運転支援の車載ソフトを開発現場が工程別に整理、量産搭載から規格対応まで見比べられる
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運転支援の機能を量産車へ載せる動きが続く中で、車載ソフトの開発は車両へ組み込む部品の選定から評価や規格への対応まで、担当する工程が分かれています。新しい製品や支援サービスがどの工程に効くのかを見極めないまま比べると、自社の計画のどこへ組み込むべきか迷うのではないでしょうか。
この記事では、運転支援の車載ソフト開発を軸に、高精度3次元地図や車室内センシング向けのイメージセンサ、レーダーの試験環境や規格に沿った証跡の整備まで詳しく解説します。運転支援の開発現場で次に手を入れる工程を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事の材料:発表5件
- 発表主体:株式会社東陽テクニカ、株式会社ベリサーブ ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.09.15
この記事がまとめた発表
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[1] 一般財団法人日本自動車研究所(JARI)に納入した東陽テクニカ製VILS統合システムに新たなレーダーターゲットシミュレーターを採用画像:株式会社東陽テクニカの発表資料より(PR TIMES)
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[2] SDV時代の車載ソフトウェア開発を支援、「ソフトウェア単体テスト成果物パッケージ」を開始画像:株式会社ベリサーブの発表資料より(PR TIMES)
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[3] シリコン・モーション、ISO/SAE 21434自動車サイバーセキュリティプロセス認証を取得画像:発表資料より(PR TIMES)
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[4] ダイナミックマッププラットフォームの高精度3次元地図データが日産「エルグランド」に採用 累計採用実績は6社39車種に拡大画像:ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の発表資料より(PR TIMES)
- [5] STマイクロエレクトロニクス、車室内センシングの普及加速に向けコスト性に優れた車載用イメージセンサを発表
量産車に組み込む車載部品の採用
量産車に組み込む車載部品は、自車の位置を割り出す地図データから車室内を撮影するカメラまで、扱う範囲が分かれています。ここで扱う車載部品は、以下の通りです。
- ハンズオフ走行を支える高精度3次元地図
- 車室内を監視する車載イメージセンサ
地図データは車両の外側の状況を扱い、イメージセンサは車室内の状況を扱う部品です。いずれも、どの車種やグレードまで広げられるかが採用の焦点です。
ハンズオフ走行を支える高精度3次元地図
ダイナミックマッププラットフォームは、同社の高精度3次元地図データが日産自動車の新型エルグランドに採用されたと発表しました。新型エルグランドは全面刷新されたフラッグシップミニバンで、一部グレードに高速道路での運転を支援するシステムが搭載されています。[4]
ハンズオフ走行は、ドライバーがハンドルから手を離した状態での走行です。同社が説明する採用の内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採用車種 | 日産の新型エルグランド |
| 搭載システム | ProPILOT 2.0 |
| 地図の役割 | 自車位置の高精度な推定 |
| 地図の精度 | センチメートル級 |
| 対応する道路 | 高速道路と自動車専用道路 |
| 累計の採用 | 自動車メーカー6社39車種 |
地図データを前提にする運転支援は、成立する道路の範囲が地図の整備状況に左右されます。自社の機能をどの道路で使わせるかによって、必要な地図の範囲と精度の条件が変わります。
車室内を監視する車載イメージセンサ
STマイクロエレクトロニクスは、車室内の赤外線センシング向けに1.1MPの車載用イメージセンサ「VD56GA」を発表しました。同社はSafeSense by STシリーズの新製品と位置づけ、ドライバーや搭乗者のモニタリング用途に向けています。[5]
STのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるAlexandre Balmefrezol氏は、車室内のセンシングが高級車向けの区分を超えて普及しつつあるとコメントしています。VD56GAの概要は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | VD56GA |
| 画素数 | 1.1MP |
| 画素構造 | 裏面照射型のST DeepNIR |
| 画像の鮮明度 | 前世代比で35%向上 |
| 量子効率 | 前世代比で約60%向上 |
| パッケージ | 3.7×3.2mmのCSP |
| 出力形式 | RAWとYUV |
| 提供状況 | 現在サンプル提供中 |
同社は、内蔵の画像処理機能によって後段の処理が不要となり、外付けの画像プロセッサを省けると説明しています。設置スペースが限られる車種では、パッケージの寸法と実装の手間が採用の分かれ目です。
車載レーダーを試験するVILS統合システム
車載レーダーの評価は、施設内で走行条件を再現できると、天候などの影響を受けずに繰り返せます。ここで扱うVILS統合システムの論点は、以下の通りです。
- DMTSに加わったレーダー試験装置
- 実車を施設内で走らせる試験の再現性
試験装置の構成で決まるのは、どのセンサーをどこまで模擬できるかです。再現性の条件は、評価の結果を開発の判断材料として使えるかどうかに関わります。
DMTSに加わったレーダー試験装置
東陽テクニカは、日本自動車研究所へ2023年12月に納入したVILS統合システム「DMTS」に、Rohde & Schwarz社製のレーダーターゲットシミュレーターを新たに組み込みました。VILSは、実車両とシミュレーション環境を連携させ、現実に近い条件で評価する技術です。[1]
同社は、より幅広い車両に対応できる基盤の構築を支援するため、DMTSの機能を拡張したとしています。新たに組み込まれた装置の構成は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 組み込み先 | JARIに納入したDMTS |
| 追加した装置 | レーダーターゲットシミュレーター |
| 構成 | AREG800AとQAT100 |
| 生成するもの | 疑似的なターゲット |
| 対応する条件 | 複数ターゲットと角度方向 |
| これまでの用途 | AD/ADAS評価のHILS試験 |
レーダーセンサーの評価では、模擬できるターゲットの数と角度が試験の範囲を決めます。自社が想定する走行シーンを再現できるかどうかを、装置の仕様と突き合わせておくと役立ちます。
実車を施設内で走らせる試験の再現性
DMTSは、ハブダイナモメーターやレーダーターゲットシミュレーター、カメラシミュレーターなどを組み合わせたシステムです。東陽テクニカは、実車にハブダイナモメーターを直接つなぎ、ソフトウェア上で再現した周辺環境や交通状況と連動させると説明しています。[1]
DMTSで組み合わせられる評価の用途は、以下の通りです。
- 自動運転とADASの機能評価
- 交通流シミュレーション
- V2X通信や無線通信の品質評価
東陽テクニカは、天候などの影響を受けずに試験の再現性を確保でき、開発サイクルの短縮に貢献しているとしています。評価の用途を広げるほど、施設内の設備をどこまで共用できるかが計画の分かれ目です。
ISO 26262に沿う車載ソフトの単体テスト
車載ソフトの単体テストでは、テストの実行だけではなく、規格に沿って説明できる記録を残すところまでが作業です。ここで扱う支援サービスの論点は、以下の通りです。
- 単体テストと証跡をまとめた成果物
- 委託先やAIが書いたコードの評価
成果物の範囲と重なるのは、監査やアセスメントで示せる資料の範囲です。コードの作成主体が分かれるほど、同じ基準で評価できるかどうかが問われます。
単体テストと証跡をまとめた成果物
ベリサーブは、車載ソフトの単体テストを設計から証跡の整備まで一括で支援する「ソフトウェア単体テスト成果物パッケージ」の提供を開始すると発表しました。証跡とは、要求や設計、テストケース、実行結果の関係を後から確認できる記録です。[2]
SWE.4は、ソフトウェアユニットが詳細設計や非機能要件に適合しているかを検証するプロセスです。パッケージで支援する範囲は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 踏まえる規格 | ISO 26262-6とSWE.4 |
| 支援の起点 | 適用規格と対象要求の確認 |
| テスト工程 | 方針の策定から設計と実行 |
| 評価 | カバレッジ指標の選定 |
| 整える証跡 | 要求から実行結果の対応付け |
| 主な成果物 | 設計書とカバレッジレポート |
| 追加の対応 | SWE.5の検証と評価支援 |
同社は、監査やアセスメントの際に確認と説明にかかる工数を減らせるとしています。単体テストツールは特定のベンダーに限定せず、顧客が利用中のツールに合わせられる点も示しました。
委託先やAIが書いたコードの評価
ベリサーブは、委託先が開発したコードやAIが生成したコードにも、既存のコードと同じテスト基準とカバレッジ目標を適用するとしています。[2]
同じ基準で評価する対象は、以下の通りです。
- 委託先が開発したコード
- AIが生成したコード
- 既存のコード
同社は、評価の結果と証跡を統一した基準で確認できる環境を整えるとしています。外部委託とコード生成が混在する現場では、適用する基準の妥当性をどう説明するかが課題として残ります。
車載ストレージのISO/SAE 21434認証
シリコン・モーションは、2026年9月10日にISO/SAE 21434:2021の自動車サイバーセキュリティプロセス認証をSGS-TÜV Saarから取得したと発表しました。同社は、ソリッドステート・ストレージ向けのNANDフラッシュ・コントローラを手がけています。[3]
ISO/SAE 21434は、車両の電気・電子システムのライフサイクル全体でサイバーセキュリティのリスクを特定し、評価し、管理するための枠組みです。今回の認証の内容は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得した認証 | ISO/SAE 21434:2021 |
| 認証機関 | SGS-TÜV Saar |
| 対象範囲 | 開発と管理のプロセス |
| 規格の目的 | ライフサイクル全体のリスク管理 |
| 関連する規制 | UN R155のCSMS要求 |
| 製品分野 | 車載用ストレージ |
同社は、認証が製品ライフサイクル全体でリスクを管理する能力を実証するものだと説明しています。部品を調達する側から見ると、供給元がプロセス認証を持つかどうかは、自社の適合説明を組み立てる際の確認点です。
車載ソフト開発の工程別に見る導入判断
車載ソフトの開発は、車両へ組み込む部品の選定から評価や規格への対応まで工程が分かれています。工程ごとの手段と確認したい点は、以下の通りです。[1][2][3][4][5]
| 工程 | 主な手段 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 自車位置の推定 | 高精度3次元地図 | 対応する道路の範囲 |
| 車室内の監視 | 車載イメージセンサ | 実装寸法と処理の分担 |
| レーダーの評価 | VILS統合システム | 模擬できるターゲット |
| 単体テスト | 成果物パッケージ | 踏まえる規格と証跡 |
| セキュリティ対応 | プロセス認証 | UN R155との関係 |
工程が違えば、判断に必要な情報も変わります。自社が今どの工程で止まっているかを決めてから、対応する手段の仕様と範囲を確かめると選びやすくなります。
出典
- ^ PR TIMES. 「一般財団法人日本自動車研究所(JARI)に納入した東陽テクニカ製VILS統合システムに新たなレーダーターゲットシミュレーターを採用」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000297.000075068.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「SDV時代の車載ソフトウェア開発を支援、「ソフトウェア単体テスト成果物パッケージ」を開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000048768.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「シリコン・モーション、ISO/SAE 21434自動車サイバーセキュリティプロセス認証を取得」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000135224.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「ダイナミックマッププラットフォームの高精度3次元地図データが日産「エルグランド」に採用 累計採用実績は6社39車種に拡大」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000063188.html, (参照 26-09-23).
- ^ PR TIMES. 「STマイクロエレクトロニクス、車室内センシングの普及加速に向けコスト性に優れた車載用イメージセンサを発表」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001565.000001337.html, (参照 26-09-23).





