CROSS Business Producers株式会社は、経営者や熟練人材が培ってきた知識や経験、判断基準をAIで構造化し、次世代へ継承可能な知識資産として再構築するAI知識基盤「Expert Graph(エキスパートグラフ)」β版をローンチしました。
Expert Graphが解決を目指す「判断継承」の課題
日本では65歳以上人口が3,600万人を超え、総人口の約29%を占めています。中小企業経営者の平均引退年齢は70歳前後まで上昇しており、事業承継は多くの企業にとって重要な経営課題です。
しかし企業の競争力を支えているのは、マニュアルやデータだけではありません。「なぜその判断をしたのか」「どのような優先順位で意思決定しているのか」といった、人の経験に裏打ちされた暗黙知が企業価値の源泉となっています。
多くの企業では、こうした知識が個人に依存しており、退職や引退とともに失われるリスクを抱えているのが実情です。CROSS Business Producers株式会社(以下CBP)では、この課題を「判断継承」の課題と捉え、「Expert Graph」の開発に至りました。
Expert Graph(エキスパートグラフ)が実現する知識継承
「Expert Graph(エキスパートグラフ)」は、「人が何を知っているか」ではなく、「人がどのように考え、どのように判断しているか」をAIで構造化する知識継承基盤です。インタビューや対話、業務経験、意思決定プロセスなどを分析し、「判断基準」「経験則」「問題解決パターン」「専門知識」「価値観」を知識ネットワークとして再構築します。
単なる情報保存にとどまらない、意思決定そのものの継承を目指す設計です。
想定される活用領域は以下の通りです。
- 事業承継:創業者・経営者の経営哲学や意思決定プロセスの継承
- 技術継承:熟練技術者のノウハウや現場判断の継承
- 研究開発知識継承:実験知見・失敗知見・技術判断の継承
- 営業継承:トップ営業担当者の商談ノウハウや顧客対応力の継承
- 専門職支援:士業やコンサルタントなど専門家の知識資産化
β版では、CBPが開発を進める特許出願済みの知識構造化技術を活用しています。
Expert GraphとCROSS Graphの連携および実証パートナー募集
「Expert Graph(エキスパートグラフ)」は、CBPのナレッジプラットフォーム「CROSS Graph」の一部として位置づけられています。「CROSS Graph」は、CBP独自の「未来予測メソドロジー」と、100%子会社である株式会社データリソース(DRI)が保有する世界約200社の調査データを組み合わせ、企業の中長期戦略策定をAIと共に実行するプラットフォームです。
現在、実証プロジェクトに参加できる企業を3社限定で募集しています。対象は、事業承継を予定する企業のほか、製造業、建設業、インフラ事業者、研究開発部門、企業研究所や技術研究所、専門商社、士業事務所、コンサルティング会社などです。
実施内容は「知識収集・ヒアリング」「AI解析」「Expert Graph構築」「知識継承モデル設計」「活用レポート提供」で構成され、有償での実施となります。
代表取締役の三木言葉氏は、「生成AIによって情報を扱うコストは大きく下がりました。しかし、人が長年の経験の中で培った判断力や洞察力は、簡単に継承できるものではありません」と述べています。AIで人を代替するのではなく、人の知恵を未来へ継承するためにAIを活用するという考えのもと、「Expert Graph(エキスパートグラフ)」の開発が進められました。
Expert Graph(エキスパートグラフ)概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | Expert Graph(エキスパートグラフ) |
| カテゴリ | AI知識基盤 |
| 提供形態 | β版 |
| 実証パートナー募集 | 3社限定(実証パートナー3社を別途募集) |
| 実証対象 | 事業承継・技術継承・研究開発知識継承に課題を抱える企業 |
| 活用技術 | 特許出願済みの知識構造化技術 |
| 連携プラットフォーム | CROSS Graph |
| 開発元 | CROSS Business Producers株式会社 |
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル4階 |
| 代表 | 三木言葉 |
| 設立 | 2011年10月3日 |
| 公式サイト | https://www.expertgraph.fun/ |
trends編集部の一言
65歳以上人口が総人口の約29%を占める現状において、「暗黙知の喪失」は業界を問わず起きている構造的な課題です。マーケティングの現場でも、特定の担当者が長年築いてきた顧客理解や判断軸が、異動や退職を機に組織から失われる場面は少なくありません。
「何を知っているか」ではなく「どのように判断しているか」を継承しようとする設計思想は、AIの活用の方向性として注目に値します。マーケティング業界の文脈に置き換えると、顧客対応や商談判断に蓄積された暗黙知を組織資産として構造化する動きは、業界横断で語られてきたテーマです。こうした知識基盤の整備は、属人化リスクを組織レベルで解消しようとする取り組みとして、業界全体の動向としても示唆を含む動きと読み取れます。
References
- ^ PR TIMES. 「年間数十万人が引退する時代へ。経営者と熟練者の「判断」を未来へ継承するAI基盤『Expert Graph』始動 | CROSS Business Producers株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000005874.html, (参照 26-06-17).
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