底が43.9%、OB・OG訪問など人事が把握できない接触の管理が36.8%で続きます。[3]
GIGが推測する流れは、以下の通りです。
- 判断基準の共有が追いつかない
- ルール化が先行し現場への浸透が難航
- その結果、慎重な対話や選考が形式化
GIGは、選考の透明性や安全性を担保したうえで、現場が迷わず運用できる基準をどう浸透させるかが今後のテーマになるとみています。
選考の質問に見る求職者へのセクハラ防止
株式会社アイデムは、2026年8月・9月に総合求人サイト『イーアイデム』から求人に応募した会員を対象に調査し、531件の有効回答を得ました。求職者の側から見たセクハラ防止の論点は、以下の2つです。
- 求職者が聞かれた経験のある質問
- 求職者の印象を下げる質問や発言
アイデムの調査・分析担当者は、10月に施行された求職者等へのセクハラ対策の義務化に関連して、選考過程で聞かれた内容と印象の変化を尋ねたと説明しています。
求職者が聞かれた経験のある質問
アイデムが選考過程で企業から聞かれたり言われたりした内容を複数回答で尋ねたところ、家族構成が最も多く、健康状態や住居、出身地に関する質問が続きました。[2]
回答の多かった内容は、以下の通りです。
| 聞かれた内容 | 割合 |
|---|---|
| 家族構成 | 47.5% |
| 業務と関連が不明な健康状態・病歴 | 28.4% |
| 住居状況(持ち家か賃貸か等) | 23.9% |
| 本籍地や出生地、出身地域等 | 23.9% |
男女別に見ると、男性は住居状況が女性より16.6pt、業務との関連性が不明な健康状態・病歴が8.1pt高くなりました。女性は、結婚の予定や結婚後の働き方が6.9pt、出産や子育ての予定が6.5pt、家族構成が6.1pt、男性より高い結果です。
アイデムは、本人の適性・能力との関連が乏しく、就職差別につながる恐れのある事項を尋ねられた経験が一定数みられたと分析しています。そのうえで、企業には質問を職務上必要な範囲に限定し、公正な採用選考を徹底することが求められるとしています。
求職者の印象を下げる質問や発言
アイデムが選考過程で印象が悪くなる企業からの質問や発言を尋ねると、性的な話題や私的な連絡の要求、容姿への言及が上位に並びました。[2]
割合の高かった質問や発言と、女性の回答が男性を上回った幅は、以下の通りです。
| 質問・発言 | 印象が悪くなる | 女性と男性の差 |
|---|---|---|
| 性的な内容を含む質問・発言・冗談 | 64.4% | 女性が25.8pt高い |
| 連絡先の交換や私的な連絡の要求 | 55.7% | 女性が22.3pt高い |
| 容姿や体型、年齢等への評価 | 51.0% | 女性が21.8pt高い |
女性はいずれの項目でも、印象が悪くなる割合が男性より高い結果でした。アイデムは、企業がアイスブレイク(場の緊張をほぐすための雑談)として、あるいは良かれと思ってこうした内容を尋ねてしまう場合があると指摘しています。
同社は、「職務遂行上必要な内容なのか」を意識して質問や発言をすることに加え、不適切な質問を防ぐ教育と相談体制の整備も企業に求めています。
セクハラ防止と並ぶ面接官の応対の見直し
株式会社JITSUGYOが18〜26歳のZ世代の求職活動経験者481人に尋ねると、求職活動中に企業イメージが悪くなった経験が「ある」「多少ある」の合計で56.3%でした。調査期間は2026年9月4日〜5日で、新卒と転職の双方を対象としています。[1]
イメージが悪くなった271人が最大3つまで選んだ理由は、以下の通りです。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 採用担当者や面接官の対応・印象 | 29.9% |
| 社員の対応・雰囲気 | 28.0% |
| 写真や動画が少なく想像しにくい | 23.6% |
| 会社の雰囲気がよくわからない | 23.2% |
| 良い面ばかりで信用しにくい | 21.8% |
上位2つは、選考中に接した採用担当者や社員の対応に関する理由でした。JITSUGYOは、採用担当者や面接官が自分の言葉や態度が企業への印象に関わると意識し、質問への答え方や話を聞く姿勢を社内で共有して、教育や振り返りを行うよう勧めています。
情報の伝え方について、JITSUGYOは、求職者が知りたい情報を面接でよく聞かれることから洗い出し、現場の社員にも確認する進め方を示しました。そのうえで、良い点に加えて改善に取り組んでいることも具体的に説明し、採用ページと面接で同じ実態を伝えるよう求めています。
求職者へのセクハラ防止で採用担当者が確かめる点
求職者へのセクハラ防止を自社の選考に当てはめるときは、規程や相談窓口の整備と、面接での質問や応対を分けて点検する方法があります。採用担当者が確かめたい観点は、以下の通りです。[1][2][3]
| 観点 | 確かめる内容 | 参考になる動き |
|---|---|---|
| 規程と周知 | 禁止の明記と面接官への周知 | 周知徹底が課題の上位 |
| 相談窓口 | 窓口の設置と採用サイトでの案内 | 自社サイトでの案内が最多 |
| 面接の質問 | 職務上必要な範囲に限っているか | 家族構成の質問経験が最多 |
| 面接官の応対 | 言葉や態度が印象に関わる自覚 | 担当者の対応が悪化理由で最多 |
規程や窓口の整備が進んでいても、面接での質問や応対は、面接官が一人ずつ判断する場面が残ります。判断に迷いやすい質問を例として社内で共有しておくことは、GIGが課題に挙げた判断基準の曖昧さに向き合う手がかりの一つです。
References
- ^ PR TIMES. 「Z世代の56.3%が求職活動中に企業イメージ悪化を経験 採用活動の実態が明らかに」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000140950.html, (参照 26-11-03).
- ^ PR TIMES. 「半数近くが選考過程で「家族構成」について聞かれた経験あり。性的な内容を含む発言や 冗談に対し、64.4%の人が「企業の印象が悪くなる」と回答」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001737.000002663.html, (参照 26-11-03).
- ^ PR TIMES. 「2026年10月法改正「求職者等へのセクハラ防止義務化」の実態調査。対応完了は41.9%」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000438.000042378.html, (参照 26-11-03).



















