GRASグループ株式会社が運営する「星のまなびカフェ」は2026年4月14日、生成AIを業務で利用している会社員478名を対象にした匿名意識調査の結果を公開しました。
星のまなびカフェがシャドーAI実態調査の結果を公表
調査は「シャドーAI利用者251名」と「公認AIのみ利用者227名」を別枠で募集する形式で実施され、有効回答は合計478名となりました。回答者全体に用途を複数選択で尋ねた結果、トップは「アイデア出し」が57.1%、次いで「外部とのメールの文面作成」が46.4%、「日報や研修レポートなどの報告書作成」が35.5%となり、テキスト業務への定着が示された形です。
一方でシャドーAI利用者251名のうち23.1%が、「顧客リストや売上実績」「契約書などの重要書類」といった機密性の高い情報を個人アカウントへ入力していることも判明しました。決裁権や重要データを扱う管理職ほど、機密情報を入力する割合が高まる傾向も明らかになっており、現場の業務ニーズと社内ルールとのギャップが読み取れます。
役職別に見る機密情報入力の偏りと管理職の利用ニーズ
調査ではシャドーAIへの機密情報入力割合を役職別に分析しており、一般社員と中堅管理職の差が顕著に表れる結果となっています。さらに「会社から安全な公認AIを与えられている層」の利用実態と比較することで、ルール強化のみでは解決しない構造的な課題も示されており、注目すべきポイントは次の4点です。
- 一般社員クラスの入力割合は18.8%
- 課長・部長クラスは37.5%で約2倍
- 公認AI利用の管理職も40.5%が入力
- 機密データのAI処理が業務ニーズ化
調査では、「機密データをAIで処理し高度な業務効率化を図ること」が管理職にとって欠かせないニーズとなりつつあるとの仮説が示されました。安全に扱える「公認AI」という受け皿を与えずルールで禁止するだけでは、効率化を求める層が個人のシャドーAIへ流れ、結果として重要な情報が監視外へ移動するという構図が浮かび上がっています。
シャドーAIの本質的リスクとして指摘された契約違反の論点
調査の総括では、シャドーAIの本当のリスクは物理的な情報流出ではなく、「契約違反による信用失墜」にあると指摘されています。総務省が周知した「ChatGPT等の生成AIの業務利用に関する申合せ(令和5年5月8日)」では、無料版のChatGPTのようなサービスを「約款型外部サービス」と定義し、機密情報の取り扱いを原則認めない方針が示されました。
企業が把握・管理していない外部サーバーへ「顧客データ」や「契約書」を送信する行為そのものが、取引先とのNDA違反や個人情報保護法違反に直結するとの整理が示されています。無料AIには入力データを学習へ利用するリスクがあり、発覚した場合は企業ガバナンスが問われ、取引停止など事業継続に影響する事態へつながりかねないとの警鐘が鳴らされた形です。
調査結果の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 調査名称 | 生成AIの活用実態に関する匿名意識調査 |
| 調査主体 | 星のまなびカフェ |
| 運営会社 | GRASグループ株式会社 |
| 調査期間 | 2026年4月 |
| 調査対象 | 生成AIを業務で利用している会社員 |
| 有効回答数 | 478名 |
| 調査方法 | インターネット調査(無記名式) |
| 公表日 | 2026年4月14日 |
trends編集部の一言
今回の調査結果は、周囲でも感じていた違和感を数値で裏付けてくれる内容でした。日々の業務でアイデア出しやメール下書きを任せる場面が増えるなかで、「どこまでの情報なら入力していいのか」という線引きを個人の判断に委ねている現場は少なくないと感じています。役職が上がるほど扱う情報の機密性も上がるはずなのに、入力割合が一般社員の約2倍という数字は重く受け止めました。
効率化と安全性の両立をどう設計するかは、ツール選定だけでは終わらない課題です。社内でAI活用を推進する立場の方は、まず「禁止ルール」と「公認の受け皿」の両輪が揃っているかを点検する材料として、本調査の役職別データを社内説明に持ち込むと議論が前に進みやすいはずです。シャドーAI対策を「禁止」ではなく「設計」の問題として捉え直すきっかけになる内容だと感じました。
References
- ^ PR TIMES. 「シャドーAIに「機密情報」を入力する割合、“課長・部長クラス”において一般社員の約2倍にのぼる | GRASグループ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000022962.html, (参照 26-04-15).
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