Location AI株式会社は、クラウド型人流データ活用プラットフォーム「Location AI Platform®(以下、LAP)」の機能およびデータを外部の生成AIシステムと連携できる「LAP API(ベータ版)」の提供を開始しました。
LAP APIが生成AIに実世界の人流データを接続する背景と意義
EC化が進んだ現在でも、消費行動・経済活動の8〜9割はオンラインではなく実世界で行われています。小売のEC化率は約10%、外食では97%以上が来店前提です(出典:経済産業省 EC市場調査、矢野経済研究所ほか(2024年))。経営意思決定・事業判断の大部分は、「人が実際にどこにいて、何をしているか」という実世界の文脈の上に成り立っています。
一方、生成AIの学習データには実世界の刻々と変化する人流データは含まれていません。AIがどれだけ高度な推論能力を持っていても、実世界の文脈なしでは精度の高いビジネス判断を支援することはできないという課題があります。
Location AI株式会社が基盤とするのは、国内約9,300万のデバイスIDおよびグローバル約42億IDを含むデータ資産と、8年間で蓄積した約3兆レコードの人流データです。独自のAI分析技術とあわせて、AIと実世界をつなぐ接地面(グラウンディング)を提供します。
人流を機械可読なデータとしてAPIで外部提供できるのは、実世界の人流をAI技術によって、完全に構造化された「データ」へと変換するプロセスが、独自の分析エンジン「Location Engine」においてすでに技術として完成しているためです。ユーザーは、生成AIの推論・分析能力と実世界の人流データを総合し、自然言語による質問・対話だけで、これまで専門的な分析作業を要したインサイトを引き出せるようになります。
LAP API(ベータ版)の機能概要とMCP対応予定
2026年6月時点のLAP API(ベータ版)が提供する主な機能は次の6カテゴリです。
- POI管理(分析地点):登録・更新・削除・一覧取得(GeoJSON対応・一括登録可)
- フォルダ管理:フォルダの一括作成・削除による分析地点の整理
- 分析グループ:グループの一括作成・削除による分析単位の管理
- 人流速報:デイリー・アワリーの来訪・滞在人数を性別×年代別に取得
- マップデータ:来訪率・ポテンシャル・ランキングをメッシュ単位のJSONで取得
- CSVダウンロード:来訪率 / ポテンシャル / 商圏基本 / ランキングの4種に対応
このほか訪問条件一覧取得にも対応しており、町丁目単位の居住地データや併用率など今後その他の人流データの提供も予定されています。ベータ版トライアルは、現在LAP契約中の企業を対象にAPIキーを発行して利用できる仕組みです。
2026年7月には、生成AIと外部システムを標準接続するための規格「MCP(Model Context Protocol)」に対応したセキュア連携機能を公開する予定です。MCP対応により、自社で構築した生成AI環境と人流データの連携がさらに簡易化されます。
たとえば、自社の生成AIに対して「渋谷の旗艦店の今週の来訪者数を、先月と比較して要約して」と尋ねるだけで、実世界のデータに基づいた回答を得ることが可能です。MCP提供開始以後は、LAPユーザー以外の企業へも提供が予定されています。
Location AI株式会社およびLAPの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | Location AI株式会社 |
| 代表者 | 代表取締役 小尾 一介氏 |
| 所在地 | 東京都渋谷区恵比寿南1-2-9 小林ビル6F |
| URL | https://location-ai.com/ |
| 提供サービス | Location AI Platform®(LAP)、人流アナリティクス®、インバウンドアナリティクス+、人流広告(Flow Ad)、Inbound Marketing Service |
| データ規模 | 国内約9,300万のデバイスID・グローバル約42億ID・8年間で蓄積した約3兆レコード |
| 今回の提供 | LAP API(ベータ版)提供開始・2026年7月にMCP(Model Context Protocol)形式での提供予定 |
trends編集部の一言
経済活動の8〜9割が実世界で行われているという数字は、デジタル施策の議論が盛んな現在においても改めて重みを持ちます。来店・来訪という「リアルの動き」をどう把握してビジネス判断に活かすかは、多くの現場が手を焼いてきた課題でした。
人流データ活用市場全体としては、データの提供元プラットフォーム内での分析完結にとどまることが多く、外部の生成AIシステムとリアルタイムに連携できる仕組みは限られてきました。
今回の発表が注目されるのは、「生成AIに欠けているもの」を補う設計にある点です。ChatGPTやClaudeがどれだけ高度になっても、「今この地域に人が来ているかどうか」という情報は学習データに含まれていません。そこに実世界のデータをAPIで接続するアプローチは、生成AI活用の次の一手として、注目しておく価値があります。
2026年7月のMCP対応が実現すれば、特別な開発なしに自社の生成AI環境へ人流データを組み込める企業が大幅に増えるでしょう。「自然言語で人流を問い合わせる」という使い方が業界標準に近づいていく流れとして、引き続き動向を追いかけたい発表です。
References
- ^ PR TIMES. 「生成AIと「実世界の人流データ」がつながる。Location AI Platform®がAPI/MCPによる外部提供を開始 | Location AI株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000151.000037476.html, (参照 26-06-13).
