鉄建建設株式会社は、ソフトバンク株式会社の協力のもと、「てっけんAI-Chat・技術伝承機能」を開発し、社内向けに公開しました。
てっけんAI-Chat・技術伝承機能がベテランの暗黙知を形式知化する仕組み
鉄建建設株式会社では、適切な工事設計変更の提案に関するノウハウや現場における安全・衛生の知識が一部のベテラン社員に偏在し、暗黙知として蓄積される傾向がありました。こうした知見を次世代へ継承し、事業の持続的な発展につなげるには、体系的な形式知として、整理・共有する仕組みの構築が不可欠です。
同社は、過去の協議資料の集約、ベテラン社員へのヒアリング、各種工事仕様書等の情報を社内専用環境「てっけんAI-Chat」に取り込みました。AIを活用して、これらの知見を形式化することによって、プロジェクト価値の最大化と組織全体の技術力向上を目指します。
てっけんAI-Chat・技術伝承機能の主な利用シーン
技術伝承機能が想定する主な利用場面は、次の2つです。
- 設計変更協議の効率化と若手人材への技術継承
- 安全・衛生管理における適切な意思決定の支援
設計変更の提案では、技術的な課題の整理、現場条件に応じた工法選定、他手法との比較による妥当性の説明など、多岐にわたる検討と資料作成が求められます。経験の浅い社員にとっては、単独での対応が難しい業務でした。
本機能を活用することによって、技術的な疑問への迅速な対応や過去の協議資料をもとにした提案書案の作成支援が可能です。若手社員の早期育成と労働時間の削減が期待されるでしょう。
安全・衛生管理の場面でも、ベテラン社員の経験に依存する判断が多く存在します。本機能は、安全・衛生に関する知識データを備えており、現場状況に応じた適切な対策の提案を支援するものです。安全性向上と業務効率化の両立が期待されます。
てっけんAI-Chat・技術伝承機能の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | 鉄建建設株式会社 |
| 協力 | ソフトバンク株式会社 |
| 機能名 | てっけんAI-Chat・技術伝承機能 |
| 公開対象 | 社内向け |
| 本社所在地 | 東京都千代田区 |
| 代表者 | 今井 政人氏 |
| 今後の展望 | 施工計画書作成支援機能の拡充、外部情報との組み合わせによる意思決定支援の高度化、多様な社内データを活用した総合的判断の実現 |
trends編集部の一言
建設業界に限らず、ベテラン社員のノウハウが属人化したまま退職や異動によって失われる問題は、多くの業界で共通の課題です。過去の協議資料やヒアリング内容をAIに取り込んで形式知化するアプローチは、こうした問題への実践的な対応として位置づけられます。建設DX領域では、まず社内ナレッジの体系化から着手し、段階的にAI活用を拡張していく進め方が見られるようになっており、今回の取り組みもその流れに沿った事例です。
「てっけんAI-Chat」がインターネット情報を取り込まないセキュリティ設計を採用している点も注目されます。AI導入事例全般を見ると、外部情報との連携よりも先に社内ナレッジの整備から着手する段階的なアプローチが現実的な選択肢として定着しつつあり、業界横断で同種の事例が増えてきました。外部情報との組み合わせによる高度化を今後の展望として明示している構成は、AI導入を進める企業における段階的な進め方の一例として捉えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「AIチャットを活用した「技術伝承機能」を開発 | 鉄建建設株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000141073.html, (参照 26-06-13).
