DXに求められる5つのスキルセットと関連する資格を解説

DXに求められる5つのスキルセットと関連する資格を解説

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DX推進において専門スキルや知識が求められますが、具体的にどんな内容を身に付ければよいのかわからない人もいるのではないでしょうか。

DXに求められるスキルを明確にすることで選ぶべきカリキュラムが明確になり、学習の効率化や効果的なスキル習得が可能。各個人に合わせたスキルセットを習得しやすくなり、企業内での役割やプロジェクトに応じた最適な人材育成が進みます。

そこで今回は経済産業省が定めた内容を参考に、DXに求められる5つのスキルセットを5つ紹介します。スキル獲得に役立つ資格も併せて紹介しているので、DX関連のスキルに関心のある方は参考にしてみてください。

DX推進に必要なスキルセットを定義する「DXスキル標準」とは

DXスキル標準とは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で必要な知識やスキルを体系化したガイドライン。経済産業省では下記のように定義されています。

「DX推進スキル標準」: DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準

出典:総務省「デジタルスキル標準」

DXスキル標準では、DXに求められるスキルを下記5つの職種に定義しています。

  • ビジネスアーキテクト
  • デザイナー
  • データサイエンティスト
  • ソフトウェアエンジニア
  • サイバーセキュリティ

各業種に関する詳細は下記の記事で紹介しています。

DX人材とは?求められる業界と適性を徹底解説
DX人材とは?求められる業界と適性を徹底解説

DXスキル標準では人材の定義だけでなく、DX推進に求められるスキルも定義しています。また、これらの人材に求められるスキルを体系的に整理した「共通スキルリスト」も提供しています。

DX推進に求められる5つのスキルセット

DXスキル標準で体系化されている共通スキルリストでは、DX人材に求められるスキルセットとして、下記5つのスキルが定められています。

  • ビジネス変革
  • データ活用
  • テクノロジー
  • セキュリティ
  • パーソナルスキル

各スキルセットの詳細は下記の通りです。[1]

カテゴリー サブカテゴリー スキル項目
ビジネス変革 戦略・マネジメント・システム
  • ビジネス戦略策定・実行
  • プロダクトマネジメント
  • 変革マネジメント
  • システムズエンジニアリング
  • エンタープライズアーキテクチャ
  • プロジェクトマネジメント
ビジネスモデル・プロセス
  • ビジネス調査
  • ビジネスモデル設計
  • ビジネスアナリシス
  • 検証(ビジネス視点)
  • マーケティング
  • ブランディング
デザイン
  • 顧客・ユーザー理解
  • 価値発見・定義
  • 設計
  • 検証(顧客・ユーザー視点)
  • その他デザイン技術
データ活用 データ・AIの戦略的活用
  • データ理解・活用
  • データ・AI活用戦略
  • データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価
AI・データサイエンス
  • 数理統計・多変量解析・データ可視化
  • 機械学習・深層学習
データエンジニアリング
  • データ活用基盤設計
  • データ活用基盤実装・運用
テクノロジー ソフトウェア開発
  • コンピュータサイエンス
  • チーム開発
  • ソフトウェア設計手法
  • ソフトウェア開発プロセス
  • Webアプリケーション基本技術
  • フロントエンドシステム開発
  • バックエンドシステム開発
  • クラウドインフラ活用
  • SREプロセス
  • サービス活用
デジタルテクノロジー
  • フィジカルコンピューティング
  • その他先端技術
  • テクノロジートレンド
セキュリティ セキュリティマネジメント
  • セキュリティ体制構築・運営
  • セキュリティマネジメント
  • インシデント対応と事業継続
  • プライバシー保護
セキュリティ技術
  • セキュア設計・開発・構築
  • セキュリティ運用・保守・監視
パーソナル
スキル
ヒューマンスキル
  • リーダーシップ
  • コラボレーション
  • ゴール設定
コンセプチュアルスキル
  • 創造的な問題解決
  • 批判的思考
  • 適応力

各スキルの内容はカテゴリーとサブカテゴリ―に分けられており、具体的にどのようなスキルが求められるのか項目別に整理されています。各カテゴリ―ごとの詳細について詳しく解説します。

デジタル変革

デジタル変革は企業全体のデジタル化を推進するためのスキルセットです。戦略・マネジメント・システム、ビジネスモデル・プロセス、デザインというサブカテゴリ―に分けられているのが特徴。各サブカテゴリ―ごとの詳細を下記にまとめました。

戦略・マネジメント・システム

デジタル変革には企業が競争力を維持するための戦略策定や、製品・サービスの管理スキルが不可欠です。

ビジネス戦略を明確にしてエコシステムやリスクマネジメント、持続可能性を確保することで持続的な成長と市場での競争優位性を実現します。

ビジネスモデル・プロセス

ビジネスモデル設計では成功要因や成長課題を分析し、製品やサービスの目的とビジョンを策定して収益モデルを設計するスキルが求められます。

現在の状況と目標を可視化して価値を生み出す要素を特定し、デジタル化が必要な領域を明確にします。

デザイン

デザイン面ではユーザー調査や市場調査を通じて新たなニーズを発見し、その結果を分析するスキルが重要です。

ステークホルダーと一緒にアイデアを出し合って価値提案を明確にし、顧客のニーズに基づいて機能やコンテンツを設計します。

データ活用

データ活用は企業が競争力を高めるために必要な重要なスキルです。データの理解と活用においては統計情報や分析結果を正確に理解し、その背景を洞察する能力が求められます。データ活用の詳細をサブカテゴリ―ごとにまとめた結果が下記の通りです。

データ・AI活用戦略

事業戦略や顧客ニーズを踏まえて、データ・AI技術を活用した課題解決や新たなビジネスモデルを提案するスキルが求められます。

具体的にはAI活用の着想からデザイン・課題の定義、KPI設定を行いデータ・AI分析の実装と評価を通じて継続的な改善を図ります。

AI・データサイエンス 統計学や多変量解析、データ可視化を駆使してデータを解析し、その結果を洞察します。機械学習や深層学習、自然言語処理、画像認識などの手法を用いて適切なモデルを構築・評価するスキルも重要です。
データエンジニアリング

データ活用基盤の設計と運用が不可欠です。システム環境の構築やデータ収集、データ構造の定義、データの蓄積・加工・共有を通じてデータから成果を生み出す基盤を実装します。

これにより企業は効率的かつ効果的にデータを活用し、競争力を向上させることが可能です。

テクノロジー

テクノロジーの理解と活用はデジタル変革の基盤となります。最新のIT技術やクラウドコンピューティングやAIなどを駆使して、業務効率化や新しいビジネスモデルの構築を支援します。

テクノロジーのサブカテゴリ―である「ソフトウェア開発」と「デジタルテクノロジー」の詳細は下記の通りです。

ソフトウェア開発

ソフトウェア開発の基本的なスキルとして、データ構造やアルゴリズム、ソフトウェア設計手法が必要です。

ソフトウェアエンジニアリングの最適化や、クリーンアーキテクチャ、デザインパターンなどを活用し、効果的なソフトウェアを設計・実装します。

デジタルテクノロジー

デジタルテクノロジーは物理的な事象をデジタル化し、ビジネスに応用するためのスキルセットです。フィジカルコンピューティングではセンサーやロボット、3Dプリンタなどを用いてIoTデバイスを構築し、エッジコンピューティングやクラウドとの連携を図ります。

これにより、リアルタイムでデータを収集・分析し、効率的な業務プロセスを実現します。

セキュリティ

デジタル環境でのセキュリティは非常に重要です。情報セキュリティやサイバーセキュリティ、データプライバシーの管理と対策を行い、企業の情報資産を保護するスキルが求められます。

セキュリティのサブカテゴリ―である「セキュリティマネジメント」と「セキュリティ技術」の詳細は下記の通りです。

セキュリティマネジメント セキュリティ対策を実施する体制を構築・維持し、セキュリティカルチャーの醸成やリスクアセスメント、セキュリティ要件定義を行うスキルです。また、サイバー攻撃や内部不正に対応する計画と訓練を通じて、事業継続を確保します。
セキュリティ技術

セキュリティ技術ではデジタルサービスや製品を守るためのスキルが必要です。セキュアなシステム設計や脆弱性診断、IT/OT/IoTデバイスのセキュリティ設定を行います。

さらに、デジタルサービスの運用・保守・監視を通じて、脅威情報の活用やインシデント対応を実践します。

パーソナルスキル

パーソナルスキルは、デジタル変革を推進するために必要な個々のスキルです。リーダーシップやコミュニケーションなどが含まれ、効果的なチームワークとプロジェクト遂行を可能にします。パーソナルスキルのサブカテゴリ―である「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」の詳細は下記の通りです。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは対人関係のスキルです。たとえばゴール達成のビジョンを伝え、チーム全体の参画を促進するリーダーシップなどが該当します。

また、協力して作業する際には意見の対立を引き出し、多様な価値観を持つ人々との合意を目指します。チーム内の安心感を高め、全員が意見を出しやすい環境を作ることも必要です。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、問題解決や目標設定に関するスキルです。ゴール設定では未来を想像し、目標を明確にすることが求められます。

その方法として、ストーリーテリングやビジョナリーリーダーシップが役立ちます。また、創造的な問題解決にはデザイン思考や仮説思考を用いることが有効です。

各カテゴリーごとのスキルを参考にすることで、DXの推進に必要なスキルを明確化できるのが特徴。本項目を参考にカリキュラムを選ぶのが最適です。

DXに関するスキルを身につけられる資格

DX推進に役立つスキルを身につける手段として、関連性の高い資格を取得することが挙げられます。スキル獲得に役立つを下記にまとめました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)検定 DXの基本知識や実践能力を測る資格試験。DXプロジェクトの管理や企画に貢献し、企業内でのキャリアアップや業務の効率化に役立ちます。
AWS認定資格 AWSに関する専門知識と技術を証明する資格。クラウド技術の推進やクラウドベースのソリューション開発に役立ちます。
Python3エンジニア認定試験 Pythonプログラミング言語の知識と技能を証明する試験。データ分析や機械学習に関連し、専門性を証明します。
AI実装検定 AIの基礎知識と実装能力を認定する資格試験。AI技術の基本的理解と実践スキルを有し、ビジネスモデル開発や業務効率化に役立ちます。
ITストラテジスト試験 ITを活用したビジネス戦略の策定と実行能力を認定する国家資格。ビジネス改革や組織変革に貢献します。
ITコーディネータ試験 ビジネスとITの橋渡し役としてのスキルを認定する資格。企業のDX支援やプロジェクトマネジメントに有効です。
ITパスポート ITの基本知識を身につけるための国家資格。デジタル化の基礎を理解し、DX推進に役立ちます。
プロジェクトマネージャ試験 プロジェクトの計画や実行、管理に関する専門知識を認定する国家資格。複雑なプロジェクトを管理し、DX関連プロジェクトでリーダーシップを発揮します。
データベーススペシャリスト試験 データベースの設計や構築、運用に関する専門知識を認定する国家資格。データ主導の戦略や意思決定プロセスに貢献します。
基本情報技術者試験 情報技術の広範な知識と技能を証明する国家資格。IT戦略の基盤を築き、デジタル時代におけるキャリアアップに役立ちます。
DX推進アドバイザー認定試験 企業のDXを進める専門知識とスキルを評価する試験。デジタル戦略の具体化と変革プロセスの管理に貢献します。

各資格はそれぞれ異なる分野や技術に焦点を当てており、幅広いスキルセットを構築するのに役立ちます。

たとえばAWS認定資格やPython3エンジニア認定試験は技術的なスキルを強化し、ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験は戦略的な視点を養うのに有効です。

これらの資格を通じてDXの推進力を高め、企業の競争力を向上させることができます。

DXの資格に関連する記事

References

  1. ^ 経済産業省. 「全人材類型に共通する『共通スキルリスト』」. https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/20240708-p-1.pdf, (参照 2024-07-26).
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