経営者向けにAI関連企業がAIの相談相手や活用支援を提供、任せる範囲と人の関わり方に違い
公開:
経営の相談相手としてAIを使いたい経営者でも、AIへの指示文の書き方が分からず、試す前に手が止まっていないでしょうか。しかし、AIの側から経営者に質問するサービスもあれば、社長の業務を社員とAIへ分ける支援もあり、相談の入口や任せる範囲はサービスごとに異なります。
この記事では、経営者向けのAIサービスや支援を、相談の入口や任せる範囲、人の関わり方の違いから比べ、選ぶ前に確かめたい観点まで詳しく解説します。AIを経営の相談相手や業務の担い手として使いたい経営者や経営企画の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:エフビーコーポレーション合同会社、シンパステクノロジー株式会社 ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.11.02
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:エフビーコーポレーション合同会社の発表資料より(PR TIMES)
[2] 相談相手がいない経営者の悩みを解消。AIが質問し、経営者は答えるだ け。24時間いつでも、プロンプトなしで経営相談できるAIコンサル「KOTONA」を正式リリース
エフビーコーポレーション合同会社 / 掲載 2026.11.02
発表を見る

画像:シンパステクノロジー株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[3] 28社創業・9社売却の経営ノウハウと外資コンサルの知見を融合 AIで「社長に依存しない経営」を支援する中小企業向け新サービスを提供開始|シンパステクノロジー
シンパステクノロジー株式会社 / 掲載 2026.11.02
発表を見る

画像:株式会社SHIFT AIの発表資料より(PR TIMES)
[4] SHIFT AI、経営者向け新サービス「SHIFT AI EXECUTIVE」を提供開始。経営者主導の「AI経営」を支 援
株式会社SHIFT AI / 掲載 2026.11.02
発表を見る
目次
相談相手のAIとの対話を始める入口
相談相手のAIを使い始めるとき、経営者が最初に触れる画面や操作はサービスによって異なります。AIとの対話を始める入口は、以下の2つです。
- AIが質問するKOTONAの入口
- Facebookの情報をつなぐMuse活用の入口
KOTONAは経営者が自社について答える形で始まり、Museの活用は経営者が普段のAIにFacebookなどの情報の確認や下書きを頼む形で始まります。AIへの指示文を自分で書くかどうかが、二つの入口を見分ける目安です。
AIが質問するKOTONAの入口
エフビーコーポレーション合同会社は、AIの側から経営者に質問を投げかける対話型AIコンサルサービス「KOTONA」の正式版をリリースしました。経営者は画面に表示された質問に普段どおりの言葉で答え、うまく答えられないときはAIが質問を変えて訊き直す仕組みです。[2]
KOTONAはプロンプト(AIへの指示文)の知識を求めず、深夜や休日でも経営の相談相手として使えるとしています。作成した計画は保管され、市況の変化や新しいアイデアが出たときに、前回の内容を土台にして見直せます。
対話の結果は計画書として出力され、計画ごとの主な中身は以下の通りです。
| 計画 | 主な中身 |
|---|---|
| 中長期計画 | 市場調査・競合分析・SWOT分析 |
| 中長期計画 | 決算書PDFの解析・投資可能額の算出 |
| 短期計画 | 数値目標・リスク設計・撤退案 |
| 短期計画 | 計画実施後5年間の財務数値予測 |
補助金・助成金・融資の申請準備では、KOTONAは申請書そのものではなく、審査の評価ポイントを落とし込んだテンプレートに沿って申請書の「素案」を作ります。同社は、2026年1月施行の改正行政書士法を踏まえ、計画を作る主体を経営者自身とする設計だと説明しています。
Facebookの情報をつなぐMuse活用の入口
あなたのAI顧問株式会社は、経営者を対象に、MetaのパーソナルAIエージェント「Muse」を仕事に活かすノウハウの無料提供を始めました。Metaは2026年10月23日にMuseの日本での提供を始めており、同社は全29ページの実践ガイドなどで使い方を解説しています。[1]
同社が紹介するのは、普段使っているCodexやClaude Codeから、MCP接続を使ってMuseに情報の確認を頼む使い方です。Museを通じて得たFacebookやMessengerの情報は、自社のサービス資料や顧客像、過去の商談メモ、判断基準と照らし合わせます。
照らし合わせた結果から作るものは、以下の通りです。
- 反応を踏まえた次の発信案
- 商談の準備メモ
- Messengerでの返信の下書き
参照できる情報は、各サービスの接続状況や権限、対応機能によって異なります。そのため、ガイドでは最初に対象を絞り、元の投稿や会話と照らし合わせる手順も紹介しています。
相談相手のAIと並ぶ社長業務の分担支援
社長に集中する確認や判断を社員とAIへ移す支援は、相談相手のAIとは別の選択肢です。業務の分け方から現場への定着までを支える支援は、以下の2つです。
- 社長業務を社員とAIへ分ける支援
- 経営者主導でAIを業務に定着させる支援
社長業務の分担支援では、AIに任せる仕事と人が担う仕事を分けるところから進めます。相談相手のAIが経営者の考えを整理するのに対し、分担支援は会社の業務の流れそのものを見直す点が異なります。
社長業務を社員とAIへ分ける支援
シンパステクノロジー株式会社は、AIで「社長に依存しない経営」を支える中小企業向けサービスの提供を始めました。情報収集や資料作成、確認など社長が担っていた仕事の一部をAIが引き受け、社員に任せられる仕事を増やすことをめざすとしています。[3]
サービスの土台は、28社の創業と9社の売却を経験した経営パートナーの宇田川富大氏が使う業務マニュアルや進捗管理の仕組み、32分野・209項目に整理したAI活用の知見です。宇田川氏は、業務の仕組み化とAI活用によって、経営する一社での自身の経営業務を月15分程度に抑えています。
同社の主な支援内容と、支援の中で決めることは、以下の通りです。
| 支援内容 | 決めること |
|---|---|
| 業務の棚卸し・設計 | 社員・AI・社長の受け持ち |
| マニュアル・判断基準 | 担当者が判断できる範囲 |
| AIの実装・定着 | 権限と人の確認・承認の範囲 |
たとえば見積承認では、AIが見積内容を社内の判断基準と照合し、基準内の案件は担当者が処理して、例外的な案件だけを社長が判断する形に見直します。同社は、社長が日常業務に追われず、意思決定や事業成長に集中できる経営の実現をめざしています。
経営者主導でAIを業務に定着させる支援
株式会社SHIFT AIは、経営者向けの伴走型サービス「SHIFT AI EXECUTIVE」の提供を始めました。経営者との戦略設計から実際の業務へのAI導入、組織への定着までを支え、同社が「AI経営」と呼ぶ経営者主導の変革をめざすサービスです。[4]
同社には、確認や最終判断が社長に集中する、社長の判断基準が言語化されていないといった声が経営者から多く寄せられているといいます。さらに、社長がAIを試しても使い方が社内に広がらない、AI活用を推進する責任者や体制を決めきれないという声もあるとしています。
同社がサービスで重視する視点は、以下の3つです。
- 経営者本人と進める
- 自社の業務で動かす
- 作り方と判断を社内に残す
同社は、AIに任せる業務を決めることを経営の判断と位置づけ、担当者任せにせず経営者と直接向き合って進めるとしています。主な対象は年商5,000万円以上・従業員300名以下の企業の経営者で、具体的な支援内容は企業ごとに個別に案内します。
相談相手のAIの出力を人が確かめる場面
KOTONAやMuseの活用ガイドは、AIが作った計画や下書きを人が確かめてから使う前提です。人が確かめる場面と、人が担う操作は、以下の通りです。[1][2]
| サービス | 人が確かめる場面 | 人が担う操作 |
|---|---|---|
| KOTONA | 素案の確認と検算 | 申請書の完成 |
| KOTONA(専門家伴走) | ファシリテーターの検算 | 計画の修正 |
| Muse活用ガイド | 送信前の下書き確認 | 投稿・メッセージの送信 |
KOTONAでは、中小企業診断士や経営コンサルタント、金融機関の担当者などの専門家が、ファシリテーターとして経営者に伴走する利用形態も選べます。ファシリテーターは答えにつまった経営者の対話を整理し、画面を通じて助言はできますが、計画を編集することはできない仕様です。
担当ファシリテーターが対話の内容や成果物を閲覧できるのは経営者が許可した場合に限られ、初期設定は「許可しない」となっています。KOTONAは、入力したデータをAIの学習に使わず、対話データを第三者に提供しないとしています。
あなたのAI顧問株式会社のガイドは、取得できた情報の根拠を確かめ、事実と推測を分けて扱うことを重視した内容です。
経営者が相談相手のAIを比べる観点
経営者が相談相手のAIや社長業務の分担支援を比べるときは、相談の入口や任せる範囲、人の関わり方を自社の状況に照らすと違いが見えやすくなります。観点ごとに確かめることを整理した表は、以下の通りです。[1][2][3][4]
| 観点 | 確かめること | 自社で書き出すこと |
|---|---|---|
| 相談の入口 | AIが質問するか自分で指示するか | AIへの指示に慣れているか |
| 任せる範囲 | 計画の素案までか業務の処理までか | 社長に集まる確認や判断 |
| 人の関わり | 誰がAIの出力を確かめるか | 確かめる社員や専門家 |
| 利用の条件 | 料金・対象規模・データの扱い | 予算と従業員数 |
入口を「AIとの対話から」と「業務の設計から」に、人の関わりを「経営者が自ら使う」と「外部の支援が入る」に分けると、各サービスの位置づけを見比べられます。ただし、KOTONAは専門家が伴走する利用形態も選べるため、一つの枠に固定されるわけではない点に注意が必要です。
料金や対象企業の規模は発表時点の内容で、KOTONAの経営者向けプランは月額7,700円(税込)、14日間の無料トライアルがあります。あなたのAI顧問株式会社の解説は無料ですが、各AIサービスの利用に伴う費用は別です。
AIへの指示に不慣れで考えを整理したい経営者と、社長に集中する確認や判断を減らしたい経営者とでは、比べる候補が変わります。申し込む前に、自社が相談したいことと任せたい業務を書き出し、各社の最新の案内と照らし合わせてください。
References
- ^ PR TIMES. 「あなたのAI顧問株式会社、経営者向け「Muse」活用ノウハウの無料提供を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000175627.html, (参照 26-11-04).
- ^ PR TIMES. 「相談相手がいない経営者の悩みを解消。AIが質問し、経営者は答えるだ け。24時間いつでも、プロンプトなしで経営相談できるAIコンサル「KOTONA」を正式リリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000044221.html, (参照 26-11-04).
- ^ PR TIMES. 「28社創業・9社売却の経営ノウハウと外資コンサルの知見を融合 AIで「社長に依存しない経営」を支援する中小企業向け新サービスを提供開始|シンパステクノロジー」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000189388.html, (参照 26-11-04).
- ^ PR TIMES. 「SHIFT AI、経営者向け新サービス「SHIFT AI EXECUTIVE」を提供開始。経営者主導の「AI経営」を支 援」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000308.000116644.html, (参照 26-11-04).













