日本経済が停滞してIT後進国と呼ばれるようになった背景には、長期的な投資不足や保守的な経営姿勢が大きく影響している。
かつて世界の経済大国として輝いていた日本は、今やGDPランキングでドイツに抜かれ世界4位になった。さらにデジタル競争力では他国に大きな後れを取り、32位に甘んじている。
近年から話題となり進化が止まらないAIにおいても、日本は後れを取っているのが現状だ。
本記事では日本が停滞している理由やIT技術における現状、AIを含めたIT技術の活用がどのような変革をもたらすのかを考察していく。
なぜ日本経済は停滞し、IT後進国となったのか?
日本の経済成長が停滞している理由として、民間投資の伸び悩みや保守的な経営などが挙げられている。[1]
労働時間当たりの実質GDPは他国と遜色ない位と記載されているが、国が一定期間に生産した市場価値の合計を表す「名目GDP」においては、2023年にドイツに抜かれて世界4位へと順位を下げているのが現状だ。
外務省の経済局国際経済課が公開した「主要経済指標」による、2023年の名目GDPランキングは下記の通りである。[2]
順位 | 国 | 名目GDP (百万ドル) |
---|---|---|
1 | 米国 | 27,720,725 |
2 | 中国 | 17,758,046 |
3 | ドイツ | 4,527,009 |
4 | 日本 | 4,219,828 |
5 | インド | 3,567,552 |
6 | イギリス | 3,382,115 |
7 | フランス | 3,052,712 |
8 | イタリア | 2,301,603 |
9 | ブラジル | 2,173,671 |
10 | カナダ | 2,142,471 |
米国と中国の2ヵ国は突出しているが、3位以降は今後数年で順位が入れ替わってもおかしくない。
財務省が公開している「経済成長の停滞の要因と課題」[1]では、このように経済が停滞している理由として「長期的な投資不足」や「保守的な経営」を挙げている。
日本は経済の停滞だけでなくIT技術においても後進国なのだが、その背景にもこのような投資不足や保守的な経営が一因となっている可能性がある。
日本の深刻なIT技術の遅れ
スイスのビジネススクールの国際経営開発研究所(IMD)が公開した「世界デジタル競争力ランキング」だと、日本は32位に位置している。本調査のトップ10ヵ国は下記の通り。[3]
- アメリカ合衆国
- オランダ
- シンガポール
- デンマーク
- スイス
- 韓国
- スウェーデン
- フィンランド
- 台湾
- 香港特別行政区
アメリカに限らず隣国の韓国や、台湾にも大きな後れを取っていることがわかる。日本においてはIT技術の後れに加えて、人口減少なども今後の懸念点だ。
なぜIT技術の遅れが懸念されるのか?
IT技術は今や世界的にスタンダードとなっている技術だ。IT技術の象徴ともいえるインターネットとコンピューターの普及により、24時間モノを買えたり世界中にサービスを展開できるようになった。
AppleやAmazon、Microsoftなどの企業はこれらの環境を存分に生かし、GAFAMと言われるほど世界的に有名な企業となっている。新しい技術をいち早く取り入れ、失敗を恐れず行動したことがこのような結果につながったのではないだろうか。
このように日々進化する技術は、ヒューマノイドロボットのようなハード面の進化も促進している。
つまり、今後もサービス提供や業務の効率化、新しい価値を創出する上で欠かせないIT技術が遅れると他国に大きな後れを取るのだ。結果として今後さらにGPDランキングを下げる可能性もある。
IT技術の活用は、人口減少が進行している日本において特に重要だ。これまで人が担っていた仕事をIT技術によって自動化・効率化できれば、一人あたりの生産性も向上して労働力不足を補いながら経済の活力を維持できる可能性がある。
IT技術の遅れは企業格差にもつながる
IT技術の遅れは国同士の格差だけでなく、企業格差にもつながる。IT技術を駆使する企業は業務効率を向上させたり、データ分析による戦略立案を行うことで競争優位性を確立できる。
ほかにもIT技術を積極的に活用することで迅速な意思決定や、市場変化への対応力を高められるだろう。一方でIT技術の導入や人材の育成・採用が遅れる企業は競争力を失い、市場での地位が低下するリスクを抱える可能性がある。
また、近年ではIT技術の中でもAIの進化が著しいことも見逃せない。
AI技術が生む新たな競争力
2022年11月にリリースされた「ChatGPT」を皮切りに、AI技術は大きな注目を集めている。日本語や英語などの自然言語で指示することでテキストや画像・動画を作成できる「生成AI」は、驚異的な速度で進化しているのが現状だ。
最近では自然言語でソフトウェアの要件定義から、コーディングまで担うサービスまで登場している。
たとえばアメリカのサンフランシスコではすでに「Waymo One」という自動運転サービスがスタートしている。
AI技術を活用することで、これまで人がやっていた作業や仕事が自動化・効率化されたり、新しいサービスの創出につながることがわかる。ただし日本はこのAI領域においても後進国である。
AIを含めたIT技術の遅れを取り戻すべく、DXやリスキリングという観点で日本政府もIT人材を増やそうとしている。そのために助成金や補助金などを率先して展開しているが、現状の先進国との差を埋めるには至っていない。
AI時代に求められるIT技術の基礎
AIを含めたIT技術を活かすには、「ITとは何なのか?」「どういう理屈で動いているのか?」などを理解する下地が不可欠だ。IT技術でできることを理解することで、既存のビジネスで活かす方法や作れそうなサービスを連想できる。
AIも例外ではない。たとえばChatGPTのような生成AIにおいては「プロンプト」という生成AIへの指示方法を理解している人と知らない人で結果が大きく異なる。
このようにAIを含めたIT技術を個人及び企業で活かすには、そもそもの仕組みやどのようなことが実現できるのかという基礎が必要だ。
これまでにAIを活用することや、IT技術を使いこなすことの重要性について述べてきたが、その一方でAIについて懐疑的な意見もある。
次回は、AIに懐疑的な意見が出ている理由と実情について紹介していく。
参考文献
- ^ 財務省. 「経済成長の停滞の要因と課題」. https://www.mof.go.jp/zaisei/economy-and-finance/economy-and-finance-02.html , (参照 2024-11-25).
- ^ 外務省. 「主要経済指標」. https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100405131.pdf , (参照 2024-11-25).
- ^ IMD. 「世界デジタル競争力ランキング」. https://www.imd.org/centers/wcc/world-competitiveness-center/rankings/world-digital-competitiveness-ranking/ , (参照 2024-11-25).
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