TIS株式会社は2026年6月、ワールドインテック株式会社に対して複合感情分析技術を活用した面接評価AIを導入したことを発表しました。
採用現場の属人化と業務負荷をTISの面接評価AIで解消
近年、深刻な人手不足や採用競争の激化を背景に、多くの企業で採用活動が長期化しています。限られた面接時間の中で候補者を的確に見極め、判断理由を関係者間で共有することが求められています。一方で、選考の早期化やオンライン面接の普及により、面接後の振り返りや申し送りの負担は増大してきました。
ワールドインテックは、研究・臨床、製造・物流、建築・プラント、ITなどの各種技術・技能分野における人材派遣や紹介、請負などの人材ソリューションを主たる業務としています。同社では、合格基準や判断根拠を個人差なく明確に示すことが課題となっていました。
経験に依存した属人的な判断が自社にマッチする優秀な人材の「取りこぼし」につながるとともに、面接後の振り返りや申し送りでも文字起こしや評価シート作成などの手作業が発生し、業務負荷が増大していました。TISは、こうした採用現場の課題に対応するため、複合感情分析技術を採用評価分野へ応用したのです。
SalesMAPsの特許技術をTISの面接評価AIへ応用
TISは、商談評価の分野で法人向けに導入・活用実績を持つ営業管理ツール「SalesMAPs」の技術を採用評価に応用しました。「SalesMAPs」は、TISの特許取得技術である複合感情分析技術(特許番号第7361961号)を用いて、「話している内容(テキスト)」と「声のトーンやスピード、抑揚(音声)」など複数の要素を組み合わせて分析する技術です。発話内容だけでは、把握しにくい応答傾向や状態変化を整理することによって、評価の平準化や見極め精度の向上に寄与します。
2026年1月から3月にかけてワールドインテックと共同でPoCを実施しました。熟練面接官へのヒアリングを通じて、判断基準や見極めのポイントを抽出し、評価フレームワークとして体系化したうえで、実際の面接データを分析して再現性を検証しました。
AIは、採否の最終判断を面接官が行う前提のもと、「第二の面接官」として評価を支援する位置づけです。検証を通じて、定量的かつ客観的な評価の実現可能性が確認されました。
PoCを通じて、確認された主な評価ポイントは以下の通りです。
- 熟練面接官の評価観点をAIがアルゴリズム化し定量・客観的に再現
- フィラーや発言割合など人手では見えにくい要素もデータ化
- 6つの評価観点ごとに定量スコアとコメントをレポートとして可視化
- 合否の境界線にある判断を客観的な基準で評価することが可能
- AI導入後の面接の振り返り時間15%削減が見込めることを確認
PoCでの良好な検証結果に基づき、ワールドインテックでの本番導入が決定しました。経験の浅い面接官でも候補者の特性に気づきやすくなり、従来であれば気づけなかった可能性のある「採るべき人材」の見極めを通じた採用率向上への寄与が期待されることも確認されています。
TISの面接評価AI概要とSalesMAPs基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | TIS株式会社 |
| サービス名 | 面接評価AI |
| 基盤技術 | SalesMAPs(複合感情分析技術) |
| 導入先 | ワールドインテック株式会社 |
| 導入時期 | 2026年6月 |
| 主な機能 | 面接内容の要約・評価観点ごとの整理・申し送りレポート作成 |
| 評価観点数 | 6つ |
| 振り返り時間削減見込み | 15%削減(PoC確認済み) |
| 特許技術 | 複合感情分析技術(特許番号第7361961号) |
| 基盤サービス | SalesMAPs(TIS AIブランド「IntegriA」ラインナップ) |
| TIS取引実績 | 3,000社以上のビジネスパートナー |
| TIS事業年数 | 50年以上 |
| TISインテックグループ規模 | 国内外グループ2万人を超える社員 |
trends編集部の一言
面接の振り返り時間15%削減という数値は、採用件数が多い組織ほど累積効果が大きく、業種を問わず注目に値する結果です。採用市場の動向としては、面接後の振り返りや申し送りにかかる業務コストの削減が喫緊の課題として広く認識されており、音声データと発話内容を組み合わせた複合分析によって評価を定量化するアプローチは、業界全体の採用DXを加速させる取り組みとして位置づけられます。
採用評価の属人化は、多くの組織が抱える構造的な課題です。「熟練面接官の判断基準をアルゴリズム化して再現する」というアプローチは、ノウハウを組織資産に変換する試みとして注目に値します。採用市場において、面接後の業務省力化から段階的にAIを導入するアプローチは、今後の採用DXの現実的なモデルケースとして浸透していくと考えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「TIS、ワールドインテックに独自の音声解析技術を活用した面接評価AIを導入 | TIS株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001936.000011650.html, (参照 26-06-13).
