工場のOTセキュリティとBCPの支援を製造業の情報システム担当者が比べる、範囲と相談の入口が分かる
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工場のOTセキュリティを外部に任せるとき、判断の分かれ目は、サイバー攻撃を前提にしたBCPの運用まで含めて任せるかどうかです。しかし、支援の範囲と相談の入口は会社ごとに異なるため、比べる観点がないと自社に合う相談先を見極めにくくなります。
この記事では、工場のOTセキュリティを設計から教育まで支援する協業とサイバーBCPの運用支援に加え、相談窓口やカオスマップといった相談の入口まで詳しく解説します。工場のOTセキュリティとBCPを任せる先を探している製造業の情報システム担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:株式会社OVEL、株式会社テリロジー ほか2件
- 出典の最終掲載:2026.10.28
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:株式会社OVELの発表資料より(PR TIMES)
[1] 【専任者ゼロ、製造現場まで】サイバーBCPを策定・運用し続けるAIエージェント「サイバーBCP 回し続けるくん」提供開始
株式会社OVEL / 掲載 2026.10.20
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[2] テリロジー、相次ぐサイバー攻撃や企業の情報漏えいを受け、「TerilogyIT/OT Cyber Advisory (IT/OTセキュリティ相談窓口)」を開設
株式会社テリロジー / 掲載 2026.10.20
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[3] オムロンとNTTドコモビジネス、製造現場のサイバー脅威に挑む ~FAとITの知見を融合し 、OT/IT統合セキュリティの設計から運用・教育までをワンストップで支援~
オムロン株式会社 / 掲載 2026.10.27
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画像:株式会社Listerの発表資料より(PR TIMES)
[4] 「製造業サイバーセキュリティ関連企業カオスマップ」増補版を無料公開 工場・生産設備のサイバーセキュリティ企業100社を掲載 - 株式会社Lister
株式会社Lister / 掲載 2026.10.28
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目次
OTセキュリティを設計から教育まで支援する協業
オムロンとNTTドコモビジネスは、工場の制御・運用技術(OT)からITまでを一体で守る「OT/IT統合セキュリティ」の協業を開始します。両社の支援は、以下の2つの軸で整理できます。
- ITからOTまでを対象にする支援メニュー
- コントローラにOsecTを組み込む開発計画
前者は導入から運用までの支援の範囲で、後者は工場の機器をどこまで見えるようにするかという監視の深さです。発表時点では、支援サービスは提供に向けて取り組みを進める段階で、監視機能は開発を進める段階でした。
ITからOTまでを対象にする支援メニュー
両社は、ITネットワークから製造現場までを一体としてとらえ、リスクの可視化から対策の導入、監視・運用、教育までを支援するサービスの提供に向けた取り組みを進めます。主な支援の内容は、以下の通りです。[3]
| 分野 | 主な支援 |
|---|---|
| 方針づくり | アセスメント、ポリシー策定・体制構築 |
| ネットワーク | IT/OT分離、セキュアリモートアクセス |
| 監視 | 可視化・脅威検知、24時間365日の監視 |
| 教育と訓練 | 制御システム教育、インシデント対応訓練 |
表の支援に加えて、両社はセキュリティ機能を備えたコントローラなどの制御機器の提供に取り組み、インシデント発生時の早期復旧も支援するとしています。OTとITの境界に生じるセキュリティの死角を減らすことが、両社の挙げる狙いです。
役割の分担では、オムロンがFA(工場の自動化)機器や生産技術・保全の現場知見を出し、PLC(機械を動かす制御装置)や産業用PCへのセキュリティ機能の組み込みを開発・検証します。NTTドコモビジネスは、OsecTなどのOTセキュリティソリューションと監視・運用を提供し、アセスメントから訓練までの導入・運用支援を担う形です。
コントローラにOsecTを組み込む開発計画
両社は、OsecTが持つ不正通信検知センサ機能を、オムロンのコントローラ製品へ組み込むための開発を進めます。不正通信検知センサ機能は、制御機器や製造現場のネットワーク上の通信を監視し、不正な通信や異常な挙動の検知を支援する機能です。[3]
組み込みによって、ネットワーク側から把握しにくかったセンサやドライブなどの入出力機器の構成情報も、コントローラを介して取得・可視化する仕組みの実現をめざしています。取得した情報をMES(製造実行システム)やSCADA(設備の稼働データを集めて監視するシステム)など工場管理ネットワーク上のシステムで一元的に管理することも、両社がめざす姿です。
提供の形として、両社は装置ベンダー向けの製品セキュリティ対応と、エンドユーザー向けの工場全体の対策・運用支援を整えるとしています。今後の展開として両社が示した予定は、以下の通りです。
| 時期 | 取り組み | 段階 |
|---|---|---|
| 2026年10月から | 提供サービスの拡大 | 順次開始 |
| 2026年内 | 海外拠点を持つ企業への支援 | 検討開始 |
| 2027年 | 研究開発成果の技術実装 | 検討開始 |
このうち提供サービスの拡大は、NTTグループのOTセキュリティソリューションを組み合わせて進めるものです。残りの2つは、発表時点では検討を始める段階でした。
OTセキュリティを含むサイバーBCPの運用支援
OVELは、サイバー攻撃を前提にした事業継続計画(サイバーBCP)を策定・運用し続けるAIエージェント「サイバーBCP回し続けるくん」を提供するとしています。同社は、工場には生産を止められないことや稼働中の制御機器にむやみに触れられないこと、現場にセキュリティを見る人がいないことという三つの制約があると説明しました。[1]
導入では、OTに精通したFDE(顧客現場に入り込む技術者)が本社の関係部門と製造現場の双方から聞き取り、制御系まで含めたサイバーBCPを策定します。策定後に社内外の変化を検知して計画を改訂するのはAIエージェントで、改訂の承認と手順にない判断は人の役割です。
OVELは、初版の策定後の運用をAIが回すため、社内に専任を置かないままサイバーBCPを維持できるとしています。サービスの提供条件は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供開始 | 2026年10月20日から |
| 対象 | 製造業を中心とする大企業 |
| 初版までの期間 | 標準3〜6か月 |
| 価格 | 個別見積 |
初版の策定後に有事が起きた場合は、警報や通報を受けてAIエージェントが起動し、平時に承認済みの手順に沿って初動の遮断や連絡、復旧手順を指示します。ただし、個人情報保護委員会や監督官庁への報告では、AIは期限と必要な手続きの提示にとどまり、要否と内容は人が判断します。
OTセキュリティの相談先を探す入口
工場のOTセキュリティで何から始めるかが決まっていない段階で役立つのは、支援の契約より先に使える相談の入口です。取り上げる入口は、以下の2つです。
- テリロジーの初回無料の相談窓口
- Listerの100社を収めたカオスマップ
前者は課題の整理から専門家に相談する入口で、後者は課題のカテゴリから相談先を探すための資料にあたります。目的が異なるため、自社の課題がどこまで整理できているかで使い分けられます。
テリロジーの初回無料の相談窓口
テリロジーは、IT・OTのセキュリティの不安や課題を受け付ける相談窓口「TERILOGY IT/OT Cyber Advisory」を開設すると発表しました。同社は、特定製品の導入を前提とせず、まずは課題を整理するところから手伝い、必要な対策の方向性や具体的な解決策を提案するとしています。[2]
受け付ける相談の例として、テリロジーは、何から始めればよいか分からない場合や最近のサイバー攻撃を受けて自社の対策に不安を感じている場合を挙げています。さらに、今の対策で十分かを確かめたい相談と、他社の取り組み事例や最新のセキュリティ技術を知りたい相談も対象です。
相談窓口の概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 不安や課題を抱える企業・団体 |
| 相談費用 | 初回相談無料 |
| 受付方法 | 専用Webフォーム |
| 別途費用 | 調査・診断や導入は別途の場合あり |
表のとおり初回の相談は無料ですが、窓口はサイバー攻撃発生時の緊急対応やインシデント対応を保証するものではありません。被害が起きた後の初動まで外部に頼みたい場合は、別の支援と分けて検討する必要があります。
Listerの100社を収めたカオスマップ
Listerは、「製造業サイバーセキュリティ関連企業カオスマップ」の増補版ver2.0を無料で公開しました。工場・OT向けに国内で提供・相談・導入できる製品・サービスを、製造現場の課題に沿って整理した資料です。[4]
増補版では、掲載企業を初版の50社から100社へ、企業とカテゴリの対応数を115件から211件へ増やしました。全100社の詳細を収めたExcelデータベースはフォームから申し込むと無料で受け取れ、提供者の役割や国内の提供・相談経路も収録されています。
課題から関連企業を探せる6つのカテゴリは、以下の通りです。
| 分類 | 工場の課題 |
|---|---|
| 把握 | 工場内の接続機器・資産を把握する |
| 検知 | 不審な通信・侵入を検知する |
| 保守接続 | 外部からの保守接続を安全にする |
| 防御 | 既存設備を使いながら防御する |
| 復旧 | 被害に備え、復旧を支援する |
| 体制 | 工場に合った対策・体制を整える |
Listerは、掲載が製品の性能評価や推奨、認証を意味せず、配置も企業の優劣を示さないとしています。
OTセキュリティの支援先を選ぶときの確認点
工場のOTセキュリティの支援先を絞り込む手がかりは、任せたい範囲と、相談に入る段階の2つです。ここまでの支援を自社の状況に当てはめるときの確認点は、以下の通りです。[1][2][3][4]
| 自社の状況 | 当てはまる支援 | 確かめること |
|---|---|---|
| 監視や教育まで一体で任せたい | オムロンとNTTドコモビジネス | 使えるメニューと開始時期 |
| BCPの運用まで任せたい | OVELのサイバーBCPサービス | 導入時に決める経営判断 |
| 何から始めるか決まっていない | テリロジーの相談窓口 | 有事の対応範囲 |
| 相談先を自分で探したい | Listerのカオスマップ | 提供者の役割と相談経路 |
確認点は一つに絞る必要はなく、たとえば相談窓口やカオスマップで課題を整理した後に、監視やBCPの支援を比べる進め方も取れます。どの支援を選ぶ場合も、予定や検討の段階にあるメニューと提供が始まったメニューを分けて確かめることが欠かせません。
まずは自社の工場で、止められない設備と被害時に戻す業務の順番を整理しておくと、相談先に伝える材料がそろいます。これが、相談先との話を具体的に進める第一歩です。
References
- ^ PR TIMES. 「【専任者ゼロ、製造現場まで】サイバーBCPを策定・運用し続けるAIエージェント「サイバーBCP 回し続けるくん」提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000192778.html, (参照 26-10-30).
- ^ PR TIMES. 「テリロジー、相次ぐサイバー攻撃や企業の情報漏えいを受け、「TerilogyIT/OT Cyber Advisory (IT/OTセキュリティ相談窓口)」を開設」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000017278.html, (参照 26-10-30).
- ^ PR TIMES. 「オムロンとNTTドコモビジネス、製造現場のサイバー脅威に挑む ~FAとITの知見を融合し 、OT/IT統合セキュリティの設計から運用・教育までをワンストップで支援~」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000184.000120244.html, (参照 26-10-30).
- ^ PR TIMES. 「「製造業サイバーセキュリティ関連企業カオスマップ」増補版を無料公開 工場・生産設備のサイバーセキュリティ企業100社を掲載 - 株式会社Lister」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000085091.html, (参照 26-10-30).













