株式会社ギックスは、生成AIとデータ基盤を組み合わせた意思決定プロセス高度化支援サービス「AI-Informed Platform(AIP)」の提供を開始しました。
AIP提供開始の背景にある現場課題
多くの企業がDX推進の一環として、データ基盤やBIツールへの投資を進めてきました。一方で現場では、次のような声が少なくありません。
- 「データは存在しているが、一部の専門人材しか使いこなせていない」
- 「ダッシュボードは整備したものの、十分に活用されず、事業部門ではExcelで業務を進めている」
- 「生成AIを試したが、業務に活かせる精度の回答が得られない」
こうした課題の根本には、単なるツールの有無ではなく、「データが、AIや事業部門の問いに答えられる形で設計・整理されていない」点があります。AIが業務文脈を理解し、意味のある仮説を提示するためには、データそのものの整備に加え、データの意味や関係性を定義するセマンティックレイヤー(意味層)が必要です。株式会社ギックスは、このデータ設計思想こそがAI時代のデータ活用の中核になると考えてきました。
AIPの3層設計とセマンティックレイヤーで実現するAI活用基盤
AIPでは、データ基盤を次の3層設計で構築します。
- 生データを保持する「Bronze」
- 生データを整形・統合し分析可能な共通データに変換する「Silver」
- 業務や意思決定に使える形へ用途別に最適化する「Gold」
この3層設計を基本としながら、データの意味や定義、関係性を管理するセマンティックレイヤーも構築する設計です。同レイヤーの構築には、株式会社ギックスが独自に開発した属性定義フレームワーク「ゾクセイ」を活用します。
ゾクセイは、顧客・商品・店舗・施策などのデータに業務的な意味情報を付与し、AIが業務文脈を踏まえて分析できる状態をつくるための要素です。技術構築にとどまらず、ビジネス観点でのデータ設計から分析・仮説生成、意思決定プロセスへの組み込み、現場でのPDCA定着までを一気通貫で支援できます。この支援範囲の広さが、株式会社ギックスの差別化領域です。
AIPは、企業ごとのデータ基盤や業務課題、意思決定プロセスに応じて設計・構築する個別対応型のサービスであり、導入範囲や提供内容は個別に相談のうえ決定します。
AIPの適合度診断とデモ分析の概要
導入にあたってはまず、現状のアセスメントとして「AIP適合度診断」から開始します。本診断では、4つの視点から現状を整理し、AI-Informedな組織への変革ロードマップを作成する流れです。視点の内訳は以下の通りです。
- データ基盤(技術)の現状評価
- データ活用(ビジネス)の現状評価
- システムの現状評価
- 組織・プロセスの現状評価
サービス提供開始に際しては、架空のイタリア料理レストランチェーンを題材にしたデモ分析も実施されました。分析対象のデータは、売上・天候・人流・近隣イベント・社内施策・議事録・店舗日報など多岐にわたります。
「なぜ吉祥寺店の3月売上が前年比+20.6%となったのか」を横断分析した結果、花見イベント・テイクアウト施策・店舗オペレーション改善という複数要因の重なりが、有力な要因候補と根拠として提示されました。
このデモでAIが担ったのは、因果の断定ではなく、データに基づく仮説や根拠、追加検証事項のセットでの提示です。AIの出力を鵜呑みにするのではなく、人間がより良く判断するための材料として活用するアプローチを体現しています。
AIPの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社ギックス |
| 代表取締役CEO | 網野知博氏 |
| 所在地 | 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル11F |
| サービス名 | AI-Informed Platform(AIP) |
| サービスカテゴリ | 意思決定プロセス高度化支援サービス |
| データ基盤設計 | 3層設計(Bronze / Silver / Gold) |
| 独自フレームワーク | 属性定義フレームワーク「ゾクセイ」 |
| 診断メニュー | AIP適合度診断(4つの視点で現状整理) |
| 提供形態 | 個別対応型(導入範囲・内容は個別相談) |
| 公式サイト | https://www.gixo.jp/ |
trends編集部の一言
架空のイタリア料理レストランチェーンの吉祥寺店で前年比+20.6%という売上変動を、複数のデータ横断で分析するデモは、具体的なビジネス文脈と数値が示されていて説得力がありました。マーケティング業界の文脈に置き換えると、「なぜこのキャンペーンが効いたのか」を複数要因に分解して検証する作業は時間がかかるもので、AIエージェントが仮説と根拠をセットで提示してくれる仕組みは、コンテンツ施策の効果検証や意思決定支援の領域でも応用が広がりつつある動きと捉えられます。
業界全体としては、生成AI導入後の「精度への不信」と「使いこなせる人材の偏在」が共通の壁として観察されています。AIPがその解決策として「セマンティックレイヤーでデータに意味を持たせる」という設計を前面に出している点は、ツール導入で止まっていた企業にとって一歩先の議論を促す検討材料になりそうです。「AIに因果を断定させず、人間の判断材料に徹する」という方針は、マーケティング領域におけるAI活用のあり方として一石を投じるものと言えそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「ギックス、企業の意思決定高度化を支援する「AI-Informed Platform(AIP)」サービスの提供を開始 | 株式会社ギックスのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000343.000080464.html, (参照 26-06-11).
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