株式会社一の湯は、宿泊・観光分野に特化した東大発AIスタートアップ「株式会社トリップエックス」と共同で、旅館向けAIレストラン配席システム「Tripbox レストラン配席 AI」を共同開発したことを発表しました。
株式会社一の湯における年間12万人超の配席業務の課題
株式会社一の湯では、年間に12万人を超えるお客様に利用されています。主力の宿泊プランは「1泊2食付き」であり、朝食と夕食の2回の食事提供にあたって、予約内容を踏まえ、配席業務は非常に重要な工程です。
近年では、インバウンド対応、アレルギーやベジタリアン・ヴィーガンへの対応、複数の食事コース、記念日利用、お子様連れへの対応など、考慮すべき要素は多岐にわたります。1レストランあたり60分~90分(1日あたり)を要しており、お客様の満足度向上と生産性向上の両立が課題となっていました。書き漏れや書き間違いなどのヒューマンエラーを防ぐためのダブルチェックも、現場の負担となっていました。
Tripbox レストラン配席 AIの主な機能と導入効果
「Tripbox レストラン配席 AI」は、あらかじめ配席のロジックを設定しておくことで、その日の宿泊客の数や組数に応じて自動で配席が完了するシステムです。操作ステップは「①予約情報の取り込み②配席ボタンを押す③微調整して完了」とシンプルな設計で、複雑なマニュアルは不要です。
システムが自動で配席を行うことで、書き漏れや書き間違いによるミスがなくなりました。毎日90分かかっていた作業を30分に削減しており、約70%の業務時間削減を実現しています。
導入によって、得られる主な効果は次の3点です。
- 配席業務の時間を約70%削減(毎日90分から30分へ)
- ホワイトボード・マグネット作業からタブレットへデジタル化
- テキストの音声入力、複数画面でのリアルタイム情報共有、日々のデータ保存が可能
タブレット化によって、持ち運びが容易になり、複数スタッフがリアルタイムで情報を共有できるようになりました。効率化が進んだ一方で、システムが作成した配席をそのまま使用するのではなく、人が最終確認を行って微調整する設計を維持しています。間接業務を削減することによって、接客という宿のコア業務にパワーを割く環境を実現しました。
Tripbox レストラン配席 AIを巡る両社代表コメントと今後の展開
株式会社一の湯 代表取締役社長・小川 尊也氏は、「今回の「Tripbox レストラン配席 AI」の導入により、生み出された「時間」と「心の余裕」を、お客様への一歩踏み込んだおもてなしや、人間だからこそ提供できる「あたたかみ」のある接客に充てることができる」と述べています。創業396年という長い歴史を持つ同社が目指すのは、AIやテクノロジーで現場の心理的・物理的なストレスを軽減し、スタッフが「お客様に向き合い、サービスに集中できる環境」を創り出すことだと説明しました。
株式会社トリップエックス 代表取締役CEO・西村 拓人氏は、「レストランの配席と一言で言っても、宿泊客のリスト管理や食事内容の把握、団体客を含めた席割りなど、実際の業務は非常に多岐にわたる」と語りました。今後もオペレーションの現場により深く寄り添い、業務効率化の幅をさらに広げていく方針です。
現状は、一部店舗への導入にとどまっていますが、一の湯全店への展開を予定しており、さらなる生産性向上が見込まれています。
Tripbox レストラン配席 AIの概要と会社情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| システム名 | Tripbox レストラン配席 AI |
| 開発形態 | 株式会社一の湯と株式会社トリップエックスによる共同開発 |
| 対象業務 | 旅館のレストラン配席業務 |
| 削減効果 | 約70%削減(毎日90分から30分へ) |
| 導入範囲 | 一部店舗(全店導入を予定) |
| 会社名(旅館) | 株式会社一の湯 |
| 所在地(旅館) | 神奈川県足柄下郡箱根町塔ノ沢90 |
| 代表者(旅館) | 代表取締役 小川 尊也 |
| 資本金 | 11,000,000円 |
| 設立(旅館) | 1630年(創業396年) |
| 施設数 | 箱根に9施設(箱根湯本・塔ノ沢・仙石原)と貸切ヴィラ1棟 |
| 会社名(AI開発) | 株式会社トリップエックス(TripX) |
| 設立(AI開発) | 2025年4月 |
| 代表者(AI開発) | 西村 拓人 |
| 事業内容(AI開発) | 宿泊・観光分野のDX/AIに特化した東大発AIスタートアップ。宿泊事業者への生産性向上プロダクト「Tripbox」の提供 |
trends編集部の一言
毎日90分かかっていた配席業務が30分に短縮された点は、旅館業界以外から見てもインパクトがあります。業界全体としては、AIによる効率化の議論が「コスト削減」に終始しがちな中、「接客のあたたかみに集中するための手段」としてAIを位置づける発想は、サービス業全体で広がりつつあるアプローチです。マーケティング業界の文脈に置き換えると、広告運用のレポート集計など間接業務を自動化することによって、クリエイティブや顧客との対話に時間を振り向けるという考え方に近く、定型業務の自動化と人的判断の組み合わせを軸にした設計思想は業界横断で注目される動向と言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「【箱根一の湯 × TripX】旅館向けAI レストラン配席システムを共同開発 | 株式会社一の湯のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000268.000012033.html, (参照 26-06-17).
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