ディスカバリーズ株式会社は、山梨県笛吹市教育委員会と連携し、市内の小中学校における教職員の校務での生成 AI (Microsoft 365 Copilot Chat)活用を支援する取り組みを実施しました。
ディスカバリーズ株式会社が捉える教育現場の生成AI活用の3つの課題
ディスカバリーズ株式会社は、教育現場における生成 AI 活用には主に3つの課題があると捉えています。第一に、学級通信や保護者連絡、会議記録といった校務が教職員の時間を圧迫し、本来注ぎたい「子どもと向き合う時間」を削っている点です。第二に、「使い方が分からない」「使ってよいのか判断できない」といった不安と、活用を後押しするガイドラインの整備が不十分な点が挙げられます。
第三の課題は、管理職の姿勢が現場の活用を左右するという構造です。多くの管理職は生成 AI を否定しているわけではなく、「何かあったときの責任」や「正しい知識を持つ機会の不足」から慎重にならざるを得ない実情があります。これらは特定の地域に限らず、全国の教育現場や民間企業にも共通する課題です。
ディスカバリーズ株式会社による笛吹市での5ステップの活用支援
支援は、4月から現場の状況把握を進め、5月19日から6月19日までの約1か月間を「集中利用期間」と位置づけて実施されました。まず、ICTリーダーを対象とした利用状況アンケート(回答38名)と、校長・教員へのヒアリングを通じて、実態の把握から着手したものです。調査の結果、プライベートで生成 AI を使った経験のある先生は9割(97.3%)にのぼり、校務でも「ほぼ毎日」「週に数回」使う積極利用層が過半数(65.4%)を占めていることが分かりました。
一方で、興味深い認識と実態のギャップも浮かび上がりました。ICTリーダーが「管理職の考えが気になる」と感じている一方で、実態として、管理職層こそが日常的に生成 AI を活用しており、校長の平均プロンプト提出数は月300回を超えている状態です。このギャップが、後続の管理職への働きかけ(ステップ④)の重要な裏づけとなりました。
支援の主なステップは、以下の通りです。
- 現状調査とヒアリングによる課題の可視化
- 計70名(現地14名・オンライン最大56名)が参加した体験型Copilot研修(5月26日)
- 5月28日から6月18日にかけての週次フォローアップ相談会(計4回)
- 管理職の「後押しする役割」への転換を促す管理職向け研修
- 集中利用期間中に1人1ユースケースを収集し横展開を図る取り組み
体験型研修では、授業1回分の指導計画の作成やFormsやExcel、Wordを連携した校務への応用など、翌日から実務で使えることを重視したハンズオン形式で進められました。管理職向け研修では、「AI に任せると自分で考えなくなる」「出力が正確じゃないから心配」といった代表的な誤解を一つひとつ解消し、管理職が現場の挑戦を「後押しする人」へと転換することを目指しました。
ディスカバリーズ株式会社による笛吹市での取り組みと今後の展望
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 支援企業 | ディスカバリーズ株式会社 |
| 連携先 | 山梨県笛吹市教育委員会 |
| 対象校 | 市内19校(小学校14校・中学校5校) |
| 対象者 | ICTリーダー計38名を中心とした教職員 |
| 集中利用期間 | 5月19日から6月19日(約1か月間) |
| 活用ツール | Microsoft 365 Copilot Chat |
| 研修参加者 | 計70名(現地14名・オンライン最大56名) |
| フォローアップ | 週次相談会 計4回(5月28日から6月18日) |
| 次のステップ | 8月上旬に全教職員を対象とした研修を予定 |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 代表取締役CEO | 島田 祐一朗氏 |
| マイクロソフト認定 | マイクロソフト認定ソリューションパートナー、マイクロソフト パートナー オブ ザ イヤー(令和4年度受賞) |
| 支援実績 | 上場企業100社以上 |
trends編集部の一言
月300回を超えるプロンプト提出数を記録していたのが現場のICTリーダーではなく管理職層だったという事実は、組織への AI 定着を考える上でひとつの示唆を含んでいます。「管理職の目が気になる」という現場の心理的ハードルと、実態として、先行して使いこなしていた管理職層の姿とのギャップは、業界全体としては珍しくない構造です。マーケティングの現場でも、新ツールの導入初期に「上が使っていないから」という空気が足かせになる場面は少なくありません。
今回の取り組みで注目されるのは、そのギャップを単なる課題として放置せず、管理職向け研修の設計に組み込んだ点です。「判断する人」から「後押しする人」への役割転換というフレームは、教育現場に限らず、DX推進を担う部門が組織内の温度差を乗り越えようとするとき、実務上の示唆を含んでいます。企業の AI 活用支援で培った知見を教育現場へ展開するこの取り組みは、今後の横展開も含めて業界全体の動向として注目される事例です。
References
- ^ PR TIMES. 「ディスカバリーズ、笛吹市教育委員会と連携し、市内小中学校の校務における生成 AI 活用支援を開始 | ディスカバリーズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000025504.html, (参照 26-06-26).
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