IT企業がAIでレガシーシステムの移行を支援、情報システム部門のモダナイゼーションの負担軽減へ
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老朽化したレガシーシステムをAIで移行・改修するとき、製品の機能比較を先に進めて、人が確認する工程の検討を後回しにしていないでしょうか。モダナイゼーションを支援するAIサービスは、コードの読み解きやデータ移行、移行後の保守など、受け持つ工程がサービスごとに異なります。
この記事では、レガシーシステムのモダナイゼーションを支えるAIサービスを工程ごとに整理し、提供状況や人が確認する場面まで詳しく解説します。レガシーシステムの保守や移行に悩む情報システム部門やSIerの開発責任者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:株式会社ripla、TISI株式会社 ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.09.30
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:株式会社riplaの発表資料より(PR TIMES)
[1] AI駆動開発フレームワーク「GoDD」に、データ移行をAI主導で支援する「GoDD Migration」を追加。 移行設計・実行・検証までを一貫して効率化
株式会社ripla / 掲載 2026.09.18
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[2] TISI、「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」にてAIで保守業務の効率化と属人化解消を支援する新サービスを提供開始
TISI株式会社 / 掲載 2026.09.25
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[3] TISI、生成AIでJR西日本のAPI開発プロセス高度化を支援し、鉄道・MaaS領域の業務効率化に寄与
TISI株式会社 / 掲載 2026.09.28
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画像:株式会社ナレッジセンスの発表資料より(PR TIMES)
[4] スパゲッティコードをモダン化する国産AIエージェント「CodeSense」
株式会社ナレッジセンス / 掲載 2026.09.30
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目次
モダナイゼーションでAIが担う工程の違い
レガシーシステムのモダナイゼーションでは、AIが受け持つ工程によって、情報システム部門が比べる点が変わります。コードを読み解くAIエージェントもあれば、データ移行や移行後の保守を対象にしたサービスもあるためです。
サービスごとの対象工程と、発表時点の提供状況は、以下の通りです。[1][2][3][4]
| サービス | 提供元 | 対象工程 | 発表時点の状況 |
|---|---|---|---|
| CodeSense | ナレッジセンス | コードとVBAの改修 | 数週間以内に提供予定 |
| GoDD Migration | ripla | データ移行の設計〜検証 | 提供開始を発表 |
| 保守AIプラットフォーム構築サービス | TISI | 移行後の保守業務 | 2026年9月25日提供開始 |
| API定義作成支援ツール | TISI | API定義の作成とレビュー | JR西日本で本番運用 |
表のとおり、AIが扱う範囲はコードの改修から移行後の保守までに分かれており、API定義のレビューのように移行以外の開発工程で生成AIを使った例もありました。自社の課題がどの工程にあるかを先に決めておくと、比べる対象を絞り込めます。
スパゲッティコードを改修するモダナイゼーション
ナレッジセンスは、9月30日掲載の発表で、国産AIエージェント「CodeSense」を数週間以内にリリースする予定だと明らかにしました。CodeSenseが支援する内容は、以下の2つです。
- CodeSenseが改修を支援するコードとVBA
- CodeSenseが形式知化する業務ルール
どちらも、担当者の異動や退職によって、中身を把握できる人が限られたコードを対象にしています。改修と知識の引き継ぎを、同じAIエージェントで進められるかが検討の分かれ目です。
CodeSenseが改修を支援するコードとVBA
CodeSenseは、複雑に絡み合ったスパゲッティコードを読み解き、現在の開発環境に合わせたモダンな構成への移行を支援するとしています。さらに、業務で使われ続けてきたVBAの処理内容を読み解いたうえで、改修や新たな実装も支援する方針です。[4]
CodeSenseの支援対象と提供条件は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | スパゲッティコード・VBA |
| 支援内容 | 読み解き・改修・実装 |
| 利用時の前提 | 社内のコードや技術情報を保護 |
| 提供状況 | 数週間以内にリリース予定 |
| 申し込み | β版ユーザーを募集中 |
ナレッジセンスは、法人向けAIエージェント「ChatSense」を500社以上に提供するなかで、社内のコードを守りながらコーディングエージェントを使いたいという声を受けたと説明しました。β版は既存システムの保守や業務改善に使いたい企業を対象に募集しており、リリース前に自社のコードとの相性を確かめる機会として使えます。
CodeSenseが形式知化する業務ルール
CodeSenseは、仕様書やコードから処理の前提や業務ルールを整理し、担当者の頭の中にあった暗黙知を形式知として残す作業を支援するとしています。ナレッジセンスは、長年の改修を重ねたコードや現場のVBAについて、中身を把握できる人が限られて保守や改修が難しいケースも少なくないと説明しました。[4]
業務ルールの整理が役立つ主な場面は、以下の通りです。
- 担当者の異動や退職への備え
- 改修前の処理の前提の確認
- 中身を知る人が少ないマクロ
ただし、整理した業務ルールを人が確認する手順は、発表時点では示されていません。β版を試す企業は、AIが整理した内容を業務担当者が確かめる手順を自社で決めておく必要があります。
データ移行をAI主導で進めるモダナイゼーション
riplaは、9月18日掲載の発表で、データ移行をAI主導で支援する「GoDD Migration」の提供開始を明らかにしました。GoDD Migrationは、AI駆動開発フレームワーク「GoDD」の新サービスで、支援内容は以下の2つです。
- GoDD Migrationが作る移行設計
- GoDD Migrationが行う移行検証
riplaは、長期間運用されたシステムでは、業務ルールが仕様書だけではなくソースコードや帳票、担当者の運用などに分散している場合があるとしています。GoDD Migrationは、既存システムを解析する「GoDD Analyze」や共通データ基盤「GoDD DB」と連携し、分散した情報を横断的に解析する仕組みです。
GoDD Migrationが作る移行設計
GoDD Migrationは、新旧システムのDB定義やテーブル、カラム、実データ、仕様書などをAIが解析し、データマッピングや変換ルールを作成します。移行先のデータモデルが未確定の場合には、統合・分割・正規化などの設計候補を根拠とともに提示するとしています。[1]
AIが移行設計で扱う主な作業は、以下の通りです。
| 作業 | 内容 |
|---|---|
| 構造の対応付け | テーブル・カラムの対応推定 |
| 変換ルールの作成 | データ型やコード値の変換 |
| データの再編 | 統合・分割・補正のルール |
| 品質の確認 | 欠損・重複・異常値の検出 |
現行データに欠損や重複、不整合がある場合は、移行前に必要な修正候補も提示します。また、AIの解析結果には推定根拠や確認が必要な事項が示され、エンジニアや業務担当者の確認・判断を支援する設計です。
GoDD Migrationが行う移行検証
GoDD Migrationは、設計した移行方法をもとにSQLやETL、移行スクリプトを生成し、エンジニアによる確認を経てデータ移行を実行します。移行後は件数だけではなく、データ型や値の整合性、業務ルールとの整合性などを自動で照合するとしています。[1]
AIが移行後に確認する主な観点は、以下の通りです。
- 移行前後の件数と未移行データ
- データ型や値、関連性の整合
- 業務ルールとの整合性
問題が見つかった場合は、AIが原因となるデータや変換処理を分析し、修正までを支援します。生成した処理をエンジニアが確認してから実行する手順は、AI主導の移行でも人の判断を残す設計です。
移行後の保守を支えるモダナイゼーション
TISIは、「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」の新たなラインナップとして、「保守AIプラットフォーム構築サービス」を2026年9月25日に提供開始すると発表しました。Amazon Bedrock AgentCore(AWSの企業向けAIエージェント開発・運用サービス)を使い、移行で得た分析結果などをナレッジベースに登録する点が特徴です。[2]
Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービスは、COBOLやPL/Iなどのレガシーな言語をJavaへ書き換え、オープン環境へ移行するサービスです。TISIは、特定の担当者の経験や記憶に頼りやすい保守運用から、知識を組織で再利用できる保守運用への転換を支援するとしています。
保守AIプラットフォーム構築サービスの概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | Xenlonでの移行成果物を活用 |
| 使い方 | AIエージェントにチャットで質問 |
| 質問の対象 | 設計書・ソースコード・障害履歴 |
| 支援する業務 | 影響調査・障害原因調査の初動 |
| 効果の説明 | 保守業務効率の最大30%向上 |
| 安全面 | 企業利用前提の認証・監視機能 |
TISIは、最大30%という数値を、実案件資産を使ったR&Dで計測した作業時間から算出したと説明しました。導入を検討する企業は、計測範囲と自社の保守作業を照らし合わせて効果を見積もる必要があります。
モダナイゼーションのAI導入を判断する観点
AIを使ったモダナイゼーションを導入するかを判断するときは、AIの出力の精度と、人が確認する範囲を先に押さえておくと比べやすくなります。判断の観点は、以下の2つです。
- PoCで確かめるAIの検出精度
- 導入前に確かめる人の確認範囲
いずれも、サービスの機能説明からは分かりにくい点を、自社の資産で確かめるための観点です。
PoCで確かめるAIの検出精度
別の話題では、TISIがJR西日本のAPI共通基盤で使われる定義ファイルを対象に、生成AIでAPI定義の作成・レビュー・修正を自動化するツールのPoC(実証)を行いました。JR西日本では、API定義に習熟した担当者に作業が集中し、APIの公開までに約1ヶ月を要するケースもあったとしています。[3]
PoCの実施時期と主な結果は、以下の通りです。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 実施時期 | 2025年10月〜12月 |
| レビュー機能 | ベテランの指摘8ヶ所中7ヶ所と一致 |
| 検出率 | 87.5% |
| 修正機能 | 修正課題9ヶ所中9ヶ所に対応 |
| 修正作業の時間 | 1〜2時間から約30分に短縮 |
| レビュー作業の時間 | 3時間以上から数分〜数十分 |
JR西日本は、独自の仕様やルールに対応する調整を経て、現在はAPI共通基盤の運用でツールを本番運用しています。API基盤担当者は、AIの結果を、担当者が最終確認する前段階のレビュー結果や修正案として使える水準と評価しました。
ベテランエンジニアの指摘と照らし合わせて検出率を測る方法は、レガシーシステム向けのAIサービスを試す場面でも、出力を評価する手がかりとして使えます。
導入前に確かめる人の確認範囲
AIの導入前には、AIが受け持つ工程と人が確認する工程の境目を、サービスごとに確かめておく必要があります。ここまでの内容を踏まえた確認点は、以下の通りです。[1][2][3][4]
| 確認点 | 見る内容 | 例 |
|---|---|---|
| 対象工程 | 課題がある工程の特定 | VBA改修とデータ移行 |
| 提供状況 | 提供中か予定か | CodeSenseは提供予定 |
| 人の確認 | AIの出力を承認する人 | 移行処理をエンジニアが確認 |
| 精度の測り方 | 熟練者の指摘との照合 | 検出率87.5%のPoC |
| 効果の根拠 | 数値の計測範囲 | R&Dで計測した最大30% |
| 情報の扱い | コードや資産の保護 | AWSのマネージドサービス |
表の確認点のうち、人の確認と効果の根拠は、サービスの説明からは判断しきれない場合があります。自社のコードやデータで小さく試し、AIの出力を担当者が承認する流れまで含めて評価すると、モダナイゼーションの計画に組み込みやすくなります。
References
- ^ PR TIMES. 「AI駆動開発フレームワーク「GoDD」に、データ移行をAI主導で支援する「GoDD Migration」を追加。 移行設計・実行・検証までを一貫して効率化」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000120233.html, (参照 26-10-02).
- ^ PR TIMES. 「TISI、「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」にてAIで保守業務の効率化と属人化解消を支援する新サービスを提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001976.000011650.html, (参照 26-10-02).
- ^ PR TIMES. 「TISI、生成AIでJR西日本のAPI開発プロセス高度化を支援し、鉄道・MaaS領域の業務効率化に寄与」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001978.000011650.html, (参照 26-10-02).
- ^ PR TIMES. 「スパゲッティコードをモダン化する国産AIエージェント「CodeSense」」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000411.000073671.html, (参照 26-10-02).





