企業の掲出壁に貼った大判ビジュアルの右下へ、来歴を示す錠前形のタグを取り付ける担当者2人を描いたイラスト。

企業や放送局がAI生成の見分け方と真贋判定の技術を進める、広報・マーケ担当者は対処を選べる

公開:
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自社のSNSアカウントに届いたコメントや投稿された画像を見て、AI生成かどうかを判断できずに手が止まった経験はないでしょうか。人の目による見分け方には限界があり、コンテンツの来歴情報を確認する技術や真贋判定の技術をどこまで業務へ組み込むかが、日々の運用の分かれ目です。

この記事では、AI生成コンテンツの見分け方や真贋判定の現在地に加え、来歴情報の付与やSNS投稿への対応運用、自社での使い分けまで詳しく解説します。自社の発信や問い合わせ対応でAI生成コンテンツへの判断を求められる広報・マーケ担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

  1. この記事の材料:発表4件
  2. 発表主体:Panezy株式会社、TOPPAN株式会社 ほか1件
  3. 出典の最終掲載:2026.09.25
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:Panezy株式会社の発表資料より(PR TIMES)

[1] ファンやクリエイターがSNSに投稿した生成AIコンテンツや二次創作の発見から対応までを一貫して担うサービス「Panezy」、実証パートナーの募集を開始

Panezy株式会社 / 掲載 2026.09.16
発表を見る

画像:TOPPAN株式会社の発表資料より(PR TIMES)

[2] TOPPAN、コンテンツの来歴情報を付与、確認する技術がC2PAの適合製品(Conforming Product)に認定

TOPPAN株式会社 / 掲載 2026.09.16
発表を見る

画像:発表資料より(PR TIMES)

[3] SNS上のAIボット、6割が見破られず 「好意的で親しみやすい」ボットほど気づかれにくい

掲載 2026.09.24
発表を見る

画像:株式会社ロジック・アンド・デザインの発表資料より(PR TIMES)

[4] 生成AIによるフェイク画像・映像対策に向けた中核技術、特許出願を 完了 日本テレビとの共同プロジェクト、真贋判定技術の技術調査が本格化

株式会社ロジック・アンド・デザイン / 掲載 2026.09.25
発表を見る

目次
  1. SNSのAI生成コメントを見抜けない実態
  2. 好意的なAI生成ボットの検出率
  3. 絵文字や利用SNSで変わる検出率
  4. AI生成に備えるTOPPANの来歴付与
  5. C2PA適合と認められた技術
  6. 来歴情報で確認できない範囲
  7. AI生成のフェイク画像を見抜く真贋判定
  8. 日本テレビと進める真贋判定の開発
  9. 特許出願と実用化までの段階
  10. SNS上のAI生成投稿に対応する運用
  11. Panezyが担う投稿の発見と分類
  12. 権利者が決める対応の範囲
  13. AI生成の真贋を確かめる手段の選び方

SNSのAI生成コメントを見抜けない実態

SNS上のAI生成コメントを人の目で見抜けるかどうかは、Surfsharkが実施したシミュレーション調査で数値として示されました。見抜きやすさは、ボットの振る舞いや参加者がふだん使うSNSによって変わっています。

  • 好意的なAI生成ボットの検出率
  • 絵文字や利用SNSで変わる検出率

AI生成コンテンツは、自動検出ツールにとっても見分けることが難しくなっているとSurfsharkは説明しています。さらに同社は、精巧に作られたコンテンツを人間が見分けることも、ますます困難になっているとしています。

好意的なAI生成ボットの検出率

Surfsharkが世界1,722人を対象に実施した調査では、AIが生成したSNS上のコメントをボットによるものだと見抜けた割合は40%でした。特に見破られにくかったのは、好意的で親しみやすく、論理的に見えるボットです。[3]

ボットの振る舞い別の検出率は、以下の通りです。

ボットの振る舞い 検出率
ネガティブな内容の投稿 50.2%
好意的で親しみやすい投稿 38%
両者の開き 12ポイント以上

Surfsharkの研究担当者は、対立的で不快感を与えるAIボットよりも、好意的で親しみやすいAIボットのほうが危険性が高いと指摘しました。親しみやすく論理的に振る舞う相手には、利用者が敵や脅威だと感じにくいためです。

Surfsharkのリサーチ&インサイト責任者であるルイス・コスタ氏は、短時間にありきたりな応援や賛同のコメントが大量に寄せられた場合、ボットでも作り出せると説明しています。自社の投稿へ好意的な反応が集まった時点では、書き手が実在するとは限りません。

絵文字や利用SNSで変わる検出率

同じ調査では、ボットが使う文面の特徴や参加者がふだん利用するSNSによっても、見抜きやすさが分かれました。絵文字の多用は、ボットを見抜く大きな手がかりの一つとして働いています。[3]

文面と利用SNS別の検出率は、以下の通りです。

条件 検出率
絵文字を多用する文面 60%以上
シンプルな文面 35%
Xの利用者 49%
TikTokの利用者 38%
Facebookの利用者 39%

Surfsharkは、絵文字の使い方を唯一の手がかりにする判断には危険があるとも指摘しています。詐欺を目的とする人物やボットが絵文字の多用を避ければ、見破られにくさが高まるためです。

同社は、TikTokやFacebookではAIボットによる情報操作の影響を利用者が受けやすい可能性を示したとしています。発信先のSNSによって、読み手がAI生成の投稿を見抜く度合いも変わると見ておけます。

AI生成に備えるTOPPANの来歴付与

コンテンツの作成日や加工の履歴といった、出所と編集の経過を示す情報が来歴情報です。TOPPANは、来歴情報をデジタルコンテンツへ付与して確認する自社の技術が、C2PAの適合製品として認定されたと発表しました。

  • C2PA適合と認められた技術
  • 来歴情報で確認できない範囲

自社が発信する画像や動画へ来歴情報を付けると、受け取る側も流通途中の改ざんの有無を確かめられます。ただし、来歴情報が示せる範囲には限りがあります。

C2PA適合と認められた技術

TOPPANは、画像や動画、音声のデジタルコンテンツへ来歴情報を付与して確認する技術「AVATECT Contents Protection」を開発しました。C2PAは、デジタルコンテンツの出所や変更履歴を証明する標準規格を策定している標準化団体です。[2]

認定を受けた技術の主な特徴は、以下の通りです。

項目 内容
対応するデータ形式 画像や動画、音声
認定の機能分類 Generator Product
暗号鍵の扱い 安全な環境で管理
検証の機能 署名の保持を確認

JPEGやPNGの画像、MP4の動画、MP3やWAVの音声へ来歴情報を付けられるため、広告や販促に使う素材へも適用できます。受け取る側も、C2PA対応の検証ツールで暗号署名が正しく保持されているかを確認できます。

来歴情報で確認できない範囲

TOPPANは、本技術で確認できるのが流通途中で変更や改ざんが行われていない点であり、コンテンツが示す内容自体の真偽や権利関係を保証するものではないと明記しました。[2]

インターネット上の流通過程で来歴情報が改ざんされたり消失したりする場合があり、発信側が付与するだけでは流通先での維持と確認が確実とは限りません。同社は、受け取る側の真正性確認技術の普及に向けて本技術を開発したとしています。

来歴情報で分かることと分からないことは、以下の通りです。

区分 内容
分かること 流通途中の改ざんの有無
分かること 署名とデータの整合性
分からないこと 内容そのものの真偽
分からないこと 権利関係の有無

来歴情報で確かめられるのは、コンテンツが流通途中で変更や改ざんをされていない点までです。TOPPANは今後、本技術を活かした技術実証やC2PAに準拠したサービスの検討を進めるとしています。

AI生成のフェイク画像を見抜く真贋判定

受け取った画像や映像が生成AIで作られたものかどうかを判定する技術が、真贋判定です。ロジック・アンド・デザインと日本テレビは、真贋判定技術の開発プロジェクトを共同で進めています。

  • 日本テレビと進める真贋判定の開発
  • 特許出願と実用化までの段階

放送局や新聞社などの報道機関では、生成AIで作られたフェイク動画や画像の投稿が増え、誤報のリスクが高まっています。

日本テレビと進める真贋判定の開発

ロジック・アンド・デザインと日本テレビは、2026年7月9日に真贋判定技術の開発プロジェクトを共同で発足しました。日本テレビが持つ報道でのファクトチェックの知見と、ロジック・アンド・デザインが保有する特許技術を融合する取り組みです。[4]

両社は、人間の目では識別できない高度なAI生成コンテンツを識別するシステムの開発をめざしています。放送局や新聞社は、事件や事故、災害時にSNSへ投稿された動画や画像をニュース素材として使うことがあります。

プロジェクトが掲げる課題と手段は、以下の通りです。

項目 内容
課題 生成AIによる誤報のリスク
手段 報道でのファクトチェックの知見
手段 ロジック社が保有する特許技術
目標 放送可否の迅速な判断

ロジック・アンド・デザインと日本テレビは、報道現場で素材の真正性を担保し、放送や配信の可否を迅速かつ的確に判断することを課題に挙げています。

特許出願と実用化までの段階

ロジック・アンド・デザインは、プロジェクトの技術的な核となる考え方について、2026年8月7日に特許を出願しました。出願番号は特願2026-185785で、発明の名称はフェイク画像判定方法です。[4]

同社は、特定の生成AI技術の進化に左右されにくい判定アプローチをめざすとしています。発表時点では、両社が実装に向けた技術調査を進めている段階です。

発表時点での進み具合は、以下の通りです。

項目 状況
特許 出願済みで審査中
実装 実装に向けた技術調査
実用化 2027年内をめざす

同社は、本テーマが既存技術の延長線上にはない挑戦であり、実装の可否や実用化の形は現時点で確定していないと説明しました。

SNS上のAI生成投稿に対応する運用

既存の作品をもとにした二次創作や生成AIコンテンツのSNS投稿は、ガイドラインを整えるだけでは扱いきれません。Panezy株式会社は、投稿の発見から対応までを一貫して担うサービスについて、実証パートナーの募集を始めました。

  • Panezyが担う投稿の発見と分類
  • 権利者が決める対応の範囲

SNS上の投稿対応では、証拠の保存や投稿者への連絡、対応履歴の管理を継続して行う必要があるとPanezyは説明しています。

Panezyが担う投稿の発見と分類

Panezyは、ファンやクリエイターがSNSに投稿した生成AIコンテンツや二次創作を発見し、ガイドラインや利用条件と照らし合わせて対応まで担うサービスです。同社は、マンガやゲーム、キャラクター、VTuberなどのIPを保有または管理する企業や団体を対象に挙げています。[1]

Panezyが担う主な業務は、以下の通りです。

業務 内容
基準の整理 ガイドラインを手順へ整理
候補投稿の収集 合意したSNSで候補を収集
分類 対応区分へ整理
対応の実行 連絡や表示修正、削除の依頼
記録 証拠と対応履歴を保存

Panezyは、候補投稿の整理や分類、連絡文案の作成などにAIを活用すると説明しています。同社は、すべての投稿の網羅やリアルタイムでの発見を保証するものではないとも明記しました。

権利者が決める対応の範囲

Panezyは、対応方針と委任する範囲をIPの保有・管理企業や団体が決めると説明しています。合意した基準の範囲内は同社が対応し、基準で扱えない例外案件は権利者側へ確認する仕組みです。[1]

同社は、AIが違法性や権利侵害を自動で確定したり、法的な最終判断を行ったりするものではないとしています。個別案件の法的評価や法律意見の提供、紛争対応もサービスには含まれません。

任せられる範囲と任せられない範囲は、以下の通りです。

区分 内容
委任できる 合意範囲の連絡と依頼
委任できる 証拠と対応履歴の管理
権利者が判断 基準で扱えない例外案件
サービス対象外 法的評価と紛争対応

Panezyは、人による運用と権利者による最終判断を前提としたサービスだと説明しています。

AI生成の真贋を確かめる手段の選び方

AI生成コンテンツへの対処は、自社が置かれた立場によって使える手段が変わります。発信する側と受け取る側、SNS運用の立場ごとに整理した内容は、以下の通りです。[1][2][4]

立場 使える手段 発表時点の状況
自社で発信する 来歴情報の付与 C2PAの適合製品あり
外部の素材を使う 画像や映像の真贋判定 実装に向けた技術調査
SNS投稿を扱う 発見から対応までの運用 実証パートナーを募集中

発信側で使う来歴情報の付与には、適合製品として認定を受けた技術が存在します。受け取った素材を判定する技術は、発表時点では開発の途中にあります。

人の目で見抜けるとは限らないという前提が、SNS運用の出発点です。日々のコメント対応で確かめておく点は、以下の通りです。[3]

  • アカウントの作成時期を確認
  • 同じ内容の繰り返し投稿に注意
  • 賛同コメントの急増を疑う

AI生成の真贋を確かめる手段は、発信や受信、SNS運用のどこに課題があるかで選び分けます。

References

  1. ^ PR TIMES. 「ファンやクリエイターがSNSに投稿した生成AIコンテンツや二次創作の発見から対応までを一貫して担うサービス「Panezy」、実証パートナーの募集を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000190994.html, (参照 26-09-30).
  2. ^ PR TIMES. 「TOPPAN、コンテンツの来歴情報を付与、確認する技術がC2PAの適合製品(Conforming Product)に認定」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001973.000033034.html, (参照 26-09-30).
  3. ^ PR TIMES. 「SNS上のAIボット、6割が見破られず 「好意的で親しみやすい」ボットほど気づかれにくい」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000176142.html, (参照 26-09-30).
  4. ^ PR TIMES. 「生成AIによるフェイク画像・映像対策に向けた中核技術、特許出願を 完了 日本テレビとの共同プロジェクト、真贋判定技術の技術調査が本格化」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000066414.html, (参照 26-09-30).
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