株式会社Scalarは、常石造船株式会社の基幹システム刷新プロジェクトへの支援を発表しました。
常石造船の十数年来の課題をAI駆動開発で突破した背景
常石造船は、造船・海運業を中心に事業展開する常石グループの中核会社です。長年にわたって拡張を重ねた基幹システムがブラックボックス化しており、システムの刷新は急務でありながら、十数年間にわたり調査を含めて着手できていない状況が続いていました。
一方、生成AIやAIエージェントを用いたシステム自動刷新は近年注目を集めています。しかし、大規模なシステムを一塊のままAIに処理させると「コンテキスト汚染」が発生し、AIが誤ったコードを生成するという技術的限界がありました。
AI駆動開発を成功させるには、システムを適切なビジネスドメインごとに細分化したうえで、分割されたシステム間でのデータの整合性と安全なAPI連携を同時に実現する基盤が不可欠です。
ScalarとKong株式会社の協業ソリューションが実現した3ヶ月でのMVP開発
本プロジェクトでは、常石造船から派遣された2名のIT担当者が3ヶ月間Scalarに常駐しました。AIエージェント、ScalarDB、Kong Konnectを組み合わせたマイクロサービス移行・AI駆動開発を実践しています。
協業ソリューションの主な構成要素は次の4点です。
- AIエージェントによる超高速な現状分析(わずか2日間で完了)
- 「コンテキスト汚染」を防ぐマイクロサービスアーキテクチャへの移行
- ScalarDBによる分散トランザクション技術でのデータ整合性の担保
- Kong KonnectによるAPI管理基盤の即時構築
ScalarDBは、細分化されたサービス間でデータの矛盾が生じないよう、強力な分散トランザクション技術を適用する基盤です。複数のマイクロサービスを横断してデータを探索・活用するAIエージェントの安全なデータアクセス基盤としても機能しました。Kong Konnectは、分割されたサービス同士を安全かつ高速につなぐAPI管理基盤として採用されました。
代表取締役CEO深津航氏は、次のようにコメントしています。「AI駆動開発において、コード品質を保つための『マイクロサービス化』と、その裏側でデータの不整合を防ぐ『ScalarDB』の組み合わせは重要です。そしてAPIを統制する『Kong Konnect』も加えた三者の組み合わせが、これからのエンタープライズモダナイゼーションにおける『リファレンスケース』になると確信しています。」
ScalarとKong株式会社の今後の展望と標準モデルへの展開
現在は、実質3ヶ月という短期間でMVPの開発を完了しました。今後は常石造船のユーザー部門との調整を進めながら、段階的な本番リリースおよび運用を進める予定です。
ScalarとKong株式会社は、今回の常石造船における成功事例を「AI駆動型モダナイゼーション」の標準モデルとして位置づけています。国内外の製造業をはじめ、基幹システムの刷新やマイグレーションに取り組むエンタープライズ企業へ向けて、共同でのソリューション展開および販売連携を推進していく方針です。
株式会社Scalar・プロジェクト概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表企業 | 株式会社Scalar(東京都新宿区、代表取締役CEO:深津航氏) |
| 協業企業 | Kong株式会社(東京都港区、代表取締役社長:有泉 大樹氏) |
| 支援先 | 常石造船株式会社(広島県福山市、代表取締役社長執行役員:奥村幸生氏) |
| 協業フェーズ | 第1弾 |
| 採用基盤 | ScalarDB(分散データ管理基盤)/ Kong Konnect(API管理基盤) |
| 派遣体制 | 常石造船IT担当者2名、3ヶ月間Scalarに常駐 |
| 分析所要期間 | わずか2日間(十数年間未着手だったレガシーシステムの現状分析・リファクタリング) |
| 開発成果 | 実質3ヶ月でのMVP開発完了 |
| 今後の展開 | 段階的な本番リリースおよび運用、エンタープライズ企業への共同ソリューション展開 |
| 会社情報 | https://www.scalar-labs.com/ja |
trends編集部の一言
十数年間手がつかなかったレガシーシステムの現状分析をわずか2日間で完了したという事実は、AI駆動開発のインパクトをまざまざと示しています。業界全体としては、基幹システムの刷新をDXの最難関課題と捉える企業は多く、「いつかやらなければ」と先送りにされてきた案件が積み上がっている状況です。今回の事例は、そうした膠着状態を短期間で突破する現実的な突破口として、製造業におけるDX推進の新たな展開として注目されます。
マーケティングの現場でも、長年放置されたデータ基盤の刷新や顧客データの整合性問題は慢性的な課題です。「コンテキスト汚染」を防ぐためにシステムをビジネスドメインごとに細分化するという設計思想は、マーケティング業界のデータ統合や分析基盤の再整備においても、業界横断で語られてきたアーキテクチャ設計の議論と共通する設計思想として位置付けられます。
References
- ^ PR TIMES. 「株式会社Scalar - 常石造船のAI駆動開発による基幹システム刷新を支援、ScalarとKongの基盤でマイクロサービス化 | 株式会社Scalarのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000037795.html, (参照 26-06-11).
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