eBASE(イーベース)株式会社は、商品情報統合データベース「eBASEserver」に、AI自然言語検索機能を統合した新オプション「AI eBASE」の提供を開始すると発表しました。
AI eBASEが解決するeBASEserver導入企業の現場の検索課題
「eBASEserver」には食品や日雑、住宅、家電など業界を問わず、規格書・原材料情報・製品仕様といった膨大な商品データが蓄積されています。しかし従来の検索には、データベースの項目構造を理解し適切な条件を設定できる専門知識が必要でした。現場ユーザーが直面していた課題は主に3点です。
- 複数条件の組み合わせや項目名の把握に専門知識が必要で、部門間の情報格差が発生
- 問い合わせのたびに専門部門を介さなければならず、待ち時間が発生
- 検索結果が情報過多になり、知りたい情報にたどり着けない
「AI eBASE」はこれらの課題に対し、自然言語インターフェース、AIエージェントの自律検索、正規化データベース連携の3つのアプローチで解決します。既存の「eBASEserver」環境にオプションとして追加導入できるため、既存のデータベース資産やシステム構成をそのまま活用しながら、新たな価値を享受できます。
AI eBASEの小売からメーカーまで広がる活用シーン
小売向けでは、バイヤーや商品部のMD担当者が「国産原材料で糖質控えめのスナック菓子は?」と質問するだけで、AIが「eBASEserver」の商品データベースを検索して自然語で回答します。回答からそのまま商品一覧・詳細画面へ展開でき、「その中でアレルゲン不使用のものは?」と続けて絞り込むことも可能です。アレルゲン情報が未入力の商品の洗い出しといったマスタ管理業務にも対応しました。
消費者向けスマホアプリ「e食住なび for DX」上でも自然言語による商品検索が可能です。「卵・乳不使用のお菓子は?」「国産小麦のパンを探して」と入力するだけで、「食材ebisu」(約67万件)の正確な商品情報から該当商品を即座に絞り込み表示します。eBASEが管理するデータを参照するため、汎用AIにありがちなハルシネーション(実在しない商品の捏造)や実数値の捏造を排除し、正確な情報提示を目指します。
メーカー向けでは、開発・設計部門での技術情報の属人化解消が想定されます。「耐熱150度以上・防水IP67対応のセンサーの過去試験データは?」と入力すると、AIがeBASEに蓄積された設計資料・実験データを検索して回答します。営業・カスタマーサポートが「耐熱200度以上・防塵対応の製品はある?」と確認すれば、技術部門を介さずに当日中に顧客へ正確な情報を提供できました。生産管理・資材調達においても、BOM(部品構成表)からの代替品特定を支援し、属人的な対応をシステムによる標準化へ移行できます。
AI eBASEの技術構成と回答精度の決め手
「AI eBASE」は、AIエージェントによる自律的なデータ検索・MCP(Model Context Protocol)による標準連携・Microsoft Azure AI Foundryによる企業グレードのLLM基盤の3つを組み合わせて実現しています。MCPを通じて「eBASEserver」の「eB-API」と接続し、特定のLLMベンダーに依存しないアーキテクチャを採用することによって、AI技術の進化に合わせた柔軟なアップデートが可能です。
大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)が参照するのは、導入企業の「eBASEserver」で管理するクローズドなプライベート商品情報データベースです。ChatGPT、Gemini、Claudeといった汎用生成AIは、インターネット上の断片的な情報から回答を生成します。これに対し「AI eBASE」は、取引先から預かった非公開の規格書・原材料情報を含む自社管理データに直接アクセスします。
eBASEが20年以上蓄積してきた信頼性の高いデータが、高い回答精度を支える基盤となっています。開発においてはAnthropicのClaude Codeを取り入れており、eBASE(イーベース)株式会社全体で最先端のAI技術の活用が進められてきました。
今後は「日雑ebisu」「OTCebisu」「家電ebisu」「工具ebisu」「住宅ebisu」など、「商材ebisuシリーズ」が対象とする業界への展開を予定しています。マニュアル管理など商品データベース以外の領域へのAI検索展開も計画されており、活用範囲のさらなる拡大が見込まれます。
AI eBASEの概要と販売価格
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | eBASE(イーベース)株式会社 |
| 代表取締役社長 | 岩田 貴夫氏 |
| 対象サービス | eBASEserver(総ユーザー22万超、約1,000社強) |
| 新オプション名 | AI eBASE(AI自然言語検索機能) |
| 検索エンジン | eB-AISearch(eBASEserverとは別筐体のLinux上で稼働) |
| 価格体系 | ベース単価を125万円/コア(コア数連動型) |
| 小規模型(最小販売単位) | 4コア/500万円(税別)/同時接続10名程度まで/推奨メモリ8GB |
| 中規模型 | 8コア/1,000万円(税別)/同時接続30名程度まで/推奨メモリ16GB |
| 大規模 | 16コア/2,000万円(税別)/同時接続30名以上/推奨メモリ32GB |
| 年間ライセンス・サポート費 | パッケージソフトウェア費の20%(初年度も必要) |
| 月額AI利用料 | 別途発生(AI従量課金) |
trends編集部の一言
「食材ebisu」の約67万件というデータ規模は、単純な検索補助ではなくビジネス基盤としての厚みを示しています。マーケティング業界の文脈に置き換えると、「データはあるのに引き出せない」という状況は部門横断で共通する課題であり、アクセス層をAIが担うアーキテクチャは、データ活用基盤の整備という業界全体の議論と重なる動きです。
注目したのは、AIが回答品質の根拠をクローズドなプライベートデータに置いている点です。汎用AIのハルシネーションが課題とされる中、「何を参照するか」を設計レベルで限定するアプローチは、マーケティング業界におけるデータガバナンスの観点からも関心を集めそうです。
コア数連動型の価格体系も、段階的な導入拡張を想定した設計として読み取れます。最小4コア・500万円から始められる構成は、全社展開の前に部門単位で検証するアプローチとして、導入ハードルを意識した価格設定ではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「eBASEで管理するすべてのプライベートデータが、AIで“問いかけるだけ”の検索に対応! | eBASE株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000114281.html, (参照 26-05-27).
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