株式会社 Elithは、企業内の生成 AI 利用を可視化や制御、記録するシャドー AI 対策 SaaS「GENFLUX Security」をローンチしました。
GENFLUX Security 開発の背景:生成 AI 活用の急拡大とシャドー AI リスク
生成 AI の業務活用が急速に広がる一方で、企業側の管理やルール整備が追いつかないケースが課題です。たとえば社内未承認の AI サービスを業務で利用したり、提案書作成時に顧客情報を外部 AI に入力したりする行為は、情報漏えいやコンプライアンス違反、監査対応の困難化につながる可能性があります。
図面や契約書、設計データなどの機密資料を AI にアップロードしたり、API キーやパスワード、社内情報をプロンプトへ入力したりする利用は情報漏えいなどにつながる可能性があります。利用実態を情シス・CISO が後から確認できない状態に陥る可能性も、企業にとって監査対応などを困難にするリスクです。
生成 AI は業務効率化や競争力向上に不可欠な技術になりつつあります。単に「使うな」と制限するだけでは、現場の生産性を損なうだけではなく、管理外での利用を助長する可能性もあるでしょう。企業に求められているのは、安全に活用できる公式ルートを整備し、利用実態を把握しながら、統制することです。
GENFLUX Security の主な機能
主な機能は、AI 利用の可視化、リスクある操作の制御、DLP、利用ログと監査対応の4点です。
- AI 利用の可視化: 部署別・ユーザー別の利用状況をダッシュボードで確認
- リスクある操作の制御: 禁止 AI サービスへのアクセスブロックと機密入力の警告
- DLP(Data Loss Prevention)による機密情報保護: 送信前プロンプトを検査し漏えいを防止
- 利用ログと監査対応: ブロックや警告、マスキングの制御履歴を証跡として保存
管理者は、誰が・いつ・どの AI サービスを利用したかをダッシュボードで把握できます。禁止 AI へのアクセスや機密情報を含むプロンプト送信などのリスクある操作に対しては、企業ごとのポリシーに基づく警告やブロック、マスキングを実施できる仕組みです。
利用者に対してはブロックされた理由を表示できるため、現場の納得感を保ちながら安全な AI 活用を促進できます。一般社員は許可された AI を普段通り利用でき、危険な操作のときだけ警告・ブロックが作動する設計です。
GENFLUX Security の DLP 機能が対象とする機密情報と業界別の活用シーン
DLP(Data Loss Prevention)機能は、AI に送信される前のプロンプトを検査します。検知対象には、氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報、マイナンバー・運転免許証番号・保険証番号といった日本固有情報が含まれます。クレジットカード番号・API キー・パスワードなどの決済・認証情報のほか、M&A 情報・顧客リスト・未発表製品・社内用語といった企業機密も検知対象です。
GENFLUX Security は、業界固有の機密情報や業務フローに合わせて AI 利用ルールを設計できます。主な活用シーンは以下の通りです。
- 金融機関: 審査資料・顧客情報・口座情報
- 製造・建設: 図面・設計データ・未発表製品
- SaaS・IT: ソースコード・API キー・システム構成
- 人材・自治体: 個人情報・マイナンバー・免許証情報
- 製薬・医療: 治験データ・患者情報・処方情報
機密情報が含まれる可能性がある場合、送信前に警告やブロックを行い、安全なプロンプトへの修正を促します。インフラでは、設備図面や請求書、設計仕様などを扱う業務での活用も想定しています。
こうした業種を問わない機密情報リスクへの対応は、IT 業界に限らず、幅広い業種で共通の課題です。
GENFLUX Security の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | GENFLUX Security |
| カテゴリ | シャドー AI 対策 SaaS |
| 提供元 | 株式会社 Elith |
| 代表取締役 CEO | 井上 顧基氏 |
| 本社 | 東京都文京区 |
| 提供形態(現在) | Web拡張版(ブラウザ拡張型) |
| 提供予定 | デスクトップ版・エージェント版 |
| 主な機能 | AI 利用の可視化・リスク制御・DLP・利用ログ管理 |
| サービス LP | https://lp.genflux.jp/ |
trends編集部の一言
社内で未承認の AI ツールが日常業務に入り込んでいる状況は、業種を問わず広がっています。マーケティング業界の文脈に置き換えると、ツールの利用実態が管理側から見えない「シャドー利用」の問題は、コンテンツ制作や顧客データ活用の場面でも構造的に発生しやすく、AI ガバナンスの整備が業界全体の課題として浮上してきた流れと重なります。「禁止する」のではなく「公式ルートを整備して統制する」という設計思想は、業界を問わず広まりつつあるアプローチとして注目されるのではないでしょうか。
ブロック時に理由を表示して「なぜ止まったか」を利用者に伝える仕組みは、現場の納得感を保ちながらルールを浸透させるうえで実務的な工夫です。AI ガバナンス領域では、ブラウザ拡張型から提供を始める動きは、導入ハードルを抑えるアプローチとして、業界全体で注目されそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「株式会社 Elith、シャドー AI 対策 SaaS「GENFLUX Security」をローンチ | 株式会社Elithのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000172.000121022.html, (参照 26-07-07).
