規程管理と取締役会運営のツールを各社が提供、法務・総務担当者のガバナンス実務を支援
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社内規程の改定や取締役会の準備をツールで省力化したいとき、どの作業を任せるかを決めないまま製品を比べていないでしょうか。規程管理と取締役会の運営では、影響範囲の確認や条文の検索、論点の整理、資料の共有と工程ごとに使う手段が異なり、ガバナンス実務のどこを軽くしたいかで選ぶツールが変わります。
この記事では、規程の改定前に影響を示すクラウドやAIによる規程の検索、役員会前の論点整理、取締役会DXシステムの導入事例まで、規程管理と役員会のどの工程を省力化できるかを詳しく解説します。規程管理や取締役会事務局の実務を担う法務・総務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:株式会社ディーバ、FRAIM株式会社 ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.10.02
SOURCESこの記事がまとめた発表
目次
規程管理ツールが省力化する社内規程の作業
規程管理ツールには、規程を直す前に影響範囲を確かめる作業を軽くするものと、日々の業務で規程を引く確認作業を軽くするものがあります。主な例は、以下の通りです。
- 改定前に影響を示すLAWGUE規程管理
- AIで根拠を示す業務規程ナレッジ検索
前者は規程を改定する担当部署の作業を、後者は規程を参照する職員と問い合わせを受ける事務部門の作業を対象にしています。どちらの作業に時間がかかっているかを先に確かめておくと、比べる製品を絞り込めます。
改定前に影響を示すLAWGUE規程管理
FRAIMは2026年10月1日、社内規程の参照関係を自動で組み上げるクラウドサービス「LAWGUE規程管理」の提供を始めました。就業規則の休職の条文を直すときに、同じ条文を引用している賃金規程などを、影響が及ぶ規程として改定の前に示すとFRAIMは説明しています。[3]
FRAIMは、規程どうしのつながりが多くの企業で担当者の記憶や個人の管理ファイルに頼っていると説明しています。担当者が異動すると1つの改定の影響範囲を誰も把握していない状態になりかねないため、つながりを仕組みとして持てる設計にしたとしています。
FRAIMの発表によると、取り込みから公開までの流れのうち、LAWGUE規程管理が受け持つ作業は以下の通りです。
| 工程 | LAWGUE規程管理の動き |
|---|---|
| 取り込み | Wordの規程をそのまま取り込む |
| 参照関係 | 関係グラフとして自動で表示 |
| 改定の準備 | 目的から直す規程の候補を提案 |
| 改定 | 新旧対照表を自動で作成 |
| 記録 | 改定の理由を変更履歴に保存 |
| 公開 | 確定した規程を全社へ公開 |
CopilotやClaudeなどの生成AIにMCPサーバーを登録すれば、自社の規程を根拠にした答えを引き出せるとFRAIMは説明しています。規程をWord、一覧をExcelで管理していて、システム移行の工数を確保しにくい企業も想定した製品です。
AIで根拠を示す業務規程ナレッジ検索
日立ソリューションズ西日本は、金融機関の担当者が業務規程を確かめる作業を生成AIで効率化する「業務規程ナレッジ検索・活用サービス」を、2026年10月2日から提供するとしています。AIエージェント(利用者の指示に応じて検索や処理を自律的に行うAIシステム)が業務規程にもとづく回答を作り、根拠となる条文とあわせて示す点が中心の機能です。[4]
同社は背景として、金融機関で必要な情報にすぐたどり着けない担当者が増え、事務部門への問い合わせが増える傾向を挙げました。回答のばらつきやベテラン職員への知識の集中も、課題として示しています。
利用者の立場による回答の違いと、規程の検索以外の機能は以下の通りです。
| 対象・機能 | 内容 |
|---|---|
| 経験の浅い職員 | 実務手順や注意点を回答 |
| 管理者 | 判断基準や確認観点を回答 |
| AIチャット | 稟議書や通知文の作成・添削 |
| 接続方式 | IP-VPNによる閉域網で接続 |
| 学習への利用 | 入力データをAIの学習に使わない |
同社は金融機関と共同でPoC(概念検証)を行い、業務に即した質問に対して事務部門と同程度の回答が得られることを確認したと説明しています。ただし、PoCは同社と金融機関が共同で行った検証のため、自社の規程と質問で同程度の回答が得られるかは、導入前に確かめておきたい点です。
規程管理と並ぶ取締役会の運営ツール
取締役会や役員会の運営ツールは、会議の前に論点を整えるものと、会議の資料や情報をまとめて扱うものに分かれます。主な例は、以下の通りです。
- 役員会前に論点を整理するヤクナビ
- 取締役会の情報を集約するTRINITY BOARD
論点整理は会議の進め方に関わり、情報の集約は事務局の運営とグループ会社の監督に関わる工程です。審議のどの段階に時間を取られているかによって、検討するサービスの種類が変わります。
役員会前に論点を整理するヤクナビ
合同会社ジャッジプレスは、役員会の前に各役員の判断を集めて解析し、議論すべき論点と順序を整理する「ヤクナビ」を、2026年10月1日から公式サイトで提供するとしています。同社は、東京証券取引所が2026年7月21日に公表した改訂コーポレートガバナンス・コードが審議の活性化と事務局機能の強化を掲げている点を、背景に挙げました。[2]
同社は1回の利用で最大3課題まで受け付け、課題ごとに15問程度の選択式設問と意見記述欄を作ります。各役員が役員会の前に個別に回答した後、同社がAIで解析し、人による編集と確認を経た事前論点整理レポートをPDFで納品するとしています。
レポートで整理する主な項目は、以下の通りです。
- 役員の間で一致している点
- 役員の間の主要な認識差
- 判断がまだ形成されていない点
同社によると、ヤクナビは多数決で意見をまとめたり、経営判断の結論を示したりするサービスではなく、最終的な判断は役員会が行います。議長は整理されたレポートをもとに審議を進められ、事務局は当日に議論が集中しそうな論点を事前に把握しやすくなると同社は説明しました。
取締役会の情報を集約するTRINITY BOARD
2026年9月30日掲載の発表で、ディーバはNOKが取締役会DXシステム「TRINITY BOARD」を採用したと明らかにしました。NOKは、グループ全体の意思決定の高度化と、議論に使う資料へ円滑かつセキュアにアクセスできる環境づくりをめざして導入したとしています。[1]
TRINITY BOARDは取締役会に関する情報を集約するシステムで、ディーバは運営担当部署の負担軽減や業務効率、セキュリティの向上につながると説明しています。ディーバはあわせて、グループ会社の取締役会にも適用でき、子会社や海外子会社の開催状況と内容を透明にすることによって、グループ・ガバナンスの強化に役立てられるとしています。
NOKグループの規模とTRINITY BOARDの利用状況は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| NOKグループの規模 | グループ会社81社 |
| NOKグループの事業 | 世界14の国と地域で展開 |
| 利用範囲 | NOKと複数の主要グループ会社 |
| 運営 | 取締役会の運営プラットフォーム |
| 事務局 | 業務効率化に活用 |
| 取締役 | 情報プラットフォームとして活用 |
ディーバは、複数社で使うことが各社の状況をタイムリーに把握することやモニタリング体制の構築に役立っていると説明しています。グループ会社を多く持つ企業では、子会社の取締役会まで同じ基盤で扱うかどうかが、導入範囲を決める分かれ目です。
規程管理のガバナンスツールを工程で選ぶ観点
規程管理と取締役会運営のツールは、省力化する工程と、作業が軽くなる相手が製品ごとに異なります。そのため、自社で時間がかかっている工程を先に特定してから比べると、検討するサービスを絞り込めます。[1][2][3][4]
導入を検討するときに確かめたい観点は、以下の通りです。
| 観点 | 確かめる内容 | 判断の材料 |
|---|---|---|
| 対象の工程 | 改定・確認・審議準備のどれか | 時間がかかる工程を特定 |
| 規程の形式 | 今のWordのまま使えるか | 作り直しの工数を見積もる |
| AIの回答 | 根拠の条文まで示せるか | 自社の規程と照合する |
| 情報の扱い | 機密を外に出さない構成か | ヤクナビは回答を番号で管理 |
| 適用範囲 | グループ会社まで含めるか | 子会社の取締役会の扱い |
| 試し方 | 実際の課題で試せるか | ヤクナビは先着10社に無料デモ |
ヤクナビの発表時点の利用料金は1回29万8,000円(税別)で、回答データの回収後、数日以内にレポートを納品するとしています。ほかのサービスを比べるときも、利用単位と費用を工程ごとに並べておくと判断しやすくなります。
References
- ^ PR TIMES. 「ディーバ、NOK株式会社における取締役会DXを支援」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000594.000016467.html, (参照 26-10-06).
- ^ PR TIMES. 「役員会の会議前に論点整理。取締役の判断構造を可視化する 「ヤクナビ 」提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000191780.html, (参照 26-10-06).
- ^ PR TIMES. 「社内規程のための新製品「LAWGUE規程管理」を提供開始 規程のつながりが、改定の前にわかる」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000111.000037680.html, (参照 26-10-06).
- ^ PR TIMES. 「AIで規程確認作業の手間を削減し、業務の効率化を支援「業務規程ナ レッジ検索・活用サービス」を提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000060443.html, (参照 26-10-06).

















