知財向けAIサービスが知財業務の調査準備や突合を支援、知財担当者は使う工程を選べる
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知財業務にAIを取り入れたいと考えていても、調査や出願、権利化のどの工程から任せるかを決めかねていないでしょうか。研究部門の試験データを整理する作業と、拒絶理由通知を読み解く作業では扱う情報が違うため、AIに任せられる範囲も工程ごとに変わってきます。
この記事では、研究開発情報の整理や権利化結果との突合、生成AIからの特許調査まで、知財業務でAIが担う工程と確認の観点を詳しく解説します。知財業務の進め方を見直したい知財担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表3件
- 発表主体:AIデータ株式会社、パテント・インテグレーション株式会社 ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.09.09
この記事がまとめた発表
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[1] AIデータ社、AI孔明 on IDX 新機能「AI突合作業™ Loop」の弁理士向け「AI Patent Loop on IDX」を発表画像:AIデータ株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[2] 生成AIで特許業務を効率化する「サマリア」、MCPに対応。Claude・ChatGPT・Copilot・Gemini Enterpriseからサマリアデータベースへ直接アクセス可能に画像:パテント・インテグレーション株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[3] リーガルテック社、農業・種苗・農薬メーカー向け「農業R&D情報整理・知財活用ワークフロー」を提供開始【IPGenius】画像:リーガルテック株式会社の発表資料より(PR TIMES)
研究開発情報を整理する知財ワークフロー
リーガルテック株式会社は、農業や種苗、農薬の研究開発部門と知財部門に向けた「農業R&D情報整理・知財活用ワークフロー」の提供を開始しました。圃場試験報告書や育種記録などの資料を整理する内容で、支える工程は以下の通りです。[3]
- 圃場試験や育種記録の情報整理
- 先行技術調査に向けた検索語の生成
知の資産化ナレッジベース「IPGenius」を運用基盤とし、導入企業向けに提供するとしています。品種や栽培条件、薬剤処方などの条件を、複数年・複数拠点にわたって比較できる環境づくりが狙いです。
圃場試験や育種記録の情報整理
IPGeniusは、圃場試験報告書や育種記録、特許明細書などの社内資料を横断的に検索・参照できる環境を提供します。同社が対象として挙げた資料の例は、以下の通りです。[3]
| 資料種別 | 主な情報 |
|---|---|
| 圃場試験報告書 | 試験区・処理条件・評価結果 |
| 育種記録・系統台帳 | 品種や系統の特性・選抜経緯 |
| 研究ノート | 試験の検討履歴・判断理由 |
品種名や系統番号、薬剤の登録番号は資料ごとに表記が異なるため、汎用名や化学名と関連付けて整理すると同社は説明しています。また、年度や地域、試験場が異なる試験結果について、比較に必要な条件と評価項目を整理することも挙げられています。
先行技術調査に向けた検索語の生成
研究ノートや試験報告書から技術要素を抽出し、検索語や比較軸へ変換する作業は、経験のある担当者に依存しやすいと同社は指摘しています。ワークフローで想定されている調査準備の使い方は、以下の通りです。[3]
- 技術要素ごとの検索語候補
- 自社データと発明要素の整理
- 他社特許との比較軸の明確化
発明候補についても、技術課題や解決手段、効果の観点から要素を抽出して整理する内容です。検討経緯や判断理由、過去の検索語も再利用できる情報として蓄積すると同社は説明しています。
知財案件と権利化結果をAIで突合
AIデータ株式会社は、AIインフラ「AI孔明 on IDX」に弁理士向け機能「AI Patent Loop on IDX」を搭載しました。知財案件データと権利化結果データをAIで突合する機能で、主な内容は以下の通りです。[1]
- AIが突合する知財データの領域
- 成功パターンから作るテンプレート
同社は、突合作業と成功パターンの属人化という2つの課題をAIが引き受けると説明しました。弁理士が本来の判断業務や顧客対応に集中できる環境の実現を狙いとしています。
AIが突合する知財データの領域
突合の材料になるのは、発明案件や明細書、拒絶理由通知といった活動データと、特許登録や審決などの権利化結果です。AIが突合・分析する領域として示された内容は、以下の通りにまとめられます。[1]
| 領域 | 主な内容 |
|---|---|
| 技術・特許突合 | 先行技術との差異やクレーム不足 |
| 拒絶理由分析 | 通知の類型化と審査官の傾向 |
| 権利活用分析 | 侵害傾向の把握と特許価値評価 |
新規性や進歩性については、評価そのものではなく評価支援という位置づけで挙げられています。担当者が変わると権利化率がばらつく状態を、過去の記録から読み解けるかが分かれ目です。
成功パターンから作るテンプレート
同社は、突合分析の結果をもとに、次の案件で使える成果物を継続的に生成して改善すると説明しています。生成されるものとして挙げられているのは、以下の通りです。[1]
- 特許明細書テンプレート
- 拒絶理由対応テンプレート
- 先行技術比較表
Loopを重ねるほど、担当者個人の知見が事務所全体の知識資産として共有される仕組みです。特許登録率の向上や拒絶率の低減は期待として示された内容であり、効果の確認は導入する側に残ります。
知財の調査を生成AIから行うサマリアMCP
パテント・インテグレーション株式会社は、特許読解支援アシスタント「サマリア」をMCP(Model Context Protocol)に対応させました。ClaudeやChatGPT、Copilot、Gemini Enterpriseのチャットから使える機能で、主な内容は以下の通りです。[2]
- チャットからできる特許検索と取得
- サマリア本体とMCPの使い分け
同社は、生成AIが特許について説明することには長けているものの、実際のデータに基づく根拠を示すには限界があったと説明しています。使い慣れたAIアプリと専門の特許データベースを直接つなぐ狙いです。
チャットからできる特許検索と取得
サマリアMCPを接続したAIアプリのチャットからは、特許データベースの検索や特許情報の取得、解析ができます。チャットから使える基本操作は、以下の通りです。[2]
| 操作 | 取得できる内容 |
|---|---|
| 特許の検索 | 特許文献の検索結果の一覧 |
| 文献の取得 | 本文・請求項・書誌情報・図面 |
| 番号の照合 | 出願番号と登録番号の対応 |
| 分類の説明 | IPCやFI・Fタームの意味 |
拒絶理由通知書を添付して、引用文献の要約や請求項との対応関係を整理する使い方も挙げられています。主要出願人と出願年でのクロス集計のように、多角的な特許分析を依頼する例も示されました。
サマリア本体とMCPの使い分け
同社は、定型的な処理や大量件数の処理はサマリア本体、都度条件を変える検索や1件の深掘りはサマリアMCPという役割分担を想定しています。利用条件とあわせて整理すると、以下の通りです。[2]
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サマリア本体 | 定型処理と大量件数の処理 |
| サマリアMCP | 条件を変える検索や深掘り |
| 料金 | 対象ライセンス契約中は追加費用なし |
| 機能の範囲 | 発表時点では参照のみ |
発表時点では参照機能に限られ、AIアプリ側からサマリアのデータが書き換えられることはないと同社は説明しています。AIアプリ内での指示や質問では、サマリアの指示数も消費されない扱いです。
知財業務にAIを入れる工程の選び方
AIを使う工程は、出願前の研究情報の整理から権利化の記録の分析、日々の特許調査まで様々です。どの工程で手が止まっているかによって、検討するサービスの性格も変わります。
自社の状況に当てはめるときの確認の観点は、以下の通りです。[1][2][3]
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 使う工程 | 研究情報の整理か権利化の分析か |
| 扱うデータ | 自社の研究資料か特許公報か |
| 使う画面 | 普段のAIアプリから使えるか |
| 費用と権限 | 既存契約の範囲と参照範囲の設定 |
研究資料が拠点ごとに分散している組織では、整理の仕組みから先に検討する形です。調査や拒絶対応の件数が多い組織では、普段使うAIアプリから特許データベースを引ける形も候補に入ります。
発表時点で示されているのは機能と想定される使い方であり、効果の確認は導入する側の作業です。
出典
- ^ PR TIMES. 「AIデータ社、AI孔明 on IDX 新機能「AI突合作業™ Loop」の弁理士向け「AI Patent Loop on IDX」を発表」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000804.000040956.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「生成AIで特許業務を効率化する「サマリア」、MCPに対応。Claude・ChatGPT・Copilot・Gemini Enterpriseからサマリアデータベースへ直接アクセス可能に」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000086119.html, (参照 26-09-24).
- ^ PR TIMES. 「リーガルテック社、農業・種苗・農薬メーカー向け「農業R&D情報整理・知財活用ワークフロー」を提供開始【IPGenius】」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000532.000042056.html, (参照 26-09-24).









