前田建設工業株式会社は、AIによってシールド工事の切羽圧を予測するDXツール「切羽圧制御支援システム」を開発しました。
切羽圧制御支援システムの開発背景
シールド工事では、掘削面(切羽)の崩壊を防ぐために適切な圧力(切羽圧)を維持する必要があります。圧力が低すぎれば地表面の沈下を、高すぎれば隆起を引き起こすおそれがあります。
従来、切羽圧の監視や制御操作は主に熟練技術者の経験や知識に依存してきました。近年の担い手不足や技術者の高齢化を背景に、データを活用した施工支援技術の必要性が高まっていました。前田建設工業株式会社は、こうした課題に対応するため、施工時に採取した多様なデータをAIで学習・予測する本システムを開発しました。
切羽圧制御支援システムの主な特長
本システムの特長は、以下の3点です。
- 約3,000の特徴量による約10秒先の切羽圧予測と操作タイミング提示
- 実現場でのAI予測が熟練技術者と約90%一致する高い予測精度
- 共通基盤「MAIOSS-Ⅱ」活用による現場への水平展開の容易性
具体的には、切羽圧をはじめとする時系列データから周期性や傾向を抽出し、約3,000個の特徴量で数値化します。この数値化された特徴量をもとにAIが約10秒先の切羽圧を予測し、適切な操作タイミングを提示する仕組みです。前田建設工業株式会社の現場での検証では、AIの予測が約90%で熟練技術者と一致し、実用レベルでの有効性が確認されました。
切羽圧制御支援システムとMAIOSS-Ⅱの連携および今後の展開
本システムは、前田建設工業株式会社が開発・運用するシールド工事のデータプラットフォーム「MAIOSS-Ⅱ」に蓄積された各種センサーデータおよびオペレータの操作履歴をAIが学習します。本システムはMAIOSS-Ⅱを活用しているため、現場への導入展開が容易です。
今後は、本システムを順次現場へ導入し、シールド外径や土質の違いなど多様な施工条件下でのデータをAI学習に活用することによって、さらなる高精度な分析と予測の実現に取り組みます。現在の「逸脱予兆の警報機能」に加え、逸脱を防止する「操作ガイド機能」へと進化させ、オペレータの技能に左右されない安定掘進を目指します。インフロニアグループの三井住友建設の現場にも今後展開していく予定です。
切羽圧制御支援システム概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | 前田建設工業株式会社 |
| 所在地 | 東京都千代田区 |
| 代表者 | 前田操治氏 |
| システム名 | 切羽圧制御支援システム |
| 種別 | DXツール |
| 使用特徴量数 | 約3,000 |
| 予測時間 | 約10秒先 |
| 予測精度(検証値) | 熟練技術者との一致率 約90% |
| 基盤プラットフォーム | MAIOSS-Ⅱ |
| 今後の展開先 | インフロニアグループ・三井住友建設の現場 |
trends編集部の一言
AIの予測が約90%で熟練技術者と一致したという検証結果は、建設業界以外の立場から見ても数字として、説得力があります。業界全体としては、熟練技術者の高齢化と担い手不足は建設分野に限らず、製造業や物流、インフラ管理など多くの現場で共通する課題です。こうした領域でのAI活用は、技能継承問題への一つの現実的な応答として注目されます。マーケティング業界の文脈に置き換えると、属人化したノウハウをデータとして蓄積しAI学習に活用するという設計思想は、コンテンツ制作やキャンペーン運用における知見管理にも共通する発想です。「熟練者の判断をどうデータ化するか」という問いは、現場を問わず、共通の論点になりつつあるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「AIでシールド工事の切羽圧を10秒先まで予想する「切羽圧制御支援システム」を開発 | 前田建設工業株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000046240.html, (参照 26-05-28).
