株式会社エクサは、農業法人 株式会社アグリマインドと連携し、生成AIを活用した実証プロジェクトを完了しました。
エクサの生成AI実業務定着プロジェクトの背景
生成AIへの関心が高まる一方、実際の業務に定着させることは多くの企業にとって共通の課題です。最新ツールを導入するだけでは、現場の日常に溶け込まず、本質的な活用に至らないケースは少なくありません。
とりわけ、経営者が長年の経験から培った判断基準や経営哲学——いわゆる「暗黙知」——は言語化が難しく、組織が拡大するほど共有の難度が増していきます。エクサが目指したのは、単なるツールの導入ではありませんでした。UXデザインの視点から現場に深く入り込み、「どうすればAIが自然に受け入れられ、業務に定着するか」を設計の起点に据えた取り組みです。「現場に溶け込むAI体験」の構築を軸に、実効性のある活用モデルを追求しました。
エクサの生成AIプロジェクトにおける3つのアプローチ
本プロジェクトは、大きく3つの取り組みで構成されています。主な柱は以下の通りです。
- 経営者の知見を組織で共有する「バーチャル代表」の構築
- 現場に寄り添うAIリテラシーの伴走支援
- 短期間で生み出された具体的なビジネス成果の確認
専用アプリには、次の質問を促すサジェスト機能と、AIの回答を代表にワンタッチで確認できるエスカレーション機能を実装しています。「代表に相談する」という日常のコミュニケーションの延長線上でAIと対話できる体験を設計した点が特徴です。
運用開始後、AIは現場スタッフにとって「判断に迷った時の方針確認」や「気兼ねなく尋ねられる相手」として機能し、代表自身にとっては「思考を整理する壁打ち相手」として進化しています。社員向けのAIスキル共有会は毎週開催されました。農業やバックオフィス業務における活用事例の紹介から始め、各担当者がイメージを持てた段階で個別の相談会へと切り替える設計です。
「やってみたいことはあるが、どう活用すればよいかわからない」という声に二人三脚で伴走した結果、担当者が自発的に業務に必要なAIツールの発案を行うなど、具体的な行動変容が生まれています。
デジマキさんによる具体的なビジネス成果
伴走支援の成果として、直売所の担当者が規格外イチゴの販売方法を「デジマキさん」に相談した事例がありました。壁打ちを通じて「箱売り」のアイデアを導き出し、2日後に実施。翌日には好評につき増産を決定するなど、スピード感のある成果につながりました。
離れた拠点の現場責任者が「デジマキさん」を壁打ち相手として、一次判断の精度を高められる環境も整いました。代表の確認を待つことなく現場が自律的に動き出し、意思決定のスピードが向上していくことが期待されます。
株式会社アグリマインド 代表 藤巻公史氏は、「個人の頑張りではなく、構造で戦うこれからの農業において、重要な武器を手に入れた手応えを感じています」と述べています。
プロジェクト担当の小岩彩友美氏は、「単なる技術の導入ではなく、『人がどう感じ、どう使いたくなるか』という体験設計に注力したことで、アグリマインドの皆さまと一緒に新しい価値を形にできたことを心より嬉しく思います」とコメントしています。
エクサの「デジマキさん」プロジェクト概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社エクサ(神奈川県横浜市) |
| 連携先 | 株式会社アグリマインド |
| 構築されたAI | デジマキさん |
| カテゴリ | 生成AI |
| 現場潜入期間 | 約3ヶ月 |
| 活用プログラム | 複業留学(株式会社エンファクトリー提供) |
| 展開予定 | 金融業・製造業など幅広い業界 |
| 親会社 | JFEスチールを母体とし、キンドリルジャパンを親会社に持つ |
trends編集部の一言
約3ヶ月の現場潜入型支援を通じて、直売所担当者が2日後には「箱売り」を実施するという具体的な成果が確認されました。生成AI活用領域全体としては、ツールを導入しても現場に定着しないという課題が繰り返し語られてきました。
体験設計を起点に現場の行動変容まで引き出した今回の構造は、業界横断で参照される事例と捉えられます。「暗黙知の形式知化」というテーマは、マーケティング業界でもブランドの判断軸やトンマナ管理など、似た課題として広く存在しているのではないでしょうか。
経営者の哲学をAIに組み込み、現場が自律的に動き出す仕組みとして機能させた設計は、組織の意思決定を構造化するアプローチとして業界全体でも注目されるものです。
References
- ^ PR TIMES. 「【AIが経営者の判断を再現】エクサ、農業法人アグリマインドで生成AI活用の実証プロジェクトを完了。経営者の「暗黙知」を資産化したAI『デジマキさん』を構築。 | 株式会社エクサのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000444.000001318.html, (参照 26-05-28).
ITやプログラミングに関するコラム
【Python】FastAPIで料金プラン見積もりシミュレーターを作ってみた
【Python】pandasとmatplotlibで在庫データのABC分析と構成比を可視化してみた
【Python】Flaskで社内FAQをカテゴリ検索できるWebアプリを作ってみた
【Python】argparseでJSON整形・構文検証・キー検索CLIを試してみた
【Python】NumPyとmatplotlibでモンテカルロ法による円周率推定と収束過程の可視化を試してみた
【Python】Playwrightでスクレイピングを試してみた
【CSS】notで複数の件を除外する方法
【Git】remote設定を変更する方法
【VBA】コメントアウトを設定する方法
x86とx64の違いを分かりやすく解説
ITやプログラミングに関するニュース
VercelがAI GatewayにSeedream 5.0 Proを追加、AI SDKのモデル指定で画像生成と編集が可能に
AWSがAmazon LocationのPlaces APIを強化、住所表記の指定と移動手段別の検索が可能に
VercelがトレースにTree・Waterfallビューを追加、ログ画面で処理の階層と所要時間を確認可能に
Googleがエージェント評価の再考を提唱、難易度を情報量で測るDiscovery Benchを解説
Google CloudがCloud Runサンドボックスを公開プレビューで提供、サービスヘルスは一般提供に
Google Cloud EMEAが英国金融の重要第三者に指定、イングランド銀行・PRA・FCAの直接監督下に
AWS DMS Schema ConversionがSQL Serverのオフライン変換に対応、ソースDBへ接続せずスキーマを変換可能に
EC2 G7インスタンスが米国東部(バージニア北部)で利用可能に、G6比でAI推論性能が最大4.6倍
SageMaker HyperPodが継続プロビジョニングでのAMIベース構成に対応、S3のスクリプト管理なしでSlurmクラスターを作成可能に
AWSがEMR on EKSでSparkトラブルシューティングエージェントに対応、失敗ジョブの原因分析を自然言語で依頼可能に
