株式会社電通総研は、製造業向け製品開発支援ソリューション「iQUAVIS(アイクアビス)」に独自開発したAIエージェントを搭載し、技術情報を自動で構造化する新機能を拡充したバージョンアップ版の提供開始を発表しました。
iQUAVISの技術ばらしAIエージェントが解決する製造業の課題
電通総研は2006年より「iQUAVIS」を提供しており、自動車・重工や電機精密、医療機器をはじめとする国内大手製造業を中心に、国内外220社超の企業が導入しています。製品企画・構想段階から製品開発情報を一元的に可視化し、ものづくりの業務効率化および品質向上を支援するソリューションです。
近年、製品の高機能・高性能化により、ものづくりは高度化・複雑化しています。一方で、団塊の世代やバブル世代にあたる製造業従事者の多くが退職期を迎え、技術継承の断絶や現場の高齢化という課題が生じてきました。電通総研は、属人化している経験やノウハウ(暗黙知)を誰もが活用できる状態(形式知)に変換し、組織全体の共有財産として蓄積する「組織知化の推進」と「技術伝承のDX化」の実現を目指しています。
iQUAVIS新機能の3つの特長
今回発表された新機能の主な特長は次の3点です。
- 技術ばらしAIエージェントによる技術情報の自動構造化
- ものづくり技術を共有・再利用できる環境の構築
- 製品設計の変更・修正への柔軟でスピーディな対応
電通総研が独自に開発する「技術ばらしAIエージェント」は、長年にわたって製造業のものづくりに携わってきたコンサルタントの知見・ノウハウを組み込んだものです。製品に求められる要求や機能と、それを実現する部品の関係や働きなど、さまざまな技術情報を自動で構造化します。電通総研では、製品の成り立ち全体を整理・構造化・見える化することを独自の造語「技術ばらし」として定義しました。
技術基盤には、自社ソリューション「Know Narrator(ノウナレーター)」を活用します。マルチモーダルRAGによって、画像や図表をもとにした技術ばらしを実現するとともに、「マルチRAGエージェント」によってエージェントが役割ごとに作業を分担し、協働して複雑なタスクを処理する仕組みです。共有・再利用できる環境の構築により、暗黙知の形式知化と技術伝承の促進を図ります。
製品設計の変更・修正への対応においては、複雑な要求や機能、部品の相関や影響など、設計者の思考を見える化してトレーサビリティを確保しました。複数の専門分野にまたがるアプローチであるシステムズエンジニアリングに基づいた製品開発・設計プロセスでも、思考の見える化を通じた業務効率化に貢献します。
iQUAVIS(アイクアビス)新機能の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社電通総研 |
| 対象ソリューション | iQUAVIS(アイクアビス) |
| 提供開始予定 | 2027年1月 |
| 主な新機能 | 技術ばらしAIエージェントによる技術情報の自動構造化 マルチモーダルRAGによる画像・図表の活用 マルチRAGエージェントによる複雑タスクの協調処理 |
| 技術基盤 | Know Narrator(ノウナレーター) |
| 導入実績 | 国内外220社超 |
| 対象業界 | 自動車・重工や電機精密、医療機器をはじめとする国内大手製造業 |
| 提供開始年 | 2006年 |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 代表者 | 岩本 浩久氏 |
trends編集部の一言
国内外220社超という導入実績は、製造業向けソリューションとしては相当な規模です。マーケティングの現場でも「ノウハウの属人化」は繰り返し話題になるテーマであり、退職・異動のたびに知見が失われていく構造は製造業に限った話ではありません。業界全体として、暗黙知をどう組織の資産に変えるかという問いへの関心は、ここ数年で明らかに高まってきました。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、「施策設計の勘所」や「ターゲット理解の深度」のような言語化しにくい知見が担当者の頭の中にとどまりがちな状況は、製造業の暗黙知問題と構造的に重なります。AIエージェントが設計者の思考を見える化するアプローチは、知識管理の課題を抱える業界全体でも同様の手法への関心が高まりつつある動向と読み取れるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「電通総研、製造業向け製品開発支援ソリューション「iQUAVIS(アイクアビス)」に独自開発したAIエージェントを搭載し、技術情報を自動で構造化する新機能を2027年に提供開始へ | 株式会社電通総研のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000465.000043138.html, (参照 26-06-26).
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