Claudeがアプリやツールと連携可能に。Anthropicが「Integrations」機能を発表

• Claudeが「Integrations」で外部アプリと接続可能になり、業務支援の幅が拡大。
• 「Research」機能が強化され、最大45分の調査で引用付きレポートを作成。
• 開発者は30分ほどで独自の連携機能を構築でき、拡張性も大幅向上。

Anthropicは2025年5月2日、AIアシスタント「Claude」の新機能「Integrations」を発表しました。この機能によりClaudeは、外部のアプリやツールと連携できるようになります。ユーザーは接続したサービスの情報にClaudeがアクセスできるようになり、作業支援の幅が広がります。^[1]

今回の発表では「Research」機能も強化されました。Claudeはウェブ検索やGoogle Workspace、連携した外部サービスから情報を収集できます。最大45分かけて調査を行い、引用付きの総合レポートを作成することが可能です。情報源へのリンクも明示されるため、調査結果の信頼性が高まります。

「Integrations」は昨年11月に発表された「Model Context Protocol（MCP）」に基づいています。MCPはAIアプリをツールやデータに接続するためのオープン標準です。初期段階では以下10の人気サービスと連携可能です。

• Atlassian「Jira」
• Atlassian「Confluence」
• Zapier
• Cloudflare
• Intercom
• Asana
• Square
• Sentry
• PayPal
• Linear

今後はStripeやGitLabなども追加される予定です。

また、「Integrations」機能は開発者向けの機能も充実しています。公開されているドキュメントやCloudflareなどのソリューションを使えば、約30分で独自の連携機能を作成できます。

さらに今回のアップデートでは、ウェブ検索機能がグローバルで有料プラン全ユーザーに提供開始されることも発表されました。

Claudeの「Integrations」機能は、AIアシスタントの役割を大きく変える転換点です。これまでのAIアシスタントは対話型インターフェースが中心でした。新機能により実際のビジネスツールと連携してタスクを遂行できるようになります。

特に注目すべきはオープン標準「MCP」の採用です。MCPを採用することで、特定のプラットフォームに依存しない相互運用性を促進します。これは開発者にとっての参入障壁を下げることができ、ユーザーには選択肢の多様性をもたらす可能性があります。

強化された「Research」機能も画期的です。即時的な応答を超えた深い調査が可能になり、複雑なリクエストを小さな部分に分解して調査します。各部分を深く掘り下げた後、包括的なレポートとして統合できるのも特徴。従来は人間が何時間もかけていた作業を大幅に効率化できるでしょう。

Claudeの「Integrations」機能は、今後AI市場全体における競争環境や製品開発の方向性に大きな影響を与えるでしょう。特にOpenAIのGPTシリーズやGoogle Geminiなどの競合AIアシスタントも、同様の統合機能を強化していくことが予想されます。

企業のワークフローにおいては、AIアシスタントが中心的な指揮者として機能し、複数のツールやシステムを連携させる「オーケストレーター」としての役割が強化されるでしょう。

これにより従業員の作業効率が向上するだけでなく、組織全体の知識管理や情報の流れが最適化され、意思決定プロセスの迅速化やイノベーションの促進につながる可能性があります。

開発者エコシステムにおいても、AIとの連携機能を提供することが様々なSaaSプラットフォームの競争力を左右する要素となるでしょう。MCPのようなオープン標準の採用によって、大小様々な開発者が新しいAI連携サービスを生み出す機会が生まれ、AIを活用したツールやサービスの多様化が進むと考えられます。

一方で、多数のサービスと連携することによるプライバシーやセキュリティの懸念も高まることが予想されます。ユーザーデータの取り扱いや権限管理、情報漏洩のリスク軽減などについて、より透明性の高い運用方針と堅牢なセキュリティ対策が求められるようになるでしょう。

References

1. ^ Anthropic. 「Claude can now connect to your world」. https://www.anthropic.com/news/integrations, (参照 2025-05-02).