NTTアーバンソリューションズ株式会社、NTTドコモソリューションズ株式会社、NTTドコモビジネス株式会社の3社は、大規模AI連携技術「AIコンステレーション®」を活用したビル運営管理の高度化・効率化に関する実証を実施しました。
AIコンステレーション®がビル運営管理の複雑な業務課題に多角的に対応
ビル運営管理の現場では、業務対象の拡大による作業負荷の増大、人手不足、知見の属人化・暗黙知化など、多くの課題が積み重なっています。日々の業務で蓄積された専門知識や多様なデータを横断的に活用し、状況に応じた判断や最適化を行う必要があるため、複雑な業務構造に対応できる仕組みが求められていました。
「AIコンステレーション®」は、複数の専門性・役割を持つAIエージェントを組み合わせ、生成や評価、補完を行いながら検討プロセス全体を支援するAI活用アプローチです。単一の生成AIによる回答生成にとどまらず、複数AIによる多様な観点の案生成や論点整理、判断根拠の明確化など、意思決定に必要なプロセスを幅広く支援できる点が特徴となっています。なお、AIコンステレーション®はNTTコンピュータ&データサイエンス研究所で研究開発が進められているNTT株式会社の登録商標でした。
AIコンステレーション®活用イベント企画で業務時間を約50%削減・年間換算で約30人日の余力を創出
実証の1つ目のテーマは、アーバンネット名古屋ネクスタビルを舞台にしたイベント企画案の検討です。実施期間は2026年1月~2026年2月で、イベントは2026年2月27日 18:30~20:00に開催されました。3種の専門AIが議論し、その意見をまとめAIが集約してオフィスワーカー向けイベント企画案を生成する仕組みを構築しています。具体的にはイベント情報専門AI、ワーカーニーズ専門AI、ビル施設情報専門AIの3種が連携しました。
検証の結果、本システムの活用により企画立案や説明にかかる業務時間が、非活用時と比較して約50%削減されました。年間換算では約30人日の余力創出が見込まれています。品質面では、物件情報やビル運営管理における暗黙知、過去のイベント情報を専門AIに入力したことにより、蓄積された知見を踏まえた企画立案が可能となりました。属人化・暗黙知化していた判断プロセスの言語化・構造化が進んだものと想定されています。
業務担当者からは「新しい視点や内容が盛り込まれた企画案が得られた」「専門性の異なるAI同士が議論しながら結論を導くプロセスは、企画立案に要する時間を大きく短縮するもので、意義を感じた」といった声が挙がりました。
AIコンステレーション®活用サイネージ表示最適化で注視回数4%増・ランチ前の行動変容は30%以上増加
2つ目のテーマは、大手町プレイスウエストタワーのNTTドコモビジネス株式会社本社内コワーキングエリアにおけるサイネージコンテンツの表示最適化です。2026年2月9日~2026年3月19日の期間(平日8:00~20:00)に実施されました。天気分析専門AI、人流分析専門AI、カレンダー分析専門AIの3種が議論し、日時・天候などのオープンデータと人流等のデータを組み合わせて表示コンテンツを判断・最適化する実証システムを構築しています。
検証の結果、1人あたりの平均注視回数が非活用時と比較して4%増加しました。行動変容についても、サイネージ設置フロアから店舗のあるフロアへの移動割合が全時間帯で6%増加しています。特に行動変容に繋がりやすいと推測されるランチタイム前の時間帯(11時台、12時台)では30%以上の増加が確認され、AI活用による効果があったものと想定されます。
AIコンステレーション®によるビル運営管理実証概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 実施主体 | NTTアーバンソリューションズ株式会社、NTTドコモソリューションズ株式会社、NTTドコモビジネス株式会社(3社) |
| 活用技術 | AIコンステレーション®(NTTコンピュータ&データサイエンス研究所開発) |
| 対象業務① | イベント企画案の検討(アーバンネット名古屋ネクスタビル) |
| 実施期間① | 2026年1月~2026年2月(イベント開催:2026年2月27日 18:30~20:00) |
| 成果① | 業務時間約50%削減、年間換算で約30人日の余力創出見込み |
| 対象業務② | サイネージコンテンツの表示最適化(大手町プレイスウエストタワー) |
| 実施期間② | 2026年2月9日~2026年3月19日(平日8:00~20:00) |
| 成果② | 1人あたり平均注視回数4%増加、移動割合6%増加、ランチ前時間帯30%以上の増加 |
| 今後の展望 | 2031年竣工予定のNTT日比谷タワーをはじめとした街づくり全体でのAI活用拡大 |
trends編集部の一言
業務時間の約50%削減という数値は、年間換算で約30人日の余力創出という形で示されており、現場の実感として捉えやすい指標です。イベント企画や施策立案における属人化・暗黙知化の解消は、不動産・施設管理領域のみならずマーケティング領域でも共通して語られてきたテーマでした。業界全体としては、専門AIが暗黙知を引き出しながら議論・集約するアプローチは、業界横断的な業務変革の流れとして読み取れます。
サイネージ表示の最適化でランチ前の時間帯に30%以上の行動変容増加が確認された点は、「いつ・誰に・何を見せるか」という文脈最適化の効果を示す事例として注目されます。マーケティング業界の文脈に置き換えると、媒体やクリエイティブの出し分けを複数AIが連携して判断する仕組みは、広告配信最適化領域でも類似アプローチへの関心が高まる可能性があります。2031年竣工予定のNTT日比谷タワーへの展開も見据えた取り組みとして、引き続き動向を追う価値があるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「AIコンステレーション®を活用したビル運営管理の高度化・効率化に関する実証を実施 | NTTドコモソリューションズ株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000126160.html, (参照 26-05-20).
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