Kong株式会社は、AGC株式会社においてAPIマネジメントおよびAI Gateway関連サービスが採用されたことを発表しました。
Kong導入前にAGCのマルチLLM活用拡大を阻んでいた4つの課題
AGCの社内ではAI活用への関心が高まる中で、より高度で安全な利用環境を整備するうえで複数の課題が認識されていました。対話型AIサービスにおいてAzure OpenAIを中心とした活用が進む一方、GeminiやAnthropicなど他のLLMも業務特性に応じて柔軟に使い分けたいという現場からの要望が高まっていました。
事業部やプロジェクトごとの個別契約では、契約・請求処理が煩雑化するだけではなく、導入のたびにセキュリティチェックや申請が必要となるため、全社的なAI活用推進のスピード感を損なう懸念があったとされています。
各部門が個別にAPIを利用する環境では、「誰が・何に・どれだけ使ったか」を正確に把握することが難しく、組織全体でのコスト管理やガバナンス統制も困難な状況でした。また「使いすぎによる高額請求」への不安が、現場ユーザーにとって積極的なAI活用や試行錯誤を躊躇させる心理的ハードルにもなっていました。
Kong AI Gateway採用の5つのポイント
AGCへのヒアリングをもとに、Kong採用の主な理由として挙げられた点は次の5点です。
- Azure OpenAI・Gemini・AnthropicなどのLLMを一元管理するAI Gateway機能
- セキュリティ審査済み共通基盤による契約・申請プロセスの集約
- Consumer単位での利用状況・コストの精緻な可視化と社内チャージバック対応
- AI Rate Limiting Advancedによる予算超過の自動制御とユーザーの心理的不安の解消
- MCP(Model Context Protocol)Gatewayとしての活用を視野に入れた拡張性の高さ
開発者は、単一の窓口を通じて最小限の変更コストで最適なAIモデルを選択・切り替えできる環境が整います。
なお本導入にあたっては、調達および契約手続きの柔軟性が評価されました。AWS公式パートナーであるKongのソリューションは、AWS Marketplace(Amazon Web Services上で数千のサードパーティソフトウェアやサービスを検索・購入やデプロイ、管理できるデジタルカタログ)を通じた採用が実現しました。
Kong導入に関する両社コメントと今後の展望
AGC株式会社 デジタル・イノベーション統括部ビジネスイノベーション部DX統括グループリーダー 等々力 宏氏は「生成AIを全社的な競争力を高める基盤技術として位置付けており、Kongの採用により複数のLLMを安全かつ柔軟に活用できる共通基盤の整備を進めることができる」と述べています。
Kong株式会社 代表取締役社長 有泉 大樹氏は「APIマネジメントで培ってきたガバナンスと可視化の強みをAI領域へと拡張し、企業が安心してマルチLLMやAIエージェントを活用できる基盤を提供している」と語っています。
本プロジェクトでは、まず開発者層から利用を開始し、段階的に展開する方針です。将来的にはバックオフィスを含む幅広い社員によるAIアプリ・AIエージェント活用も視野に入れています。利用状況やコストを可視化しながらガバナンスを効かせつつ、AI活用を加速していく方針です。
KongのAPIマネジメントおよびAI Gateway関連サービスの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | Kong株式会社 |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| 代表取締役社長 | 有泉 大樹氏 |
| 採用企業 | AGC株式会社 |
| サービスカテゴリ | API管理・AIガバナンス |
| 主な機能 | マルチLLM一元管理(AI Gateway) Consumer単位での利用状況・コスト可視化 AI Rate Limiting Advancedによる予算超過制御 MCP(Model Context Protocol)Gateway対応 |
| 対応LLM | Azure OpenAI・Gemini・Anthropic 他 |
| 調達経路 | AWS Marketplace経由 |
| 公式サイト | https://jp.konghq.com |
trends編集部の一言
「誰が・何に・どれだけ使ったか」が把握できないまま複数のAIツールが乱立する状況は、マーケティングの現場でもすでに広がっています。マーケティング業界の文脈に置き換えると、部門ごとに異なるサービスを個別契約しコストの全体像が見えないまま運用が続く事例は散見されており、この構造的な課題に対してAPI管理レイヤーで対応するアプローチは業界全体としても注目が集まっています。
「どのLLMをどの用途に使うか」を組織として標準化し、コストとガバナンスを一元管理する仕組みは、Fortune 500企業からスタートアップまで幅広く採用されています。Kong KonnectがAGC株式会社のような大規模グローバル企業の全社基盤として選ばれたことで、業界横断での標準的なアプローチとして定着していく可能性があります。
AI Rate Limiting Advancedによる予算超過の自動制御という機能は、現場ユーザーが「使いすぎへの不安」なく積極的に試行錯誤できる環境づくりとして、組織のAI活用成熟度を一段引き上げる設計です。ガードレールを整備することで現場の探索的な活用が広がるという構造は、AI導入設計における論点の一つとして業界全体で注目される取り組みです。
References
- ^ PR TIMES. 「Kong、AGCにおけるマルチLLM活用のガバナンス強化とコスト最適化を支援 | Kong株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000129151.html, (参照 26-05-22).
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