なぜ日本ではIT人材が不足しているのか?根本原因と対策方法を解説。

なぜ日本ではIT人材が不足しているのか?根本原因と対策方法を解説。

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だーだい
フリーランスWebライター兼Web製作者。Webライターとしてガジェットメディアやプログラミングに関する記事を執筆する傍ら、LP制作とWordPressの改修案件もこなしつつ、活動しています。 profile


日本のIT人材不足の現状

経済産業省が実施した「IT 人材需給に関する調査」[1]によると、日本は2030年までにIT人材が16~79万人不足すると予測されています。本調査では、需要の伸びを低位 中位 高位の3パターンで予測しており、各位によって準拠する内容が異なるのが特徴です。

IT需要の伸び 数値 説明
低位 1% IT 需要は GDP 連動性が高いため、各種市場調査結果も概ね1%程度を想定
高位 3~9% IPA 企業アンケート調査の結果に基づく、年度により変化
中位 中間値 上記「低位」と「高位」の中間値

参考:経済産業省「IT 人材需給に関する調査」より[1]

需要の伸びが比較的低いと想定する低位の調査でも、2030年には約16万人のIT人材が不足すると予想されています。

また、総務省が2019年に公開している「デジタルで支える暮らしと経済」[2]によると、IT人材の量について89%の人が「IT人材が不足している」と回答してることがわかりました。

上記の調査結果から、今後の需要に関する予測方法によってIT人材不足の数は前後するものの、ほぼ確実に人材不足の数が広がることが伺えます。

IT人材とは誰のことを指すのか

IT人材が今後も不足することはわかったものの、そもそも具体的にどんな人が不足しているのでしょうか。

経済産業省が実施した「IT 人材需給に関する調査」[1]では、2030年までの試算対象であるIT人材を下記のように定義しています。

  • ITベンダー:情報サービス ソフトウェア企業の人材、Web企業の人材
  • ユーザー企業:ユーザー企業の情報システム部門の人材

ITベンダーはIT製品やサービスを「提供する側」であり、ユーザー企業はそれらを「利用する側」です。つまり、技術開発と提供に関連する人材や、企業内部のIT運用と管理に関連する人材が不足していることになります。

IT人材不足により起こる問題点

IT人材不足は日本の企業や組織、そして国全体の経済にさまざまな問題をもたらす可能性があります。まず、企業においては、IT人材の不足によってDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れを招き、それにより競争力の低下や効率性の欠如を引き起こす可能性があります。

経済産業省が公開している「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」[3]では、2025年までに課題を克服できなければ毎年12兆円もの経済損失が生じると述べています。

「複雑化 老朽化 ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」

出典:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

DXの遅れにより新しい技術の導入や既存のシステムの保守 アップデートが困難になり、企業の生産性が低下することが考えられます。また、セキュリティリスクも高まる可能性があるのも懸念点です。

国全体の視点から見ると、IT人材不足によって国のデジタルインフラの発展を妨げ、国際競争力の低下を招く可能性があります。

今やIT技術は、産業のあらゆる分野で重要な役割を果たしているため、IT人材不足によってイノベーションの遅れや産業全体の発展の停滞を引き起こしかねません。


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IT人材不足はなぜ起こるのか?

IT人材不足の背後にある主な原因は下記の通りです。

  • 技術的需要の増大
  • 労働人口の減少
  • 技術の進歩への適応の遅れおよび旧来のシステムへの依存

各内容について詳しく解説します。

技術的需要の増大

インターネットAIといったIT技術の進化によって、あらゆる業界でIT技術への依存度の高まっています。その結果、人材市場におけるITスペシャリストの需要が急増していることが原因のひとつです。

たとえば、スマート農業の推進のように伝統的にITとは無縁とされてきた分野も含まれており、需要はさらに広がる見込みです。

IT関連の労働人口の減少

労働人口の減少は、特にIT分野で人材不足を深刻化させています。総務省が公開してる「高齢化の推移と将来推計」によると、日本の総人口は2010年をピークに減少傾向にあり、65歳以上の人口が増加傾向にあるようです。

また、総務省統計局が公開している「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要」[4]では、2021年に比べて労働力人口が5万人減少したことがわかりました。

少子高齢化による労働人口の減少により、将来の労働市場における供給不足が予測されています。この問題はIT業界だけの人材不足に限らず、多くの業種で課題となっています。

技術革新への対応遅れ

IT業界はAI、IoTクラウドコンピューティング、ビッグデータといった革新的な技術が急速に進化しており、これらを扱える専門家への需要が日に日に増加しています。しかし、多くの企業では、こうした最新技術の習得と適用に必要な人材開発や環境整備が追いついていないのが現状です。また、多くの企業が旧式のレガシーシステムに依存しており、新しい技術への移行を妨げ、IT人材の有効活用を制限しています。

経済産業省が公開している「DXレポート」[5]では、8割の企業がレガシーシステムを使用しており、そのシステムの保守 運用にIT人材が割かれていると記載されています。

これにより、技術革新に関するプロジェクトへ参加するIT人材が限られ、ポテンシャルが十分に発揮されないという問題が生じています。

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IT人材不足を解消するための対策方法

教育 研修プログラムの拡充

社内での教育と研修プログラムの強化は、IT人材のスキル向上に必要です。IT業界が急速に進化する中、従業員が現代のテクノロジーに追いつくためには、継続的な学習とスキル開発が求められます。

例えば、新しいプログラミング言語やデータサイエンス、クラウド技術のトレーニングを提供することで、従業員は最新の技術トレンドに適応し、企業の競争力を高めることが可能です。

また、企業内に十分な教育リソースがない場合は、外部の専門的な教育サービスを利用するのも一つの手段です。

外部リソースを活用する

専門的なスキルや技術を持つ外部のエージェンシーやフリーランサーを活用し、社内の人材不足を補います。

これにより、特定のプロジェクトや短期的なニーズに迅速に対応でき、社内のIT人材はより戦略的な取り組みに集中できます。

また、外部の専門家から新しい視点やスキルを学ぶ機会を得ることができ、組織全体の技術力の向上にも寄与します。

IT人材不足を実感しており、外部サービスを使ったIT人材育成に関心のある企業の方は、IT人材を育成するDX研修を受けてみてはいかがでしょうか?

レガシーシステムの最適化

古いシステムの改善や技術の更新が、IT人材を効果的な業務に導きます。レガシーシステムは効率性が低いことから多くのメンテナンス作業を要するため、貴重な人材リソースの浪費につながります。

システムをクラウドベースのソリューションにアップグレードしたり、自動化技術を導入することで、IT人材はメンテナンス作業から解放され、新しいプロジェクトやイノベーションに集中できます。

まとめ

日本は2030年までに、16~79万人のIT人材不足に直面すると予測されています。この問題の主要因には、技術的需要の増大や労働人口の減少、技術革新への適応の遅れなどがあります。

解決策として、教育 研修プログラムの強化やレガシーシステムの最適化、外部リソースの活用などの対応が必要です。

国と企業はこの問題に対して協力し、持続可能な成長とIT分野の発展を支援する必要があります。

References

  1. ^ 経済産業省. 「IT 人材需給に関する調査」. https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf, (参照 2023-11-10).
  2. ^ 総務省. 「デジタルで支える暮らしと経済」. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd104300.html, (参照 2023-11-10).
  3. ^ 経済産業省. 「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」. https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf, (参照 2023-11-10).
  4. ^ 総務省統計局. 「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要」. https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index.pdf, (参照 2023-11-10).
  5. ^ 経済産業省. 「DXレポート」. https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r02/hakusho/r03/html/n1242000.html, (参照 2023-11-10).

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