介護・福祉の現場がAIやセンサーで見守りを補う、鍵は通知後に動く人を先に決めること
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介護・福祉の現場で見守りの機器やサービスを選ぶとき、検知できる内容の比較に時間をかけていないでしょうか。しかし、通知を受けた後に誰がどう動くかが決まっていなければ、見守りの機器やサービスを生かしにくくなります。
この記事では、介護・福祉の見守りに使うAI顔認証やスマートホーム、LINE、社用スマホの仕組みに加え、通知を受けて動く人や導入の段階まで詳しく解説します。介護・福祉の現場で見守りを担う事業所の運営者や職員の方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:TRIAS株式会社、株式会社otta
- 出典の最終掲載:2026.09.04
この記事がまとめた発表
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[1] 「安全安心で自立的な暮らしの応援」知的障がい者の自分らしい暮らしをスマートホームで支援。国の福祉制度変革も見据えた実証プロジェクトに参画画像:発表資料より(PR TIMES)
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[2] 介護施設「わかたけ新子安」にてAI顔認証を活用した見守り支援システムの運用を開始画像:発表資料より(PR TIMES)
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[3] LINE⾒守りサービス「ここわタッチ」、兵庫県⻄宮市「協⼒事業者による⾼齢者⾒守り事業」の協⼒事業者に登録画像:TRIAS株式会社の発表資料より(PR TIMES)
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[4] 株式会社otta、太陽生命保険株式会社と連携 地域見守りネットワークの拡大へ画像:株式会社ottaの発表資料より(PR TIMES)
特養やグループホームで職員の目を補う見守り機器
特養やグループホームでは、職員や支援者が利用者のそばにいない時間を、カメラやセンサーを使った見守り機器で補う例があります。職員の目を補う見守り機器の例は、以下の通りです。
- 特養の離設を職員に知らせるAI顔認証
- グループホームの遠隔見守りを試すスマートホーム
特養の若竹大寿会とグループホームの南高愛隣会は、人材不足のもとで、利用者の自由や自立した暮らしと、職員や支援者の負担軽減の両方をめざしています。
特養の離設を職員に知らせるAI顔認証
社会福祉法人若竹大寿会などは、2026年9月1日開設の特別養護老人ホーム「わかたけ新子安」に、AI顔認証を使った見守り支援システムを導入しました。NTTデータ ルウィーブは、開設前に若竹大寿会の既存施設で実証実験を行い、実験の結果を踏まえて、わかたけ新子安で本格運用を始めました。[2]
システムは、離設(利用者が施設の外へ出てしまうこと)のリスクが高い利用者の移動をカメラ映像から検知し、職員へ即時に知らせます。検知から通知までの構成と、各団体の役割は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検知する場所 | 出入口やエレベーターホール |
| 検知する対象 | あらかじめ登録した利用者 |
| 通知の届け先 | 事務室のモニターと職員のスマホ |
| 顔認証ソフト | サイバーリンクのFaceMe Security |
| 設置・通知モニター開発・運用支援 | NTTデータ ルウィーブ |
| 運用の評価 | 若竹大寿会 |
若竹大寿会などは、システムが入居者の監視や行動の制限を目的とするものではないと説明しています。システムは、日常の見守りや職員の声掛けと組み合わせて、離設の可能性を早めにつかむための仕組みです。
導入を考える事業所は、通知を受けた職員がどう声を掛けるかまで、運用の手順として決めておく必要があります。
グループホームの遠隔見守りを試すスマートホーム
社会福祉法人南高愛隣会は、長崎県雲仙市の単身型グループホームで、知的障がいのある利用者10名を対象にスマートホームの実証を進めています。同会は、人材採用が難しい地方でも地域移行(入所施設からグループホームなどへ移ること)を進めるには、スマートホームなどの技術が有効と考えました。[1]
南高愛隣会の吉岡祐二理事は、支援者が訪問しないと状況がわからなかったとしたうえで、遠隔支援で支援の質を上げながら業務の効率化に挑むと述べています。実証で住戸に導入する主な機器は、以下の通りです。
| 機器 | 主な役割 | 設置戸数 |
|---|---|---|
| Life Assist2(LIXIL) | センサーによる遠隔見守りと制御 | 10戸中5戸 |
| eMamo(リンクジャパン) | アプリとセンサーによる遠隔制御 | 10戸中5戸 |
| あるくメカトロウィーゴ(リビングロボット) | ロボットとの会話で孤独感を軽減 | 10戸中4戸 |
| Amazon Echo Show | 予定管理や家族との遠隔会話 | 全10戸 |
実証では、利用者の生活の変化と、支援者の支援時間や支援内容の変化を記録します。さらに、機器を入れる前と後に、第三者機関が利用者と支援者の双方の生活の質(QOL)を評価します。
実証の期間は2027年3月31日までで、支援時間の変化などの結果は、発表時点ではまだ出ていない段階です。2027年1月には、知的障がい者の地域移行に取り組む福祉施設事業者や団体向けの現地見学会が予定されています。
地域で見守りの目を増やす民間サービス
地域の見守りでは、離れて暮らす家族や企業の社員など、介護の専門職ではない人が見守りを担う民間サービスがあります。地域で見守りの目を増やす民間サービスの例は、以下の通りです。
- 西宮市の協力事業者になったLINE見守り
- 太陽生命の社用スマホを使う地域の見守り
西宮市は高齢者見守り事業の目的に見守りの目を増やすことを掲げ、見守りアプリを提供するottaも地域に見守りの目を広げることをめざしています。ただし、異変に気づいた後に誰が動くかは、サービスごとに確かめておく必要があります。
西宮市の協力事業者になったLINE見守り
TRIAS株式会社のLINE見守りサービス「ここわタッチ」は、兵庫県西宮市の「協力事業者による高齢者見守り事業」で協力事業者に登録されました。西宮市の事業は、事業者が日頃の業務で高齢者の異変に気づいたときに、担当地域の高齢者あんしん窓口(地域包括支援センター)へ連絡する仕組みです。[3]
ここわタッチは、離れて暮らす親のLINEに毎日決まった時刻に体調確認のメッセージを送り、親の回答を家族へ届けるサービスです。西宮市は、この特徴を踏まえて、心配な様子の高齢者の情報と担当窓口の連絡先をここわタッチから家族へ伝える形を提案し、TRIASは発表時点でその形を検討しています。
異変に気づいた後の担い手と役割は、以下の通りです。
| 担い手 | 担うこと |
|---|---|
| 協力事業者(民間事業者) | 業務中に気づいた異変を担当窓口へ連絡 |
| ここわタッチ | 48時間無応答で家族全員へ緊急アラート |
| 家族 | 安否の最終確認と緊急時の119番・110番通報 |
| 高齢者あんしん窓口 | 介護や生活面の相談と地域の見守りへの橋渡し |
TRIASは、高齢者あんしん窓口を、家族に代わって日々の安否確認を行う窓口ではないと説明しています。家族向けの見守りサービスと連携する事業所は、安否の最終確認と緊急時の通報を誰が担うかを、連携の前に確かめておく必要があります。
太陽生命の社用スマホを使う地域の見守り
株式会社ottaは、太陽生命保険株式会社と連携し、スマートフォンアプリ「見守り人」を使った地域の見守り活動を始める予定です。アプリを入れた社用スマートフォンが見守られる人の近くを通ると、すれ違った場所の情報がottaのシステムに記録されます。[4]
ottaは、家庭への訪問を中心に営業する太陽生命の営業職員など、地域を日々移動する社員一人ひとりが「動く見守りスポット」になるとしています。見守る人と見守られる人の準備は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見守る人の準備 | 社用スマホに「見守り人」を導入 |
| 見守られる人 | 子どもや高齢者 |
| 見守られる人の準備 | ottaの専用見守り端末を持つ |
見守る側の社員は、特別な機器を持ち歩いたり見守りの時間を設けたりせずに、普段の業務のまま参加できます。ただし、見守られる側が専用端末を持っていなければ、すれ違った場所は記録されません。
ottaは、記録した情報を地域の見守りネットワークの一部として活用するとしていますが、その情報を誰が見て動くかは示していません。訪問などで地域を回る事業所が参加を考える場合、最初に確かめたいのは、記録された情報を見て動く人です。
異変に気づいた後に動く人で選ぶ見守りの手段
介護・福祉の見守りの手段を選ぶときは、機器やサービスが検知する内容に加えて、通知を受けて動く人を先に決めておく必要があります。
自事業所の見守りに当てはめるときに確かめたい観点は、以下の通りです。[1][2][3][4]
| 観点 | 確かめること | 例 |
|---|---|---|
| 検知のきっかけ | 何を合図に知らせるか | 登録者の移動、LINEの無回答 |
| 通知の届け先 | 誰の手元に届くか | 事務室のモニター、家族のLINE |
| 通知後に動く人 | 誰が確認し対応するか | 通知を受ける職員、安否を確かめる家族 |
| 本人側の準備 | 見守られる人に何が要るか | 対象者の事前登録、専用端末 |
| 導入の段階 | 運用中か検証中か | 本格運用、実証中、検討中 |
| 暮らしへの配慮 | 監視や行動制限を目的にしないか | 声掛けとの組み合わせ |
通知が職員に届く仕組みなら、事業所内の対応手順を先に決めておきます。家族や地域の人に届く仕組みなら、事業所の外との役割の線引きを先に決めておきます。
実証中や検討中の例は、効果や運用の形がまだ固まっておらず、発表時点の計画として読む必要があります。自事業所の職員が担う範囲と、家族や地域に任せる範囲を分けて決めておくことが、見守りの手段を選ぶ前の出発点です。
出典
- ^ PR TIMES. 「「安全安心で自立的な暮らしの応援」知的障がい者の自分らしい暮らしをスマートホームで支援。国の福祉制度変革も見据えた実証プロジェクトに参画」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000057987.html, (参照 26-09-21).
- ^ PR TIMES. 「介護施設「わかたけ新子安」にてAI顔認証を活用した見守り支援システムの運用を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000182763.html, (参照 26-09-21).
- ^ PR TIMES. 「LINE⾒守りサービス「ここわタッチ」、兵庫県⻄宮市「協⼒事業者による⾼齢者⾒守り事業」の協⼒事業者に登録」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000174366.html, (参照 26-09-21).
- ^ PR TIMES. 「株式会社otta、太陽生命保険株式会社と連携 地域見守りネットワークの拡大へ」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000011852.html, (参照 26-09-21).








