【イベントレポ】県民性を生かした企業のデジタル化!県内企業の事例や専門家の考察を紹介

【イベントレポ】県民性を生かした企業のデジタル化!県内企業の事例や専門家の考察を紹介

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2023年6月2日(金)、県内の企業を対象に「デジタル化推進セミナー」(主催:高知県)が開催されました。

セミナーは二部構成となっており、第一部では高知県内の3社が登壇するパネルディスカッション。第二部では、豊富な知識と経験を持つ有識者やIT企業の代表が参加するディスカッションを行いました。

本記事では、このイベントで登壇者が話した内容の一部をご紹介いたします。

※本記事は、運営パートナーである株式会社SHIFT PLUSからの取材記事を許可を得て転載しています。

元の記事はこちら:https://shiftplus.inc/posts/reskilling_seminar 株式会社SHIFT PLUS公式ウェブサイト:https://shiftplus.inc/

▼イベント概要

【デジタル化推進セミナー】今日から始めるデジタル化への第一歩
【デジタル化推進セミナー】今日から始めるデジタル化への第一歩

目次
  1. ▼イベント概要
  2. <登壇者紹介>
  3. ■第一部登壇者
  4. ■第二部登壇者
  5. デジタル化推進セミナー開催の背景
  6. 第1部|デジタル化に向けて社内でどんな取り組みを行いましたか?
  7. 岡氏:「DXプロジェクト」チームの立ち上げと「全社的なDX推進」の取り組み
  8. 北氏:目標は「人に気づきを与えるシステム構築」。事業戦略の策定を行い、高知デジタルカレッジで多くのことを学んだ
  9. 川村氏:副業人材を活用。専門家の話を聞き、勉強会を開催し、社内での知識を深める活動を行った
  10. 第2部|デジタル化への第一歩をどう踏み出せばいいのか?
  11. 中城氏:経済産業省の「DX認定事業者」にあてはめたプロセスを考える
  12. 川村氏:技術変革の波を社員が理解する環境を作り上げ、価値を生み出すための議論を行う
  13. 川西氏:やって見せて『できる』と知らせること。スモールスタートからやってみることが重要
  14. 高知県のデジタル技術の活用とその先の可能性は?
  15. 中城氏:DXは、県内全員が一丸となって取り組む必要がある。
  16. 川西氏:現場のセンスのいい人が、 システムでどういうことができるのかということを知る。知った上で改善を考える
  17. 川西氏:DXの本質は「価値を見出すこと」
  18. SHIFT PLUSは、人 地域 ITを繋ぎ合わせ、デジタル手段を用いて地域課題を解決する取り組みを行っています

<登壇者紹介>

■第一部登壇者

岡 真佐人 氏
(株式会社技研製作所 開発部 係長)2007年に(株)技研製作所入社。開発部門にて開発機/工法の実証業務を約10年間経験し、製造部門にて生産/原価/購買管理を約6年間経験。2022年9月より「DXプロジェクト」のプロジェクトリーダーとしてデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出、社内DX推進に携わる。
北 雅之 氏
(高知機型工業株式会社 代表取締役社長)2003年高知機型工業(株)入社。3Dデータを活用した「デジタルものづくり」を推進、2019年策定の事業戦略(5か年計画)に直接業務及び間接業務のDX化を軸とした事業承継を計画し実行。2021年に高知デジタルカレッジ「次世代リーダーDX基礎講座」に参加し、具体的な間接業務のロボット化(RPA)計画を策定、現在推進中。2022年8月代表取締役社長に就任。最近刺さった言葉は「Digitize or Die」「思い描いたことを実現してこそ革新は生まれる」
川村 和也 氏
(ミタニ建設工業株式会社 企画開発部)高知工業高等専門学校にて土木について学ぶ。以降、約30年間にわたり全国各地の公共工事に携わる。2017年にミタニ建設工業㈱にUターン入社し、地域の活性化や民間事業者との協業に興味を持ち、社内の新規事業開発部門に立ち上げメンバーとして参画。 現在は、PFI事業や老朽化した施設のリノベーション事業に取り組み、地域事業者や起業家とのネットワークの拡大に取り組んでいる。

■第二部登壇者

川村 晶子 氏
(高知大学 特任教授 学長特別補佐 次世代地域創造センター 地域DX共創部門 部門長)子育てをしながら仕事を続ける中で「企業にも行政にも女性自立のための生活者視点が足りない」と感じ、2000年にNPOを設立。“私おこし“を合い言葉に、女性の起業や再就職を支援。2005年から5年間県庁にて勤務、業務改革や地域活性化のための人材育成事業などに取組む。前職 富士通(株)では高知県庁と協定を結び、都市部に高知応援インフルエンサー ネットワークを形成する活動「高知家学講座」を企画、実施。地域DX推進の核となる人材育成や活動支援に取り組んでいる。
中城 一 氏
(四国情報管理センター株式会社 代表取締役社長)高知市に生まれ、京都産業大学理工学部を卒業後、日本DEC㈱(現 日本HP㈱)に入社。2002年に四国情報管理センター㈱に入社し、各部門の管理職や専務を歴任。2013年から代表取締役に就任、以降現職。高知県情報産業協会副会長。高知県の公共団体や民間企業のデジタル化に尽力。
川西 里佳 氏
(コードキャンプ株式会社 代表取締役)国立大学理系学部卒業後、ITコンサルタントとして企業のIT化支援のプロジェクトに関わったのち、アパレル大手や損害保険会社のIT部門責任者を歴任。大手アパレルメーカーではシステム導入を伴う生産業務改革、並びにIT部門責任者経験を有する。また、BPRコンサルティング経験を活かした人材育成プランニングを多数手掛ける。IT発注者としての経験を活かし、コードキャンプ㈱でも事業開発 全社横断プロジェクトや大手クライアントのDX人材育成研修責任者として従事。デジタル推進人材の研修企画や講師として携わる。

デジタル化推進セミナー開催の背景

デジタル化推進セミナー開催の背景

セミナーを開始するにあたり、高知県商工労働部産業デジタル化推進課の揚田徹課長が、今回のイベントを開催するに至った背景や思いについて語りました。

揚田:日本では、人口減少に伴い、労働力の不足と市場の縮小が深刻な問題となっています。特に、労働集約型産業が多い高知県では、人口減少が直接、生産力の低下に繋がります。

将来的に、労働力の減少を前提とした事業の効率化が必要となり、それと並行して職場環境の改善や働き方改革が求められるでしょう。その上で、経営改革や事業価値の向上も重要な要素となります。目指すべきは、限られたリソースでより多くの成果を達成することで売上や給与を上げ、生産性を向上させながら働き方改革を進めることです。

業績向上のためには、新規市場の開拓やマーケット型の事業展開も重要です。海外市場への進出や商品価格の見直しなど、多様な解決策が必要となります。しかし、その中でもデジタル化は手っ取り早く取り組みやすい手段の1つとなるため、県内事業者の皆様には積極的にデジタル技術の活用の取り組みをお願いしたい。

▼自社のデジタル化に関心がある事業者の皆様は、このデジタルカレッジで学んでいただくほか、以下の「産業振興センターデジタル化相談窓口」をご利用ください。

https://joho-kochi.or.jp/digital/

第1部|デジタル化に向けて社内でどんな取り組みを行いましたか?

岡氏:「DXプロジェクト」チームの立ち上げと「全社的なDX推進」の取り組み

岡氏:「DXプロジェクト」チームの立ち上げと「全社的なDX推進」の取り組み

私たちはデジタル化に向けた取り組みを大きく2つ行っています。

まず1つ目は、昨年の9月から始めた「DXプロジェクト」というものです。 会社内の独立した組織として立ち上げ、係長クラスの5名と入社5年目及び2年目の社員を含む約7名のメンバーで“デジタルを活用した新たなビジネスモデルの創出”をテーマに、現場/製品の生産性向上に繋がるビジネス展開に取り組んでいます。

2つ目の取り組みは「全社的なDX推進」です。

会社がどのようにデジタル化を進めていくのかというビジョンを明確にし、それをもとに社員からの課題提出を促し、新しい方向性を見つけ出しています。

その結果を全社レベルでのボトムアップ型の改善に反映させています。

北氏:目標は「人に気づきを与えるシステム構築」。事業戦略の策定を行い、高知デジタルカレッジで多くのことを学んだ

北氏:目標は「人に気づきを与えるシステム構築」。事業戦略の策定を行い、高知デジタルカレッジで多くのことを学んだ

2018年に「事業戦略の策定」に取り組み、高知県工業会の合宿セミナー(2日間)で作成する活動を行いました。

この事業戦略については、産業振興センターからの支援を受け、現在私が世代交代を担当する立場であることを考慮に入れつつ、具体的なビジョンの策定や未来への道筋を作りました。

デジタル化を通じて人材や伝承をどのように未来へ残していくかを具体化し、計画的に進めることにしました。 先代の社長もこれらの考えを持っていたと思いますが、それを文書化し明確な目標にすることで、それがより具体的でリアルに感じられるようになりました。

2021年には、高知デジタルカレッジの「次世代リーダーDX基礎講座」に私と他の2名が参加しました。 そこで新たな計画を立て、これまでの製造業としての直接業務へのデジタル化だけでなく、管理業務へのデジタル化も必要であると気づきました。

私自身もエンジニア出身であるため、技術的な進化ばかりに目を向けていたことなど多くの気づきがありました。

最終的な目標としては、こういった「人に気づきを与えるシステム」をDXで構築したいと考えています。

川村氏:副業人材を活用。専門家の話を聞き、勉強会を開催し、社内での知識を深める活動を行った

Python基礎・実践(Django)

企業・法人向けのPython研修では、基礎から応用まで体系的に学べます。

Python研修の詳細

DX社員研修

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DX研修の詳細

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川村氏:副業人材を活用。専門家の話を聞き、勉強会を開催し、社内での知識を深める活動を行った

私たちの会社では、各社員が給油カードを使用し、ウェブ上でガソリンの消費量を追跡します。以前は、これらのデータをExcelに手動で入力していたため、全員分のデータを処理するのに大量の時間がかかりました。

RPA(※)という自動化技術を知り、RPAソフトウェアの開発を行っているメーカーさんを会社に招き、勉強会を開きました。そこからRPAの導入を進めることになったのですが、自分たちで活用することで、コストを抑えつつ作業の自動化ができるのではないかと考えました。 高知県主催の「副業活用セミナー」に参加した際に、他の企業がIT人材を活用してRPAを導入し、業務効率を向上させている事例を知りました。これを社内で共有すると、同僚たちも興味を持ちました。

そこで、高知県の副業人材活用事業を通じて、SHIFT PLUSの紹介により、RPAの専門家と協力する機会を得ました。社内で週1回オンラインでRPA教室を開催。副業として参加してくれた専門家に会社の課題を説明し、効果的な情報整理を学びました。

結果として、かつて1日(約6~7時間)かかっていた給油カードのデータ管理作業が、わずか40分程度で完了するようになりました。

特に若い従業員は積極的にRPAを活用し、不明な点は専門家に問い合わせながら、さまざまな業務の自動化を進めています。

※RPA(Robotic Process Automation)とはコンピュータ上で行われる事務処理を自動化するためのソフトウェアロボットの技術を指します。

第2部|デジタル化への第一歩をどう踏み出せばいいのか?

>中城氏:経済産業省の「DX認定事業者」にあてはめたプロセスを考える

中城氏:経済産業省の「DX認定事業者」にあてはめたプロセスを考える

経済産業省では、「DX認定事業者」という認定制度を設けています。

この認定を受けるためには、明確なビジョンと実行計画が必要なため、経営者と現場が協力して、しっかりとした計画を立案し実行しなければなりません。

つまり、この認定取得を目指すことで、デジタル化へ一歩前進することができるのではないかと思います。

川村氏:技術変革の波を社員が理解する環境を作り上げ、価値を生み出すための議論を行う

川村氏:技術変革の波を社員が理解する環境を作り上げ、価値を生み出すための議論を行う

ChatGPTの登場により、大きな変革期を迎えていますよね。しかし、高知県内の教育現場の教師や学生をはじめとした多くの人々が ChatGPTのことを知らないです。

最も大切なことは全ての企業のメンバーがこの技術変革の波を理解し、「価値を生み出すこと」の意識を持っているということです。

業務の効率化、コスト削減、人手不足の解消や置き換えといった即座の利益を追及することはもちろん重要ですが、技術変革の波を理解し、企業や団体がどのように位置付けられるべきかについての議論の土台があるか否か、それが一歩を踏み出すための決定的な鍵となると考えています。

各々の視点とアイデアを組み合わせ、ディスカッションを通じて、ものの価値を生み出すための最適な活用法を模索することが求められています。

川西氏:やって見せて『できる』と知らせること。スモールスタートからやってみることが重要

川西氏:やって見せて『できる』と知らせること。スモールスタートからやってみることが重要

一番理想的な状況は、経営陣が積極的にデジタル化を推進する意思を持つことだと思います。 そこで必要になってくるのが、まずはできると知ってもらうことが重要と考えています。

100%の成功は難しいかもしれませんが、実際に試すことで、利用可能な部分と改良が必要な部分が明確になります。 迷う時間を長引かせるよりも、スモールスタートから始めるべきです。

数値的な改善に結びつかない限り、経営陣への説得は難しいかと思いますので、目指すべき目的を明確に設定すること、そして具体的に行動し「できる」ということを示すこと、これらが重要なポイントです。

高知県のデジタル技術の活用とその先の可能性は?

高知県のデジタル技術の活用とその先の可能性は?

中城氏:DXは、県内全員が一丸となって取り組む必要がある。

高知に住む人たちは、高知が好きなんです。

しかし、事業やインフラの維持、社会福祉、教育、労働といったテーマを考えていると、「このままでは持続可能な県として未来が見えない」という潜在的な懸念を抱いていると思います。

私たちが取るべき方針は、デジタル技術を積極的に利用することだと考えます。 人口が少ない中でも、生産性を向上させ、差別化を図る必要があります。

東京や他の大都市で求められているDXとは、少し違う形で取り組みが求められるかもしれません。 一方が優れている、または劣っているという視点ではなく、全県民が一丸となって、高知県ならではのDXに取り組むことが求められています。

川西氏:現場のセンスのいい人が、 システムでどういうことができるのかということを知る。知った上で改善を考える

私はITコンサルタントとして働いていましたが、その時に現場の人々から多くの話を聞く中で気づいたことがあります。 それは、「現場の優れた直感を持つ人々が、システムの可能性を理解し、それを基に改善策を考える」というアプローチは非常に有効で、これを上回る方法はないということです。

DXというのは、個々の人が直面している課題や自身が持つものにどう活用していくかという、個別の課題に関わるものだと思います。 幅広い知識を持つことも重要ですが、重要なのは課題をいかに自分ごととして捉えながら取り組むのか、それを深い課題と結びつけて実践することが大切だと考えています。

高知は、「一歩を踏み出すのが早い」県民性を感じます。 好奇心や行動力があり、自分の課題に取り組む姿勢から形にしていくところは、期待できるなと思っています。

その特性をどのように活用するかが課題となり、今後の可能性を切り開くのではないかと考えます。

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川西氏:DXの本質は「価値を見出すこと」

更地があれば、都市部の人は、「それは空き地。空き地を見つけるとすぐに何かに利用しなければならない」と考えます。 一方、高知県の人は、「空が広く、風が通る」と表現します。価値というのは、他人から認知されるブランドではなく、自身で見つけ出し、育てていくものです。

私たちは自分たちで価値を見つけ、改善し続ける必要があります。「本当の価値を見出すこと」は、企業がデジタル変革を進める際の本質とも繋がると感じます。

どうすれば大きく飛躍できるかを追及する中で、私たち高知県民の特性を結びつけていってほしいです。

SHIFT PLUSは、人 地域 ITを繋ぎ合わせ、デジタル手段を用いて地域課題を解決する取り組みを行っています

今回のイベントは、高知県産業デジタル化推進課が主催し、コードキャンプ株式会社と株式会社SHIFT PLUSが事務局として運営に携わりました。

SHIFT PLUSは、地域の人々や企業とのつながりを活かし、多くの県内企業がデジタル化を進める手助けとなるべく、「デジタル化推進セミナー」の運営を行いました。

それぞれの企業がどのようにデジタル化に取り組んでいるか、デジタル化への取り組みの一歩、そして高知県の可能性についてなど、参加者の皆様が参考になる情報が満載なイベントになったと思います。

SHIFT PLUSは、他にも地域の企業と人を繋ぐマッチング支援やDX支援、県内への移住支援、ひとり親家庭への支援など、幅広く活動を展開しています。

気になることやご質問がございましたら、いつでもお問い合わせください。

▼「SHIFT PLUS 地域活性化事業」サービスページhttps://shiftplus.inc/rr

▮ 記事に関するお問い合わせ 株式会社SHIFT PLUS 電話:088-802-5366 mail: info@shift-plus.jp 広報担当:國澤

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